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美少女選抜優勝者の彼女に俺だけ塩対応してたのに、なぜか興味をもたれてめちゃめちゃ甘えてくるようになりました  作者: 遥風 かずら
第二章 当たり前の二人

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第43話 『こいびと』ですね?

「……」

「…………」


 鉢合わせしたかと思ったら二人とも無言の応戦って、そこまでするほど犬猿の仲なのか。


「な、なぁ?」


 ここは俺が突破口を開かないと動くに動けなくなる。


 そう思って声をかけたのに、


「南。院瀬見つららとは何故?」


 院瀬見と向かい合っていた聖菜が急に振り返って俺の前に迫ってきた。


「え……? ええと、院瀬見とは――」

「うん。院瀬見とは何?」


 顔が近い、近すぎる。何でこうも無警戒に俺に体を近づけてくるんだこの女子は。


 しかも以前なら軽くあしらっていたのに、七石先輩から聖菜が養成所にいたことを聞いてしまっただけに、よく見なくても整った顔つきをしている聖菜を見ているだけで妙に意識している俺がいる。


 もしかしなくても美少女耐性がいつの間にか抜けてしまったか?


「――むー。コホン、翔輝くん。ここにはもう用事が無いので、別のところに行きません?」


 そうかと思えば、院瀬見も負けじと聖菜の存在をかき消して俺に声をかけてくる。


「話は終わってない。南の答えを聞きたいからここから動くのは駄目」

「……あ、うん」

「院瀬見つららと親し気にしてた。何故?」

「何故って言われてもなー……」


 思わず院瀬見を見てみると、俺が一緒について来てくれると信じていたのか右手を差し出したまま沈黙状態で静止していた。


 これはどうにもならないな。


 クセのある聖菜に適当な言い訳が通用するとは思えないし、院瀬見の方は俺の()()に期待して押し黙ってしまった。


 それでもまだ話が通じる相手なのは院瀬見一択。


 そうなるとまずやれることは、動かずにいる院瀬見の差し出している右手にさり気なく指で合図するだけだ。


「聖菜。十秒だけ待ってくれ。何故俺が院瀬見と一緒にいたのかを整理して説明するから」

「分かった、待つ」


 たった十秒でどうするって話だが、手の平に書けるといったら平仮名で四文字程度の伝言くらいしか思いつかない。


 とにかく迷ってもいられないので、院瀬見の手の平に簡潔に合図することに。


「ひゃっ? ……? うんうん!」


 くすぐったつもりはなかったが、どうやら俺が言いたいことが院瀬見に通じたようで、手を引っ込めて聖菜に再び向き合った。


「翔輝くんに代わってわたしからあなたに伝えてあげます!」

「……何を?」

「わたしと翔輝くんの関係は恋人ですっ!」


 俺が伝えた文字を院瀬見が理解してくれたことを信じ、二人のやり取りを見守ろうとすると、院瀬見の口からとんでもない発言が飛び出していた。


 おい待て。


 俺が伝えた言葉は()()()()だぞ?


 どこをどう間違ったら()()()()になるんだよ。


「恋人……? 院瀬見つららと誰?」

「ですから、そこに立っている南翔輝くんが! ですっ!」

「……南。それ、本当?」


 どうすればいいんだ?


 嘘をついてひとまず厄介な聖菜から離れるか、それともそうじゃないってことを伝えて――いや、駄目か。


 そうじゃないなんて言えば聖菜のことだから、「じゃあ聖菜の恋人で」とか言いそうだ。それだと院瀬見の勘違い発言がただの痛い発言で終了してしまう。


 この場を乗り切るには乗るしかないか。


「そ、そういうことだ。つららは俺の恋人だ。だから――」

「どういう恋人? 体で何かした? 心は通じてる? 何回目のデート? 草壁新葉はあなたと院瀬見つららの関係を知ってる?」

「えっ……」

「ええっ? 体でって……えっとえっと……」

「聖菜が得てる情報と異なってる。だからきちんと話してもらう」


 おいおい、質問攻めが激しすぎるぞ。院瀬見も慌てふためいたらバレるだろ。


 しかも何で幼馴染のアレが出てくるんだ?


 聖菜が予想よりも強敵過ぎるぞ。こんなに根掘り葉掘り聞いてくるとか、まるで俺をどこかで見張ってるかのようじゃないか。


 まさかそこまで酷くないと信じたいが。


「体はとっくに接触済みだ。今回で二回目だ。それから――」

「――ふぇ!?」


 だから院瀬見が取り乱したら駄目だろ。


「……分かった。()()邪魔しないで帰る。でも、二学期になる前にもっと細かく教えて? そうじゃないと信じられないから」

「そうする。後で連絡するか?」

「駄目。直接会って。もちろん、そこの院瀬見つららと一緒に」

「ああ、そうする」

「じゃあ……()()南」


 ようやく離れてくれたか。それにしたって眼光が恐ろしすぎるぞ。何もかも見透かしてるとしか言えない目つきだった。


 それにしても、


「なぁ、つらら」

「は、はい! な、何でしょうか?」

「手の平に書いた文字すら理解出来なかったのか?」


 頭脳明晰のはずなのにくすぐったい感覚で麻痺したのだろうか。


「えっ? 何て書いたの?」

「『誤魔化せ』だ。少なくとも『こいびと』じゃない」

「えええええええええーーーー!?」


 事の重大さに気づいたと同時に気恥ずかしさが込み上がったのか、院瀬見は両手で顔を隠してその場にしゃがみ込んでしまった。


 せっかく自由を得られたのにどうするんだこの状況。

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