表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奇師奇喪-クシクモ-  作者: 最上 虎々
第三章 ベルゼブブ紛争
45/53

第35話 アンチ・ビースト その7

「拒む力」を浮遊している自身の足元に使うことで急加速して、天羽では間に合わない程のスピードで顔面にパンチを捻じ込む瑠莉奈。


顔が歪む程の威力で飛んでくる悪魔の拳を受けることは想定外だったのだろうか。


大聖堂の壁面から立ち上がった天羽の姿は、つい数十秒前までとはまるで違っていた。


「はぁ、はぁ……ま、まさか……こんな事になるとは思わなかったよ……」


口調こそブレていないが、話すテンポは明らかに走っている。


「あっ、結構効いてます!ざまあみろですねっ!」


その姿は、明らかに人ではない。


前頭部からは二本の角が生え、全体的に肉体も「かなりデカい人」程度にはそこそこ巨大化している。


右手を右膝に手を置き、左手を地につけて立ち上がった、この悪魔は。


この悪魔の名前は。


「見たか、道明。瑠莉奈。アレが天羽……いや、ソロモン72柱の第7柱の悪魔……。そして、第1柱がしばらく空席になっている原因……!貴様の名前は……」


「説明ありがとう、ベルちゃん。そう、『天羽』じゃあない、僕の本当の名前は……『アモン』」


吹き飛んだ天羽は、「アモン」と名乗り姿を現す。


それは、ソロモン72柱の第7柱として記録されている悪魔の名前。


しかし一方、第1柱……その枠に入っていたであろう悪魔の名前だけは何をどう考えても思い出せない。


全くもってベルの意図が読めない上に、今目の前にいるのは名の知れた悪魔。


「【爛れた海域】」


アモンは短い詠唱の後、杖の先から大量に溶岩を放出する。


「離れるぞ、道明!アガレス!」


「はい!」


俺達が後退した瞬間、入り口から飛び出した炎が教会の壁を溶かし始める。


「教会が溶けてる!普通にこの教会って結構文化的価値高いんじゃなかったっけ!?」


「貴様は悪魔が神の為に作られた施設のことを考えると思っておるのか?」


「それもそうか。……にしても、とんでもない奴だな」


「これが奴の本気じゃ。オルレアンが跡形も無く消え去る前に、わらわ達はあやつを殺さねばならん」


「そうですね……!それっ!」


俺達は根本から溶けていくサン・クロワ大聖堂を抜け出し、瑠莉奈はその内外を繋ぐ出入口や扉などに岩盤の壁を張り、溶岩の噴出を防ぎつつアモンを内側に閉じ込めようとする。


「【爆炎】!」


しかしアモンが右手から放った高温の炎を伴う爆発は、まだ溶けていない大聖堂の壁にトドメを刺す。


その穴から、アモンは天を駆けるような大ジャンプでこちらへ飛びかかってくる。


「そんな!」


岩盤ではなく普通に壁を突破して教会から出てきたアモン。


閉じ込めは完璧では無かったことを想い知らされ、瑠莉奈は肩を落とすような仕草をとった。


しかし。


「本気じゃないだろ?」


「勿論です!それそれっ!」


瑠莉奈はすぐに立ち直り、大量のつぶてを弾幕に見立てて放つ。


「【炎のバリア】!」


これには堪らず、アモンも自身の周囲に炎のバリアを纏うことでつぶての威力を殺す防御策をとった。


そして、炎を纏ったまま俺達の退路を塞ぐように降り立つ。


「さあ、第二ラウンドじゃ!」


「望むところだよ。じゃあ、まずは手始めに……」


「……!兄さん、危ないっ!!」


「【人体発火現象】」


「……ん?」


アモンが指をパチンと鳴らす。


すると次の瞬間、「ゴォアッ」と、何か燃えるような音が左耳に入った。


「兄さん、肩、肩ァァァァーーーッ!」


「あっ!!あっつァァァァァァァァァァァァーーーッ!?」


音が聞こえた方へと視線を向ける。


視界にそれが映ると同時に、痛覚が反応。


俺の左肩を包み込むように、ごうごうと真っ赤な炎が燃え盛っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ