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美少女選抜優勝者の彼女に俺だけ塩対応してたのに、なぜか興味をもたれてめちゃめちゃ甘えてくるようになりました  作者: 遥風 かずら
第二章 当たり前の二人

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第39話 秘密にしてくださいね


 新葉わかばだけなら何とかなったのによりにもよって七石先輩を同行させるとは、何て厄介な奴なんだ。


 俺を信用してるつもりで実は怪しんでいたな?


「あーーーーーー!! つ、つららちゃんがーーー!?」


 相変わらず新葉はうるさい。何もなってないのに見ただけで判断するなんておかしいだろ。


「南くん……。何もしてないんだよね?」

「してませんよ」


 そうかと思えば七石先輩まで誤解するのか。


「うんうん、分かってるよ? まずは服を着て、それから話を聞くね」

「は……い」


 駄目だ、完全に誤解してる。


 この際だ、俺はどうなってもいいが問題は――


「――草壁先輩、わたしは大丈夫ですので落ち着いてください」

「そうはいかないよーーー! 動かぬ証拠が真上に見える下着! それと、あいつが裸! 何も無かったなんておかしい話なんだよ?」

「いえ、ですから……」


 七石先輩とは対照的だな。何で新葉の方が興奮しているんだ。


「とりあえず乾いてるみたいだから一緒にこっちへ来なさいっ!」


 半ば強制的に院瀬見の手を引いて、新葉と院瀬見は二人で洗面所へ入って行く。その隙でもないが、俺は七石先輩の監視の中でさっさと上着を着ることに。


「……それで、南くんは真面目さんだから何にも出来なかったんだよね?」

「おっしゃるとおりです……」

「だと思った。新葉は見ただけで判断するから気にしなくていいよ」

「それもおっしゃるとおりです」


 やはり七石先輩だけは分かっているな。


「それに……あんな可愛い子に甘えられたら仕方ないもんね?」

「――! そ、それは……」

「とにかくさ、私がここに来たのは口裏合わせなんだ。撮影目的で入ったって言えばいいよ。今じゃないにしても、絶対話題になることだからね」


 なるほど、新葉だけだと説明がつかないけど七石先輩も一緒なら説得力のある説明が出来る。つまりここに駆けつけて来てくれたのは、後々に起こるであろう危機的状況も考えてのことだった。


 イベントバイトのことも聞いてたみたいで、それもあっての応援だったとか七石先輩がさすがすぎる。


 俺と院瀬見の関係性も理解してのことだったようで、七石先輩もすぐに洗面所へ応援に入って行く。


 しばらくして、ちゃんと着替えを済ませた院瀬見が新葉と七石先輩に諭されながら部屋に戻って来た。その表情は何故か疲れ果てていた。


「いいかい? つららちゃんは優勝者なんだぞ? 最強美少女なんだよ! 夏休みだからって羽目を外すのはお姉さんが許さないんだよ! 分かったら頷け~!」


 素直に頷いておこう。


「よし! じゃああたしらと一緒に外に出るんだぜ?」

「お、おぅ」

「院瀬見さんは私の隣を歩いてね」

「はい」


 ()()()()撮影の為ということを証拠にする為らしいが、それは正直助かるところ。院瀬見も俺に対しにこやかに頷いているのが何よりの証拠だ。


「あ、晴れてる」

「雨は一時的だったのだ~! 途中で邪魔が入ったけど、翔輝とつららちゃんを救い出せて良かったよー!」

「……邪魔って?」


 こんなのでも新葉は綺麗だからナンパでもされたかな?


「まぁ、とにかく! つららちゃんを守っておやり!」

「当然だ」

「南くん。お願いね!」

「もちろんです!」


 俺に念を押しまくった新葉と七石先輩は、表通りに出た後、俺たちから離れて雑踏の中へと戻って行った。


 院瀬見も新葉たちについて行くかと思っていたが、この場に残ることを決めたみたいだ。


 そんな彼女の様子を見ようとすると、


()()()()、残念でしたね?」


 ――と、俺の耳にこそっと近づいて挑発的なことを囁いてきた。


「何が残念だって?」

「だって、お互いに裸だったじゃないですか。真面目なのか臆病なのか判断が難しいですけど、自分の意思では触れてこなかったなぁ、と」

「……ん?」

「だって翔輝くん、思いきり揉みまくりでしたもん。誤魔化すの大変でした~」

「――へ? 揉みまくりって……何を?」


 確か俺が揉みまくっていたと思っていたのは、ビーズクッションだったと思っていたら、モコモコのベッドカバーというオチだったはず。


 その後の院瀬見の反応も特におかしなことはなかったと記憶してるが、まさかだよな――?


 俺が戸惑いを見せていると耳打ちしていた院瀬見が俺の正面に立ち、人差し指を唇に縦に当てながら、


「草壁先輩にも七石先輩にも言わなかったことなんですから、このことはわたしと翔輝くんの秘密……秘密ですよ?」


 といった感じで、可愛い仕草で俺に口止めを求めてきた。


「――……ずるいな、本当に」


 俺の言葉が聞こえたのか、彼女がペロッと舌を出した。


「それじゃあ、この辺で。別々に帰ることにしますね?」

「そ、そうだな。じゃあ、また。つらら」

「はいっ、翔輝くん! またです!」


 また俺に対する何かが変わった気がするが、それでもまだよく分からない関係なんだよな。俺にこうまでして、院瀬見はどういう関係になるつもりがあるんだろうか。


 まさか俺のことが好き――だったりして?

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