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鰐の箱庭  作者: マワル
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電車の中問わず移動中は常に音楽を聴いている。


ジャンルなんてよく知らないから良いと思った曲を片っ端から携帯に放り込んでシャッフルで流す。

昔は音楽で生活するなんて目標を立てて自分なりに頑張っていた。

自分に才能もセンスも無いことに気づいたのはいつだっただろう。頑張っていると思っていた事も結局自分なりで直向きさは無かったと今になって気づく。

ホウキをギターの代わりにしたり雑誌をドラムの代わりに叩いていたのが本物の楽器になって浮かれていただけ。

当時を否定する事はないけどもっと上手くやれたんじゃないかと今でもフと思う。

夢は夢のまま終わったけど音楽は相変わらず聴き続けている。

良かった事も悪かった事も当時のまま思い出させてくれる音楽が拠り所なのかもしれない。



「おはようございます」


職場に着いて挨拶しながらロッカーに向かう。

なぜ夜に出勤しても「おはようございます」なんだろうという疑問もいつの間にか無くなり今では違和感なく言えるようになった。


「今日は予約多いですね。」


同僚の一声で今日の予約を思い出す。

今日は団体の予約が数組入っていたはず。時間は覚えてないけど被って無ければいいな。


「時間って全部同じだっけ?」

「いや、確か30分くらいズレてたはずですよ。」

「でも結局スタートするのって同時になってしまうよ

ね」

「本当飲食店あるあるですよね笑」

そんな話をしながらタイムカードを打刻する。

注文はタブレットなのに裏側では未だに昔ながらの慣習が続いている。


当時バンド活動をしながらアルバイトしていた時は受け入れるよりも抗うことがカッコいいと思っていた。


「受け入れるだけじゃ何も変わらない。」


本気でそう思っていた。

受け入れる事に慣れたのはいつだろう。ただ逃げただけじゃないのかと思う時もあるけどそれすら考えるのが面倒くさい。年をとって残ったのは中途半端なプライドと見栄を張るクセだけ。


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