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アデルは夜になっても、「光る玉」の練習をやめなかった。


マリラも必死になって練習しているアデルを見て、何も言わずに家に入った。


(あと、少しなのよ・・・。もう少しなのに・・・。)


アデルは数え切れないほどの失敗の後、自分の周りに煌めく光の粒子を見て、ぼんやりと座り込む。


光の玉を形成するのは簡単にできた。

光の粒子を「呼び寄せる」のはアデルにとってイメージしやすかったからだ。

まるで子供を呼び寄せるように、光の粒子を引き寄せる。

なのに、それをキープすることができない。

光の粒子はそこかしこに動きまくって、アデルが魔力を込めて封じ込んでも、その動きを封じることはできない。


アデルは自分の両手を見つめた。

長時間の練習のせいで、あちこちが腫れや傷ができて、綺麗な手はすっかりボロボロだ。


「私はいつ帰れるんだろう。」

思わずポツリとこぼれた。

アデルの脳裏には同期2人の顔が浮かんだ。

(リューにロラン・・・。2人は大丈夫かな?)


2人が黒鬼にやられていたらどうしよう。

そんな不安に駆られて、思わず涙ぐんだとき、ふわりと光の粒子がチラチラとアデルの手にいくつか集まった。

まるで優しく慰めているようだ。


アデルはそっと光の粒子を呼び寄せた。

蛍が集まるように光の粒子が集まってくる。

アデルはその様子を見つめる。


(ほんと、ちっともじっとしてないし、止まってもくれない・・・。こんなのをどうやってマリラのように動かない玉にするのよ・・・。)


集まったかと思うとふらふらと分散する光の粒子を見つめていると、アデルはあることをふと思い出した。


『マリラ!光の粒子って、まるで子供みたいね、すぐあちこちに行っちゃうんだもの!』


マリラにこぼした自分のセリフが脳内にリフレインする。


(もしかして・・・。光の玉の作り方って・・・。)


アデルははっと目を開くと、再び練習に集中しだした。



夜が明ける。

早起きの鳥がチュンチュンとそこかしこで挨拶をしている。

マリラはアデルの空の寝床を見ると、やれやれとローブを羽織って外に出た。


アデルの後ろ姿が見える。

どうやら一晩中練習していたらしい。

アデルに呼びかけようとしたところで、違和感に気がついた。

あんなにアデルの周りに飛び交っていた光の粒子が一つもない。


「アデル・・・?」


マリラが怪訝な顔をして呼びかける。


「あっ!マリラ!ねぇ見て!」


そういうと、アデルが満面の笑みを浮かべて振り返る。

アデルの美しい紫の瞳の下にはクマができて、すらりと長い指をした手もボロボロだ。


しかし、マリラの目は驚愕に見開かれ、アデルの両手にある「モノ」に注がれている。


「ねぇ!マリラ!本当についさっきできたの!」


アデルは嬉しそうに弾んだ声を出す。


彼女の両手の間には光り輝く玉があり、その大きさはビー玉くらいだ。


「私、これで元の世界に戻れるんでしょう?」


そう言って、美少女は微笑んだ。

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