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美少女選抜優勝者の彼女に俺だけ塩対応してたのに、なぜか興味をもたれてめちゃめちゃ甘えてくるようになりました  作者: 遥風 かずら
第二章 当たり前の二人

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第44話 油断しちゃ駄目

「まー、とりあえず聖菜がいなくなったし、恋人の()()は解除だな」


 そう言いながら自然と手繋ぎをされていた状態を解こうとすると、


「駄目! まだ離しちゃ駄目なの!」

「……何で?」

「聖菜はとっくに帰っただろうし、心配する必要なんて無いんじゃないのか?」

「甘い、甘いです! 翔輝くんはあの子のことを舐めすぎです!!」


 そこまで警戒するくらい不仲なのか?


 バイトの時の遭遇とか、俺の知らぬ間に渡していた()()()()のこともあるが、いくら何でもストーカーみたいなことまでするとは思えないんだが。


「そうなのか?」

「翔輝くんはあの子がここにいて、わたしと鉢合わせるのが偶然だとか思ってません?」

「偶然だろ……さすがに」


 俺の行動だけじゃなくて院瀬見の行動もどこかで見張っているとしたら、相当な危険人物になるぞ。


 しかし院瀬見の顔は割と本気っぽいし、素直に言うことを聞くしかないのか。


「もう~! 何で分かってくれないの? あの子のことはわたしの方がよく分かっているし、油断したら駄目なのに~!」


 よほどのことがあったとしか思えないくらい、院瀬見は握りこぶしを作って興奮している。このままだと怒りの矛先を俺に向けかねない。


 ――仕方ない。


「わ、分かったよ。油断しないように努力する」

「本当?」

「本当本当……手、握っとけばいいんだよな?」


 気恥ずかしいがフリをするだけだし問題無い。


「じゃあ、はいっ!」


 何がそんなに嬉しいのか、院瀬見は俺に右手を差し出してきた。仕方が無いのでその手を握って手を繋ぎ直すことに。


「好きでも無い奴と手を繋ぐってどうなん――」

「いいんです! そんなことくらいどうってことないですもん」


 聖菜のことをかなり警戒しながら、俺たちはとりあえず図書カフェに移動することにした。カフェであれば、これからどうしていくかについてじっくり話し合えるからだ。


 夏休みなだけあって、予想よりも多くの客がカフェに来ている。女子率が相変わらず高いものの、他にも一般客がいるおかげで俺たちが目立つことはないようだった。


 普段は店員が注文を聞きにくるが、客数が増える期間はドリンクバーが設置されるうえ、軽食は配膳ロボが運んでくるので気が楽でいい。


「お騒がせしたお詫びにドリンクバーから飲み物を持ってきてあげるね! 翔輝くんは何飲む?」

「んー……じゃあ、適当にお茶で」

「はーい! 大人しくここで座って待っててね」

「……そうする」


 恋人のフリ――のはずなのに、以前よりもさらに近くなったような感じがするのは気のせいだろうか。


「あれ~? 南さんじゃね?」

「あん?」


 院瀬見の言うとおり立ち上がるでもなく大人しく座って待っていたところで、また別の誰かが俺に声をかけてきた。


「誰なん? もしかしてみずきのオトコ?」

「違うし! でも予定にしてるかも」

「へぇ~? フツメンすぎね? しかもぼっちとか!」


 俺に声をかけてきたのは推し女の九賀みずきだ。それと、九賀の友達らしきギャルが数人いて、俺を上から下まで品定めするかのごとく見つめまくってくる。


 金髪の九賀みずきといえば、あのナンパ好きな下道が苦手っすと言っていたくらいの派手なギャルだが、言葉遣いはそこまでギャルというわけでもなかった印象だ。


「俺に何か用か?」


 聖菜はともかくとして、やはり夏休み中だとここに女子が来るのは当然といったところだろうか。それにしたって推し女の九賀とか厄介すぎる。


「声をかけるのに用なんて必要あります~? これでも私ぃ、ぼっち男子に優しいので~」

「……別に優しくしなくていいけどな」

「うっわ、性格最悪……それとも、実は誰かと一緒だったりして?」


 こいつ、鋭すぎないか?


「あるんじゃね? オトコって後ろめたいことがあるとこういう態度になる奴いるし」

「それある~! 近くにいるんじゃね?」


 聖菜も厄介だが九賀とその友人だとさらに面倒だ。しかし院瀬見からすれば九賀は脅威にはならないはず。


「ま、とりあえず隣に座ってあげますんで、喜んでもらおうと思いまーす!」

「えっ、おい!」


 九賀が俺の隣に座ると、周りのギャルも俺を立たせまいと周りの席に座り始める。何て厄介な。


「……こういうのがハーレムって言うんじゃね?」

「そうなん? みずきのカレシ、これがハーレム?」

「知らん。それに九賀と俺は何でもないぞ。そうだろ? 九賀」

「これからどうなるか分からないことなんで~……気にしなくてもよくない?」

「どうにもならないから期待するだけ無駄だ」


 俺の正直で素直な断りに対し、九賀もギャルたちも何故か笑いまくっている。本当に勘弁して欲しいぞこの状況は。


 今のところ院瀬見の姿は見えないが、聖菜との鉢合わせもあったから今の状況に気づいて戻って来ない可能性もあるな。


「な~んか、焦ってない? やっぱり誰かと来てる系?」

「……気のせいだ。俺と話をしたって面白くないんだから、とっとと他のところに行くことを勧めるぞ」

「ふ~ん?」


 一難(聖菜)が去ってまた一難(九賀とギャル)とか、どうすればいいんだこれ。

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