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「どういうことだ?『先帝は殺された』と発言した王女がそのすぐ後に殺された?それはつまり・・・。」
ラウルは驚きのあまり声が震えている。
「先帝を殺害した犯人が、発覚を恐れてキーラ王女を殺したと考える方が自然だねぇ。」
ルカは相変わらず呑気な声音で話す。
「つまりーーー。」
冷静なイヴリンの声が続く。
「犯人は先帝の祭祀でキーラ王女の発言を聞いていた人物、つまり参加していた王族の可能性が高そうね。」
もしそうであるならば、ラシュタール王族は戦々恐々としていることだろう。
いくら変わり者とは言え、王女が殺されたのだ。
しかも先帝の死についてとんでもない発言をした後に、魔具で撲殺されるという、惨たらしい殺し方で。
病死であったはずの先帝が殺害され、さらにそれを企てたのが身内の王族となると、いつ内紛が勃発してもおかしくない状況である。
「このことはラシュタール王国において極秘事項として扱われております。キーラ王女の死はまだ公開されておらず、祭祀にご参加された王族と、ごくわずかのキーラ王女の侍女のみが、その死を知るのみです。」
「もちろん、ラシュタールとの文化交流とやらは中止だな?」
ユキは少し安堵の顔を浮かべて王の側近に尋ねる。
「こんな状況ではラシュタールは、いつ内紛が起きてもおかしくない。場合によっては先帝の死により王位を継承したアスラン王の立場さえ怪しい。
こんな状況でうちの魔道士を招いて、呑気に文化交流なんてーーー。」
ユキの発言を聞いていた王は顔を横に振る。
「いや、文化交流中止の話は来ておらぬ。
それどころか、開催にあたっての正式な招待状を携えた王直属の使者が来おった。」
アリシア王はこの豪胆なラシュタール王アスランの振る舞いをさも可笑そうに笑う。
「評判通りの男よのぉ、アスラン王!
例え内紛が起きそうな場面においても、涼しい顔をして、このアリシア王国に使者を送るとは!
通常であれば異母兄弟と熾烈な王位継承の争いの末に王位につくはずが、先帝の血を引く唯一の王子であるが故に、一つの争いもなく平穏無事に王位についた若き王!
しかし、か弱さは微塵もない!
実に見事である!」
「しかし!これではあまりにも白の見習い魔道士が危険では?」
ユキはアデルの寝顔を思いながら、王に進言した。
(あまりにも危険すぎる。アデルはようやく白の魔道士として『初歩カリキュラム』とやらを終えただけの、ひ弱な魔道士にすぎない。)
「ユキよ、王の前であるぞ。」
エスメラルダが珍しく厳しい声音でユキを嗜める。
「しかし・・・。」
「いや、心配はいらぬ。ルカ!」
王はルカを呼んだ。
ルカは王命を受けた臣下の姿勢をとった。
「そなたもこのラシュタール王国の文化交流に参加するのだ。
そう、ラシュタール王をその目で見てこい。
アスラン王は、今後の大陸の次世代を担う王になるであろう。」
「御意のままに。」
ルカは一礼する。
そして、ルカにしては珍しく、真面目な気持ちで、文化交流までに、あの可愛い3人の生徒達に、みっちりと魔法を教え込むことを自らに誓うのだった。




