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魔剣使いのパラディン~辺境に追放されたけど、出会ったケモ耳姉妹と開拓して最強王国を作ります~  作者: 遥風 かずら


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第11話 ゴーレム要塞化計画


「な、何なんだよ、このバケモンはぁ!」

「魔剣の魔力とテールの魔力で生み出されたクレイゴーレムだと思う」

「クレイゴーレム? オ、オレの魔力で、こんなバカでけぇ奴を……!?」


 テールの過ちに呼応して、魔剣が制御の利かない化け物を生み出した。魔剣自体に罪は無いとはいえ、出現したクレイゴーレムを止めるには……。


 魔剣はすぐに回収出来るとしても、集落の粘土質で生み出されたゴーレムをどうするべきか。テールの手にくっついたままの魔剣は、おそらく魔力を持つ者の力に反応している。


 しかしテールの魔力はマリシャたちよりも微少で、影響はそれほど感じられない。彼よりも魔力量が多い俺が魔剣に触れれば、魔剣はすぐにでも俺の手に収まるはずだ。


「クゥゥ、ロシャル! も、もうふざけた真似なんてしねえから、早く引きはがしてくれ!」


 テールをはがした後は、巨躯のゴーレムをどうするか考えるか。

 とりあえず魔剣に触れて、と。


「テール。もう大丈夫だ。魔剣は君の手からとっくに放たれた。魔力が減って疲れてるかもしれないけど、このまま砂浜の方に急いで逃げてくれないか?」

「えっ――あ、あれっ!? さっきまで手が全く離れなかったのに、こんなあっさりと……」

「砂浜でミアとマリシャが手当てをしてる。早く向かって!」

「す、すまねぇ……ロシャル、恩に着る」


 テールとマリシャは魔力に優れた兄妹。しかしテールは魔剣で何かしようという悪い気持ちがあった。それが今回の暴走につながったが、もうこんなことはしないだろうな。


 魔剣はひとまず俺の腰に収めて落ち着かせるとして。せっかく生み出されたことだし、クレイゴーレムを有効に利用することにしてみるか。


 意思も無く暴れるだけではあるけど、この巨躯は外から見れば脅威になり得る。とすれば、クレイゴーレムには手始めにセヴィラント島を要塞化する役目を担ってもらう。


 微少の暗黒属性が含まれているが、聖属性を注げばいうことを聞くようになるはず。


「――忠実なる光の盾となれ! 《レイ・オネスト》」


 魔剣を握っている状態では聖属性を存分に注ぐことは難しかった。しかし魔剣が"疲労"している今なら、ありったけの聖属性をこの手で直接ゴーレムに注ぐことが出来る。


 ――ユォォォォン……。


 聖属性が作用してゴーレムに心が入ったのか、声のような音が響き渡った。

 これで少しはマシになっていきそうだ。


 クレイゴーレムはしばらく静止したままになりそうだけど、この島を堅固なものとする為の始まりに過ぎないし、下手に動かさない方がいいかもしれない。


 かなり上を見上げない限り気付かないし、多分大丈夫のはず。


「ロシャルさまーー!!」

「ロシャルー! 終わったにゃー?」


 ミアたちの声が近づいて来る。テールや狼たちの治療が終わったのかな。


「ミア、マリシャ! みんなは落ち着いたかい?」

「大したことないにゃ! ロシャルは疲れてないかにゃ? ミアはまだまだ余裕があるから、ロシャルも癒せるにゃ!」

「癒す……って、甘噛みで?」

「それはロシャルだけにゃ!! テールたちには手をかざすだけにゃ!」


 何だ、そうなのか。普通に治癒出来るならそれでもいいような……。


「ところでロシャルさま。兄が出してしまった化け物はどうされたんですか? ロシャルさまのことですから、倒して消滅させちゃったんですよね?」


 砂浜からだと見上げなくてもゴーレムの姿は確かめることが出来る。まして彼女たちはずっと治療していて疲れているだろうし、今は俺だけを見ているから教えても平気かな。


「ええとね、実は――」

「にゃにゃにゃにゃにゃにゃ!? マリシャ、逃げるにゃー!! 上、真上にいるにゃー」

「えっ……真上?」


 ミアが先に気付いてしまったか。ゴーレム自体の動きは止まっていて脅威は無いとはいえ、事情を話さないといつまでも怯えさせてしまいかねないな。


 ミアに続いてマリシャも腰を抜かしてしまったし、早いところ説明しないと。


「マリシャとミア。落ち着いて! 上に見えているゴーレムは、もう動かないんだ。だから怯える必要は無いし、怖がらなくても大丈夫だよ」

「にゃー? 動かない……? 本当にゃの?」

「で、でも、わたしたちが体験した恐ろしさはそう簡単には……」


 ――なるほど。

 自分たちよりも大きい存在は今まで見たこと無かったうえでの恐怖か。


 彼女たちには先に説明して、テールと集落の狼たちが戻って来る前に落ち着かせないと。


「ミア! マリシャ! 大丈夫。俺がそばにいるから、落ち着いて話を聞いてくれないかな?」

「にゃー……ロシャルが落ち着いているなら聞くにゃー」

「きゃうぅ。ロシャルさま、落ち着くまで抱きしめてもらっていいですか?」

「大丈夫、何も心配無いからね」


 マリシャとミア二人揃って抱きついて来たところで、何とか落ち着いてくれた。さすがに耳に触れるわけにはいかなかったので、頭をなでなでしながらゆっくりと話をすることにした。


「……ふんふん? ゴーレムが島の要塞になるにゃ?」

「さすがです!! ロシャルさまにはそういうお考えがあってゴーレムを残されたのですね!」

「うん、そうなんだ。それで――」

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