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美少女選抜優勝者の彼女に俺だけ塩対応してたのに、なぜか興味をもたれてめちゃめちゃ甘えてくるようになりました  作者: 遥風 かずら
第三章 恋と争う二人

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第63話 ある意味、正解です


「レベル……か。いや、そもそも俺とつららって付き合ってないよな?」

「えっ? こいびとのフリは継続してましたよね?」

「……あー」


 そういえば、院瀬見の天敵である聖菜への備えとしてそんな状態にしてた気がするな。でもあくまで()()であって、気持ちは入ってないものとばかり思ってたけど、院瀬見は違ったんだろうか。


「まぁ、そういうことならいいのか……」

「はいっ! それでいいと思います!」


 よく分からないが、院瀬見が納得したようなのでこれ以上気にしないことにする。とりあえず落ち着きたいしリビングにでも入ってもらうことにする。


 しばらくして、


「南、待たせたな!」


 院瀬見との微妙な雰囲気が解消されたところで、先生と新葉が戻ってきた。先生は新葉をがっちりと腕で固めて逃げられないようにしているようで、新葉は力無くうなだれている。


「先生、()()はどうしたんですか?」

「ん? 草壁のことか? 最近の彼女はたるんでいるように見えたからな。軽く注意をしてあげたのだよ」


 どうりで。新葉も自分よりも年上の人の言葉には弱いからな。


「はふぅぅぅぅ……翔輝くん、ごめんよぉぉぉ」

「何が?」

「もっと遅くに訪問すると思っていたから~……裸になってごめんよぉぉ」

「あぁ……それのことか。気にしてないぞ」


 俺自体に落ち度は無かったし気にすることでもないな。

 

「何だとぉ!? あたしのおっぱいを()()呼ばわりするとは何て野郎だ!!」


 全く、そういう発言をするから怒られるっていうのに。


「翔輝さん。草壁さんのことはともかくなんですけど、翔輝さんのお家にご厄介になってもいいって話は確定でいいですか?」

「ん? ん~……一応聞くけど、当初の予定は違ったんだよな? 当初の予定を先に聞かせて欲しいんだけど」

「あ、それは――」


 俺の家に来た目的は最初からここに暮らすことじゃなかったはず。


「――私が説明しよう。私がこの子と一緒に来たのは、少しの間だけでも泊めてもらいたいお願いをしに来たわけだ。無論、私は違うが」

「は、はぁ? 泊めるっていうのは言葉どおりですよね? つららは自分の家に帰ってないんですか?」


 俺の言葉につららは下を向いているが、気まずいことでもあるのか?


「まぁ、聞きなさい。私とこの子の家……院瀬見家の人間は一度家を出た後に戻ってしまうと、家のしきたりに従う必要があるのだ。つららはすでに霞ノ宮の寮に入ることを決め、院瀬見の家を出た身だったわけだが……」


 やはり由緒正しい家なのか?


「えっと、ちなみに院瀬見の家ってどういう?」

「……何だ、聞いて無かったのか? 院瀬見は代々続く老舗の運送屋だ! まぁ、植物輸送なんかもやっているが」

「…………なるほど」


 意外でもなかったな。


「南。どうかしたのか?」

「いえ、特には」


 そもそも引っ越し業者の格好をしていたし俺よりも腕っぷしが半端なく強いし、庭いじりもサマになってたから違和感は無かった。


 従姉である先生も強そうだし。


「あうぅ……せおりさんに先に言われちゃうなんてショックです……」

「先に言おうと思っていたのなら悪かったな。しかし、つらら。今は私の家にいるからいいが、そう長くは隠しきれないのは分かっているな?」

「はい。だからこうして翔輝さんのお家にお願いしに来たんです」

「いい返事はもらったのか?」

「そ、そうですっ! 翔輝さん! さきほどのお返事を訊かせて欲しいです」


 なるほど。建て替えだとしても実家に帰ると面倒なことになるわけか。新葉は自然と俺の家にやって来たが、つららは今までは先生の家にいたってことだな。


「よく分からないけど実家に帰ったが最後、自由に外に出て来られなくなるとか?」

「ある意味では正解です。それもあるんですけど、その、相手も勝手に決められちゃうんです……」


 恐るべし実家の権力といったところか。運送屋の娘となれば親の影響力も半端ないだろうな。


「相手って?」

「けっ、結婚相手……です」


 ……結婚相手か。つららほどの美少女なら親も安心するだろうし、決まった相手は大喜びしそうだな。


「それって別にすぐの話じゃないんだろ?」

「ううん、お家に帰ったらすぐ決まるの……」

「そ、そうか。それは嫌ってことなんだな?」

「それはそうですよ! 好きでも何でもないのに結婚だなんて……」


 好きでも嫌いでも無い奴の家にお世話になるのはいいのか?


「こらこら、翔輝。何を迷う必要があるというのかね? つららちゃんのことが好きなくせに~! 好きな子と一緒に住む! しかも最強美少女なんてうらやまけしからんぞ!!」


 何でお前がそれを言うんだよ。


「何だ。南、そうなのか?」

「告白しているので嘘でも無いですが、フラれているのでそこは何とも言えないんですよ」

「ほぅ? 私が聞いている話と違うな」

「とにかく、この家に住むことに関しては俺は権限が無いのではっきりとは言えないんです」


 親は新葉を保護者として俺を任せたと思うが、だからといって家に住まわせるといった発言力は無いはずだ。


 いずれ親たちだって戻ってくるだろうし。


「ふふふ。翔輝の言いたいことは分かっているんだぜ?」

「……何だよ?」

「あたしは反対しないからね? 部屋だって空いているし、何も問題なんてないぜ!」


 俺に問題を丸投げしやがったな?


「あのあの、駄目……ですか?」


 先生と新葉、そしてつららが一斉に俺を見つめている。


 こんなレベルの高い彼女たちに見つめられたら、出る答えなんてもう決まっているようなもんだろ。


「翔輝さん、お返事を聞かせて欲しいです」

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