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美少女選抜優勝者の彼女に俺だけ塩対応してたのに、なぜか興味をもたれてめちゃめちゃ甘えてくるようになりました  作者: 遥風 かずら
第二章 当たり前の二人

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第45話 密かな対抗心


 ギャルたちに囲まれてハーレムとか、俺が嬉しいとでも思っているのだろうか。美少女耐性もそうだがギャルにも耐性がある俺には通用しない。


 しかし――院瀬見と二人で座っていた時は目立たなかったのに、今はすっかりと注目を集めているせいか、


「なにあれ……フツメンがギャル集めてモテアピールとかうざ」

「誰もおめーなんて見てねーっての」


 ――などと、中々に辛辣な意見を頂戴している。


 そういうのは慣れてるからいいとして。院瀬見の戻りが遅すぎるのはやはり今の光景をどこかで見ているとしか思えない。


「なーに焦ってんの? そういう姿、南さんらしくないじゃん?」

「……俺は変わらんけどな」

「どーだか。どーでもいいんですけどー、南さんはー……院瀬見つららさんのこと、どう思ってます~?」

「そういうことを聞くときは友人たちがいない時に聞くべきじゃないのか?」

「あの子たちならとっくにいなくなってますけどぉ?」


 気づいたら九賀の友人ギャルたちはいつの間にか席を離れてどこかへいなくなっていた。つまりこの場には俺と九賀の二人だけ。


「……で、院瀬見つららが何だって?」

()()()()()()()ですけどぉ? つららさんのこと、好きなんだろぉなと思いましてぇ」


 ――こいつ。


 推し女の中で院瀬見のことをよく見ているし、院瀬見を好きすぎて俺のことを最初からディスっていたと思っていた。


 だが今の質問で判断する限り、どういうわけか恋愛的な視点で注目していたとしか思えない発言だ。


 そもそも九賀(こいつ)に恋愛的な要素を言う義理は無いが、適当なことでも言っておかないとここから離れてくれそうに無いのが厄介だ。


「それなら答えてやる。俺は院瀬見つららのことが――」

「あ、つららさんだ!」

「は? 何を言ってる?」

「いますよ? そこにつららさん」


 適当に誤魔化そうと思っていたら、


「南生徒会長、お待たせしました!」


 席の真横に堂々と院瀬見が現れた。


 さっきまでは全然現れそうに無かったのに九賀と俺だけになった途端に姿を見せるなんて、やはりどこかで様子を見ていたか。


 しかし両手には、俺向けのお茶と自分用のコーヒーを手にしていてドリンクバーに行って戻ってきたことを示している。


 それにしても――久しぶりに聞いたのは俺に対する呼び方だ。


 今は完全プライベートな空間。それなのに、何でわざわざ生徒会長呼びをする必要があるんだ?


「お待たせしました……? ということは、やっぱりつららさんとここに来てたんじゃないですかぁ~! 隠さなくてもいいのにぃ」


 そして九賀の物言いは完全に()()()側で判断してる。それなら塩対応で対応してやらないとな。


「……五億年くらい待ったが、この責任は取れるのか? 美少女の院瀬見」

「へぇー。責任をわたしに取らせるつもりがあるんですか? 普通の生徒会長さん?」

「え? えぇ? な、何で口喧嘩が開始されてるんですか~?」


 おっ? 


 意外にもこんな大したことが無いやり取りでびびるのか。この調子ならさっき聞かれた『好き』かどうかの質問は上手くはぐらかせそうだ。


「つららさん、あのぅ、南さんのことが嫌いなんですかぁ?」

「好きとか嫌いとかの問題じゃないですよ? そうではなくて、この人はわたしにも責任を持たせるつもりがあってわざわざここに呼び出しているんです!」

「――え」

「えっ? こいつがつららさんを呼び出したんですかぁ? な、何の為に?」 


 俺も初耳だぞ?


 ――というか、この期に及んで俺をこいつ呼びかよ。


「九賀さんは二学期から推し女としてではなくて、南生徒会長さんの部下扱いになるってご存じですよね?」

「あっ、はい……」

「生徒会メンバーは別に部下扱いじゃない――」

「――少し……黙っててもらえますか? 南生徒会長」

「……はい」


 目が本気なやつだなこれは。


 しかし九賀に何を言うつもりなんだろうか。てっきり俺と口論してこの場を何とかやり過ごす作戦かと思っていたのに。


「実はまだ公表してないんですけど、わたし、南生徒会長の片腕……いえ、生徒会副会長になることが決まったんですよ」

「ええっ!? そ、そうなんですかぁ?」

「えー!?」

「……何で南さんが驚くんですかぁ?」


 これはまずいな。上手く誤魔化さないと。


「あ、いや、まさか九賀に教えるとは思わなかったから、つい……」

「もしかしてその為に呼ばれて、二人だけで会ってたんですぅ?」

「ま、まぁな」


 ちらりと院瀬見の顔を見ても、慌てふためいている様子には見えない。俺も知らないことなのに、実は密かに決まっていた答えだったのだろうか。


「そういうわけですので、九賀さん」

「え、はい」

「わたしと南さんとの関係は、好きとか嫌いとかの安っぽい次元じゃないの。分かりますよね……? この意味が」

「――ご、ごめんなさい! そっ、そうですよね……真面目な関係ってことですよね」


 あれ?


 話の方向が違う方にいってないか?


「分かればいいんです! わたしと南さんの関係は生半可な覚悟では務まらない話なんですっ!」


 これは――九賀に対する院瀬見なりの対抗心だったり?

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