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呪いでTSして筋力を失ったので支援に徹底したら男パーティを追放された僕 ~追放されたけどもう遅かった。  作者: 終乃スェーシャ(N号)
二章:狂疾に因りて殊類と成る。今日の爪牙誰か敢て敵せん(思いがけずエルクロと邪なことをしたいと考えたら虎に(後略)
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自分がベッドの上で一匹の巨大な虎になっていることに気づいた。

遊戯王見てたら投稿遅れました。申し訳ないです。

 二章:狂疾に因りて殊類と成る。今日の爪牙誰か敢て敵せん(思いがけずエルクロと邪なことをしたいと考えたら虎になってしまった。今の爪と牙では業が深い絵面になって困るなぁ。ってさんげつが。――るろう)



 ある朝、サンゲツが数時間の仮眠から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な虎になっていることに気づいた。


「ガウ(は? ……なんだこの毛は。体がおかしい)」


 慌てるように魔鏡氷を唱える。詠唱しようとした言葉も全て唸り声になったが、魔法自体は行使できた。宙に形成されていく魔を反射する氷の鏡。


 映ったのは金色の毛並みの虎。巨大な体躯。……似たような姿のモンスターがダンジョンの高層にいた記憶がある。


「カロロロ……(呪いの影響か? しかしキッカケもなく突然? ……とにかく、こういう非常事態は皆に相談しなくては――)」


 いや、待て。不意に思考が巡る。証拠も何もない推測の域だが、呪いに付け入られる隙は――あった。


『まるで獣じゃないか』


 寝る前にルロウと交わした他愛のない会話で自分が発した言葉。


 祖国の書物で読んだことがある。嫉妬やプライドを抱え続けたある男が己の精神に蝕まれてモンスターとなる話を。


 ――まさか、オレもそれと同じに? ギンロウとエルクロがサウナでイチャついていたことに嫉妬したことと、オレの醜いプライドの所為なのか?


「ガルル(嘘を隠し通せるとも思えない。ともすれば、説明するときにそれを全て洗いざらい吐かなければならないのか?)」


 仲間の目の前で虎となった身体を晒しながら、オレはギンロウがエルクロとサウナで汗だくになったことに、幼馴染だからそんなことができたのかと思い嫉妬して、醜い感情ゆえに獣に身をやつしましたと?


「ガぅ(言えるわけがない。言いたくない)」


 ……まだ決まったわけではない。何か一過性の病で身体の肉体が変質して虎になった可能性も…………無いと思うが。ゼロではない。


 数日で治る可能性だってある。だとすれば、恥を晒すのは様子を見てからでもいいだろう。


「ガル……(しかし何も残さないのもまずいだろう。流石にふみの一つでも残すべきか)」


 巨大な肉球でなんとか筆を握る。


 ――――小暑を過ぎ、空の青さが夏らしく輝きを増してきました。此度、サンゲツは私用につき数日ほど留守にします。不要な揉め事などはないため探さないでください。頼むから。そしてオレがいない間は何かあればルロウに頼むようお願いします。何かあったら全てルロウの所為にするように。


 書き終えて、重い肉球を降ろしたはいいがせっかく達筆に仕上げたというのに墨に汚れた前足で踏んでしまった。


 書き直すか……いや、気配が近づいている。ユスティーツがこちらに来る? ならば時間はない。隠し事はわたしの宗教では禁忌ですとか言って詰め寄られる先に一旦隠れなければ。


「ガオ(旅人を惑わす不可視の霧雨よ。【惑い雨】)」


 魔力量が減った様子はない。むしろ、増えた? 身体能力も向上している。この虎の身体に魔力で形成された霧を纏っていく。


 対象を不可視状態にする高位の魔法。しかし格上には通じないうえに長続きもしない。ひとまず必要になりそうな物をなんとか背負い、逃げるように窓からしなやかに飛び降りたようとして。


「やぁ、どうしてサンゲツの部屋にこんなおっかないモンスターがいるのか聞きたいんだけど、人間の言葉はわかるよねぇ?」


 空を飛んでいたルロウに一瞬で見つかり、置き手紙も見られ、ただの通りすがりの猫のフリをするのは不可能だった。


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

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