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美少女選抜優勝者の彼女に俺だけ塩対応してたのに、なぜか興味をもたれてめちゃめちゃ甘えてくるようになりました  作者: 遥風 かずら
第三章 恋と争う二人

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第57話 次に会った時は〇〇です!


「うんうん、なるほど! えーと、天井の高さがこれくらいで……部屋の~」


 ほぼ新葉の洋服で散らかっている俺の部屋に院瀬見を案内したが、彼女は新葉うんぬんというよりも、俺の部屋の広さや高さを気にしているようだ。


 俺の家は二階建ての家で一階の奥に俺の部屋、二階に親たちの部屋があるが、決して物珍しい間取りじゃない。


 それなのに何がそんなに珍しいのか、部屋の壁やら天井やらを熱心に観察しているようだ。


「一応聞くが、俺の家をどうにかするつもりがあるのか?」

「……えっ? あ――違います。一般的なお家のお部屋ってこんな感じなのかなぁって眺めていただけでして、何もしませんよ?」

「それならいいけど、何も出ないぞ」

「あの、二階のお部屋も同じ感じですか?」


 院瀬見の家が仮に引っ越し業者関係だとすれば気になる可能性はありそうだが、素直に教えたところで役に立つとは思えない。


 だが隠すことでもないから教えておこう。


「いや、二階の部屋は親たちの部屋だから俺の部屋より少しだけ天井が高いし、部屋の広さにも余裕があるな」


 二人ともいないからほぼ空っぽだし、この際新葉をそこに移す手もあるな。


「ふむふむ……それなら何とかなりそうですね」

「何が?」

「いーえ。こっちの話ですので翔輝さんが気にすることじゃないです」

「含みがある言い方にしか聞こえないけどな」


 しかし院瀬見はこれ以上言うことが無いようで、すぐに部屋を出てしまった。廊下に出ると、大した重さでもない段ボール箱を運ぶ新葉の姿があった。


 数にして二十数箱くらいで、ちらりと中を見るとやはり洋服ばかりが目についた。そうなると気になるのが山のように積んであった外の箱になる。


「そういえば外に積んであった段ボール箱だけど……あれって――」


 新葉の奴がひいひい言いながら何度も往復しているが。


「もう無いと思いますよ」

「そんなはずないだろ。山のようにあったんだぞ? それこそ新葉が運んでる数以上の……」


 実際に持ったわけじゃないから真相は不明だが、院瀬見の言ってることが謎すぎる。


「いずれ翔輝さんに本当のことをお教えいたします。ですので、わたしそろそろ帰りますね」


 そう言うと院瀬見は作業帽子を再びかぶり、新葉には目もくれず、無言で靴を履いて外に出ていこうとしている。


「おい新葉」

「はひー……何さ?」

「頑張れ」

「こ、このぉー!!」


 あとで手伝ってやるとして、俺は急いで外へ出た。玄関の外に出ると、院瀬見の言葉通り、段ボール箱は見る影もなく散らかってもいなかった。


 作業着姿の院瀬見はその姿のまま家に帰るようだ。


「このまま帰るのか?」

「はい。帰ります。()()()()()()翔輝さんのお家が大変そうですので」

「……まぁな」


 修羅場にもなりはしなかったが、不完全燃焼な気もしなくもない。


「翔輝さん。次に翔輝さんに会う時は今までとは違う関係になります! それこそ、立場がまるで異なる……ですので、またよろしくお願いしますね」

「違う関係って?」


 告白からのしばらく進展が無いという意味だろうか?


「二学期から新しい生徒会が始まるじゃないですか」

「そういえばそうだな」

「ですので、それのことですよ」

「あぁ~……それか」


 要するに俺が本気で何もかもを好きにならないと、院瀬見との関係もどうにかなるわけじゃないってことなんだろうと思っていたが生徒会のことだったか。


「それと……」


 伝えたいことを伝えて帰るのかと思っていたが、何か言いづらそうにして院瀬見は俺の顔をじっと見ている。


 一体何だ?


「ん? まだ何かあるのか?」

「翔輝さんにだけは言っておきます。次に会ったその時から、わたしと翔輝さんは敵です! でも学校の中だけの話ですので、それは忘れないでくださいね?」

「へ?」

「それじゃあ、またね!」


 新葉とは敵で、俺とも敵――それも学校の中だけとか、一体何を言っているんだ?


 ……とはいえ、二学期が始まったら分かることだし気にしないことにしとこう。

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