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美少女選抜優勝者の彼女に俺だけ塩対応してたのに、なぜか興味をもたれてめちゃめちゃ甘えてくるようになりました  作者: 遥風 かずら
第三章 恋と争う二人

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第55話 修羅場になんてなりませんので 前編

「そっとです。そっと降ろしてくださいね」

「……あ、あぁ……」


 何でこうなった?


 アレの荷物が来るからって聞かされて業者の人が来るかと思えば荷物だけ――かと思えば、荷物扱いされて腹を立てた院瀬見がいま俺に抱っこされているとか。


 訳が分からないままに家の中に院瀬見を運んで来てしまっているが、彼女はまだ俺の腕を解放させてくれない。


 それにしても軽いな。おまけに手の平から感じる感触はどう考えても――


「――それくらいでは引っ叩きませんので、そこまで緊張しなくてもいいと思いますよ?」


 見透かされたか?


 俺よりも落ち着きがあるのは何なんだ。


「ふ~ん……こぢんまりとしているけど、綺麗なお家じゃないですか」

「……褒めてるんだよな?」

「もちろんです」


 荷物の業者名にもあったが、俺に抱っこされているこいつは結構大きな会社のお嬢様なのでは。


 霞丿宮自体、お嬢様が多めという認識はあったものの、幼馴染のアレと普通に接しているせいかその設定をすっかり忘れていたな。


 そういや、


「ふい〜綺麗さっぱり〜! 次は翔輝くんの出番だぜ! 早く脱ぐがいい――って……おや?」


 ……だよなあ。


 最悪なタイミングで出てくるって予想してたけど、期待は絶対に裏切らないわけだ。


「翔輝さん、勝手に降ります!」


 俺に抱っこされていた院瀬見がするりと俺の腕から抜けて、シャワー浴びを終えたバスタオル姿の新葉に対し厳しい視線を向け始めた。


「あ、あははは〜……注がれる視線から冷気を感じちゃうかも」


 それは気のせいだろ。単純に湯冷めしただけだな。


 この場合の鉢合わせから考えられる展開は修羅場突入のはずだが院瀬見の矛先は俺じゃなく、新葉にのみ向けられている。


 そう思っていたら院瀬見は俺を見て、


「ご心配には及びません。あなたと草壁さんとの間には何も無いって分かっていますので、期待しても修羅場になんかならないです」


 ……と言って俺に笑顔を見せた。


 てっきり俺にものすごくぶち切れているかと思っていたのに。この反応だけで判断すれば、院瀬見の敵は完全に新葉だけということになる。


「ふぇっくしょん!!」


 思いがけない人間がいることに加えて湯冷めした新葉が勢いのいいくしゃみをしているが、腕組みをして仁王立ちの院瀬見の迫力を目の当たりにして動くに動けなくなっているようだ。


 俺は敵扱いされてないみたいだし、今だけでも新葉を何とかしてやらねば。


「新葉。そのままだと風邪をひく。だからアレだ……黙って俺について来い!」

「お、おおぅ!? だ、大胆よのぅ」


 院瀬見の気配がやばいが、とりあえず新葉に何か着てもらう。そうしないと話が進まない。


 俺はちらりと院瀬見を見ながら、新葉の手を引っ張って寝室に連れて行くことにした。


「……仕方ないですね」

「悪いな」

「翔輝さんのせいじゃありませんし」


 俺の家に新葉がいることも想定済みだったかのように、院瀬見は俺の動きに対し慌てる様子を見せない。


 作業着を着ているせいか、俺よりも貫禄があるように見える。


 それはともかく、母が使っていた寝室に入った。


「全く、お前な〜」

「……ふぇっ、ふぇっくしょん!!」

「着替えは?」

「セクシーエプロンなら翔輝の部屋に置いてるよん」

「ふざけるなよ」


 こんなのでも見た目だけなら美少女だから、邪険に扱えないわけだが。


 何で無防備な格好でいられるのか意味が分からない。バスタオル姿なせいか胸元をやたらと強調しているし、足だって無駄な色気が。


「翔輝。あたしに対するいやらしい視線の言い訳なら後で聞こうじゃないか! それはそうと、頼みがあるんだよね〜」


 どの口が言うんだか。しかし廊下には院瀬見がいるし時間をかけている余裕はない。


「……俺の部屋に着替えがあるんだろ?」

「うむうむ。本当は翔輝の背中にくっつき作戦だったんだけど、それは次回のお楽しみにするぜ」

「ここで大人しくしてろよ」

「おけおけ」


 それにしても院瀬見の反応だ。どうやらコレがすでに俺の家に上がり込んできていることにも驚きは無いとみえる。


 どちらも臨戦状態なわけか。


 いったん廊下に出た俺に対し院瀬見は、


「仕方ない人がいることも想定してましたので、翔輝さんはとっとと着替えさせるべきです」

「わ、悪いな」

「いいえ」


 修羅場になんかならないですとか、絶対嘘だろ。

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