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「ねぇ!兄さん!もう出かけるの?今日は僕の攻撃魔法の練習を見てくれるって言ってたのに!」

「ああ、ロラン、そうだったね。」


振り返った兄は申し訳なさそうに眉を下げる。


「ごめんな。急に魔獣討伐に駆り出されることになったんだよ。近くで魔獣がでたそうだ。」

「えっ?首都で?魔獣って遠いところにいるんじゃないの?」

「そうだよ。だから変なんだ。しかもかなり強い魔獣らしい。だから、ロラン、決して外に出てはいけないよ。

今日は絶対に外に出ずにお留守番するんだよ。」


「兄さんは・・・大丈夫なの?」

「僕?僕は大丈夫だよ。なんたって僕はーーーー。」


あたたかい笑顔、柔らかな声。

いつだって強くて、優しくて、僕の大好きな兄さん。




「ロラン?どうしたの?」

急にアデルの声が聞こえて、ハッと我に帰る。


「ロラン!お前もぼーっとしないでくれよ!」

リューがやれやれと言った様子で叫ぶ。


3人は一旦作戦を練るため、移動魔法で移動して黒鬼から離れた場所にいる。


3人の魔力、魔法知識を集めて話し合った結果、分かったことは

大前提:

3人が3日間、魔力切れを起こさず、3万の黒鬼から逃げるか、もしくは、黒鬼を全て殲滅すれば「勝ち」


①黒鬼を全て殲滅するには3人の魔力では若干足りない。

②ルカ先生の言葉より、中途半端な攻撃ではかえって魔力が吸収されて、黒鬼が強くなる

③黒鬼はさらに魔道士の魔力を吸引できるらしいが、それはどのような条件下かは不明

しかし、あの黒鬼たちはいわゆる「雑魚魔獣」であり、魔力吸引という高等魔法はできない(と思われる)

④黒鬼の正体は不明


「うーーーーん。微妙!本当は思う存分あの黒鬼をやっつけたいなぁ!」

リューは唸る。

「それだとあっという間に魔力切れになっちゃうよ。

こうして移動魔法も使ってしまったし。」

ロランとリューは色々と議論しているが、アデルは言葉少なである。


「・・・。」

「ん?アデル、どうした?」

「なんか・・・。上手く言えないけど、あの黒鬼たち変な感じかするの。」

「変な感じ?」

「なんか・・・。上手く言えないけど、まるで・・・」


その瞬間、たくさんの鳥たちが羽ばたき、ザワザワと周囲が揺れた。


「・・・!」

「これは!」


小さくてボールのような黒鬼が幾つも寄り集まって、10メートルはあろうかと巨大な人の姿になっている。

人?

いや、あれは「鬼」の姿だ。

「どういうこと?あれはやばいじゃん!」

リューが腰を抜かしそうになりながらつぶやく。


(巨大な黒鬼!あれはまるで)

アデルの脳裏には魔法歴史の授業で使っていた教科書の挿絵が浮かんできた。

アデルの魔法歴史の先生はかなりマニアックな歴史オタクで、かなり専門的な(と言うか先生が大好きな古代中心の歴史)内容を教えていた。


「先帝の御代にて・・・。」

アデルはふと頭に浮かんだ言葉をそのまま述べる。


「先帝の御代にて、湧き出た黒影、幾多にて、より集まりて強大な『黒影』となりて・・・。」


「アデル!それは『カインの歴史書』だね!」

ロランはアデルを振り返って叫ぶ。


「カ、カインの歴史書ぉ〜?なんじゃそら!」リューも叫ぶ。


「あの黒鬼たちが、先帝の御代、つまり古代のアルカナル大王の時代の記述にある、『黒影』だとすれば、あれは魔獣なんかじゃない!魔法でできた傀儡霊!そして、その魔法は闇属性だ!」


「ちょっ!ごめん!ロラン!何言ってるか俺にはわかんねーよ!」


(体の中がザワザワする。まるで細胞一つ一つが反応しているみたい。闇属性の魔法なんて、対峙するのは初めて。)


アデルは激しい違和感を感じていた。


「んで、その『黒影』とやらに勝つにはどうすりゃいいんだよ!」


再びリューが叫ぶ。


次の瞬間、黒影は大きく口を開け、巨大な黒い焔を吐き出した。

焔は黒影の周囲を焼き尽くし、あっという間に黒焦げになる。


3人のいる場所はそう遠くない。

あの焔は遠距離であっても届くのだろうか?

そうだとしたら、3人の居場所が見つかったら極めて危険である。


「闇属性は・・・イディアジュ・ロー(原始属性)で、他の属性を凌駕する。」


ロランはこめかみから冷や汗を流しながら答える。


「唯一、闇属性と同格に対抗できるのは、同じくイディアジュ・ローの光属性のみ。」


「・・・・!!!」

2人はロランの言葉を聞いて絶句する。


3日間が終了するまで、残り66時間

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