お泊り会
3日間部活が休みで初めてのお泊まり会にワクワクしているりりはチサトと一緒に普段は乗らない電車に乗り、20分かけてサチの家の近く最寄り駅に到着しました。
「チサト~、お泊り会楽しみだねぇ!サチの家ってお寺って言ってたけどあれじゃない?」
「多分そうだよね。大きいね。お泊り会は楽しみなんだけど、お寺ってお化け出そうじゃない?怖い話聞かない?いわくつきの部屋があるとかさ、髪の伸びる日本人形とか。。」
「チサト。。お化けって。お寺なんだし供養くらいされてるって。そこら辺にあるより安心じゃない?」
お化けなんて言うチサトにりりは笑い飛ばしたものの、実はりりも怖い話も幽霊も苦手だし、お化け屋敷は入り口から逃亡するほどダメなのです。
「そうだ。駅着いたってサチに連絡しないとね。」
「とっくに、送ったよ~!」
「いつの間に⁉」
「チサトが怖い怖い言ってる間に(笑)」
「もう~、からかわないでよ。りりちゃん夜中にトイレとか言っても付き合わないからね(笑)」
「子どもじゃあるまいし、言わないよ~(笑)」
連絡してから5分後に、お寺から出てきて駅に向かって走ってくるサチが見え、りりとチサトはサチと合流して部屋の中に案内されました。夕ご飯前に説法をしてから食べるということで、昼から夕方までりり達は冬休みの宿題を終わらせてゆっくり遊ぶことにしました。
夕ご飯が出来たということで説法する部屋に向かう途中、りりは変な感じのする部屋の前を通りました。
「ねぇ、サチ。今通った部屋の奥のふすまって何があるの?」
「今の部屋?それなら仏様の部屋だけど。」
「その奥の部屋は?」
「ただの物置だよ。そんなに気になった?」
「うん。何だろうって思って。他にふすま空いてるのにそこだけ閉まってたし。」
「なるほどねぇ。」
「それより、サチちゃん。説法の作法とか分からないけど大丈夫?何も知らないんだけど。。」
「チサトちゃん、大丈夫だよ、正座して後はお父さんが読む経典の後に続いて読めばいいだけだから。」
「難しそうだね。」
「りり、心配せずともフリガナふってあるから大丈夫。」
「だって。良かったね、チサト。」
チサトは漢字が苦手であったため、経典が読めるか不安そうであったが、フリガナがあって良かったと思っていました。りりは、奇妙な部屋の方が気になって仕方がなかったのですが、30分の正座で足が痺れ、その後のごはんが美味しかったので気になっていたことをすっかり忘れてしまっていました。
夜になり、女子高生らしく恋バナになりました。
「ねぇねぇ、りり、チサトちゃん。最近クラス内でも色んな所でカップル誕生してるよね!2人はどうなの?」
「私は、好きとかよくわからないかな。彼氏欲しいなぁって思ってるんだけど私なんか。って思っちゃって。。」
「チサトって、控えめってレベルじゃないね。。」
「チサトちゃん、大丈夫!これからだよ!りりみたいにならなくていいよ!」
「ちょっと、サチそれってどういうことなのさ~!抗議する~!!」
「りりって、気づいたらしれっと彼氏いるし、それを言わないじゃん!!」
「え!?りりちゃん彼氏いたの!私知らないんだけど…。」
「あ~、サチが変なこと言うからチサト落ち込んだじゃん~!心配しないで、チサト。今はいないから!!」
「そんなこと言って、りりちゃん。好きな人とか気になる人いるんじゃ?」
「いないよ!好きな人いるのはサチでしょ?前好きな人いるって言ってたじゃん!」
「そういえば前、サチちゃんそんなこと言ってたよね?」
「2人なら言ってもいいかな。隠してもないけど。私の好きな人はお兄ちゃんだよ♡」
「待って。サチにお兄ちゃんって3人いるよね。」
「なんだ。お兄ちゃん達か兄妹愛はいいね。私も妹好きだもん。」
チサトは気にしていないようだったが、りりは違和感を感じていました。サチは、お兄ちゃん達ではなく、お兄ちゃん。と言ったことに。それって誰を指しているのか知ってはいたもののどちらか確信はなかったのでした。