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呪いでTSして筋力を失ったので支援に徹底したら男パーティを追放された僕 ~追放されたけどもう遅かった。  作者: 終乃スェーシャ(N号)
二章:狂疾に因りて殊類と成る。今日の爪牙誰か敢て敵せん(思いがけずエルクロと邪なことをしたいと考えたら虎に(後略)
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エルクロは息を果てさせ、汗を拭いながら余裕のない笑みを引き攣らせていた。……さっきまで肌着一つ着ていなかったのか、上着一枚を羽織っただけのあられもない姿で。

 イラストは私が描きました。本当はもっと下まで描いてるけど規制怖いのでピクシヴのほうにあげときます。

 URLはあとがきに。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 ちゅんちゅんと。


 ――気づけば朝になっていました。エルクロと何かを話して……嗚呼、なんてみっともない。


 俺はまた気絶したらしいと、目が覚めるにつれ理解していく。


「…………」


 風林火山、静かたるごと林の如く、一日の始まりを取り戻すために日課を行なっていく。刀の手入れ。終え次第訓練室で素振り、居合……。


「やぁ、今日も精が出るじゃないか。昨夜のエルクロは観たかい? すっごくさぁ、よかったよね? おじさんロリコンに――危なッ! 部屋に入る瞬間に斬ろうとしないでよ」


 鋭く気配を研ぎ澄まし、鞘に収めた刀を一閃する刹那、ルロウは飛翔し、ギンロウが刃を抜くよりも疾く、鞘の(こじり)を押さえ抜刀を防ぐ。広がる両翼から脱毛するように赤い羽根が散っていく。


「人が集中しているときに部屋に入ってこないでください」


「いやここ訓練室なんだけどぉ? おじさんじゃなかったら怪我してるよ」


「その速さに追いつけなければ完璧なチームワークも成しえません。俺が一番弱いんです。少しぐらいはムキにさせてください」


「いやぁ。早いのも色々言われちゃうよ? え、もう終わりなのって言われちゃうよ? 馬鹿にされるよ? おじさんがさぁ……浮気されたのだってきっとそれが原因だと思うんだよね?」


 ルロウはヘラヘラと苦い笑みを浮かべながら自分で話しておいて双眸を潤ませる。良くない話に触れたらしい。


「その話はあとで腐るほど聞きますから本題を」


「サンゲツの件をギルドに伝えたら来てくれるみたいだからさ、エルクロを起こしに行ってくれないかい? おじさんは人通りのないルートを見てくるからさぁ」


「まだ寝ているんですか? ……というか追放とは? いえ、俺たちが優柔不断な所為ですねそれは……。とにかく起こしてきます。後で落ち合いましょう」


 ここ数日、いや、一ヶ月以上だ。俺たちは彼女に翻弄されている気がしてならない。我を保てているのは元から壊れていたユスティーツぐらいだ。だからこそ、距離を取ろうという話だったのだが。


「……逃げても蓋をしてもダメですね。今更」


 決心するように自分に言い聞かせた。まだ朝靄を纏った黎明を一瞥し、これ以上醜態を晒さないことを胸に誓う。…………胸に。


「思い出すな。忘れろ」


(なんだ? ボクのことを忘れたいのか? 少しさみしいな……)


 この目に刻まれた白い肌。スラリとした曲線。血の通った薄桃色。ほんの一瞬、鮮明に蘇ると共に封印しようとすると俺のなかで形成されているイマジナリーエルクロが嘲る。


 ――何も考えるな。心頭滅却。これから本物を起こすのに偽物はいらない。


 なんとか心に無を作り出し扉をノックした。


「エルクロ、起きていますか?」


「んぁ!? お、起きているぞ。す、すぐに準備する」


 素っ頓狂な声が響く。寝ぼけてはいないようだがやけに動揺していた。


「前にそう言って二度寝した所為で俺まで師匠に怒られたの忘れてませんからね。入りますよ」


「待て待て待て! い、今は入るな!! その……っ、服を着るから待て!」


 それから慌ててドタドタと激しい物音と足音を鳴らして、


「ぜぇ……フー……。冒険者組合ギルドの方に行くんだろう。問題ない」


挿絵(By みてみん)


 エルクロは息を果てさせ、汗を拭いながら余裕のない笑みを引き攣らせていた。……さっきまで肌着一つ着ていなかったのか、上着一枚を羽織っただけのあられもない姿で。


 身につけるべき下着は彼女の足元に散らばってフワついている。以前はサラシだったのに。今はもう違っていた。


「……ッ!? いや、どこが大丈夫なんですか? 着替えてください。それ、俺だからまだこんな態度で済みますけど絶対他でそんな格好しないでくださいね」


 目を見開きそうになるのも、顔を反らしそうになるのも、プライドだけで押し殺し堪える。事前に無を作り出していたおかげで気合だけで仏頂面を保ち続けた。


「大丈夫じゃないのに部屋に入ろうとするのが悪いんだろう……!」


 ジッと研ぎ澄ましたような眼差しが物を言う。脳みそがギクシャクして、朝を朝とは思えなくなりそうでそっと扉を閉じた。


「着替え終わったら言ってください」


「あ、ああ……。このことはお互いなかったことにしよう……?」


 いつになく弱々しい声が耳を撫でる。


(ハハン。ボクは男だったんだぞ? なのにギンロウは照れてるのか?)


 頭のなかでクスクスとエルクロが煽り笑った。……慣れなくてはならない。いちいち動揺したり気絶してる場合じゃない。サンゲツが虎になってしまった以上、俺がしっかりしなくてどうする。


 自分を律するように両頬を叩いた。……目を瞑ると脳裏に刻まれた数秒前のエルクロが鮮明に蘇ってくるので目を開ける。


 しばらく瞑想は行えそうにない。


「おーい、準備できたぞ?」


 いつもの格好……ではない。いつの間に買っていたらしい身の丈にあった防具と衣服。以前よりも軽装になっており、ひらひらと布地が揺れていて、可愛らしかったが。


 可愛いですねと言ったが最期、もう元には戻れない気がして息を呑むことしかできなかった。

 もしボクが可愛ければエルクロカワイイヤッターでもいいので感想を貰えると嬉しいのだがな。無論、ブックマークやレビューや評価はもっと嬉しいぞ? 下にスクロールすると行えるからな。

 して、一応ボクのイラストのゆーあーるえるを提示しておこうか。

 https://www.pixiv.net/artworks/120816228

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― 新着の感想 ―
てか今きずいたけどメッシュなんだな
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