15
「森・・・ってここよね?」
白き癒し手たちが集う白亜の離宮は、離宮と言われるだけあって広大なアカデミーの中でもとりわけ辺鄙なところにある。
他の属性の宮が利便性が高く、開けた場所にあるにもかかわらず、白亜の離宮は森に四方を囲まれた上に、さらに深くて幅の広い堀と城壁がぐるりと周りを取り囲み、宮というより、さながら要塞のようである。
そのため、宮に入るのも出るのも魔法を使わないと大変なので、移動魔法を使うことになるが、これも登録された者以外が宮に入ろうとすると、たちまち弾き飛ばされ、さらに王立直属部隊が管轄するトランスルームに転移させられた上、怪しい者でないか、徹底的に調べ上げられるらしい。
↑ちなみにアデル以外の同期は、最終属性が発表されてすぐ、お迎えの使者が白亜の離宮からやってきて、使者と一緒に転移魔法で宮に入った。
(ばかアデルは「なんか下級事務官にギャンギャン噛みついています。」と困惑した使者からの報告うけた師匠のルカが「えー!噛みついているの?今年の新入生はワンちゃんなのかなぁ?僕が迎えに行ってくるねー!」「いやいや!貴方様がわざわざ・・・」すでに消えるルカ・・・という流れ)
「森って、宮を出れば全て森なんですけど・・・」
「やはり適当だな、あの先生。」
「まぁ、いいんじゃないんですか?きっとルカ先生は僕たちがどこにいるかわかりますよ。」
「やっほー⭐︎僕の可愛い生徒たち、そろったねー!」
「ほらね。」
ロランはそう言って声のした方に顔を向けた。
そこには白のローブを纏ったルカがいた。
「じゃ、これから授業だから僕についてきてね!」
そう言ってスタスタと森へ入っていく。
3人は慌ててルカの後を追う。
しばらく歩くと、大きな滝が虹を作る、開けた場所に出た。
「このへんでいいかなー?」
「ここは・・・?」
「ここは『龍の滝壺』だよーん♪」
「龍の滝壺・・・?」
「アカデミーの敷地にはいろんな場所があるけど、その中でも有名スポットかな?
大昔に、ここの滝壺の下に龍が封印された、と言われてるよ。
ま、高位の魔道士たちが色々調べたけど、何ひとつわからず、龍の痕跡もでず、どうやら迷信と断定されているけどね。」
「ふーん。」
アデルは大きな滝を見つめる。
滝から放たれる水飛沫が細かいミストになっており、あたりは湿り気を帯びた空気が霞のようにたなびいている。
太陽の光がさすと、空気中の細かな水滴を照らし、乱反射して、宝石のようにキラキラと輝いている。
「確かに幻想的な場所ですね。」
ロランがそう言うのも納得である。
「さてと!早速授業はじめるよー!」
ルカは一段と明るい声を出した。
3人はこの声音を聞いて、ものすごく嫌な予感がした。
「じゃ、滝壺に3人とも飛び込んでね。」
「はぁぁぁぁぁ?」
アデルとリューは思いっきり声をあげた。
育ちのいいロランは何も言わずに絶句している。
ルカといるとこんなんばかりである。
「先生、今日は授業なんですよね?」とロラン。
「ん?そだよー!」
「・・・・。」
「滝壺の下に何があるんだ?」とリュー。
「あ、それは飛び込んでからのお楽しみだよ。」
(いやいやいやいや!!!楽しみなワケあるかい!滝壺やぞ!怖いわ!)
3人は心の中でツッコミを入れる。
「この授業が終わると、3人とも治癒魔法の基礎は大体できるからさ!頑張ってね。」
「?!」
「じゃ、ほぉら!いってらっしゃい♡」
ルカはそう言うと左手の人差し指で3人を指差すと、その指をスイッと右下へ動かした。
あっという間に3人は空中に浮かんだかと思うと、そのまま滝壺に落とされた。
「えええええええええええ!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うぉーーーーーーーーー!」
3人の絶叫が響きわたる。
そして滝壺へと消えていった。




