3.私に聞かれてもなぁ~
全員の鑑定を無事済ませると、一同は石造りの螺旋階段を昇り始める。
どうやら場所を変えるようだった。
カツーン・・・カツーン・・・。
テクテク・・・。
ペタペタ・・・。
足音が反響する。
ちなみにペタペタは豊の足音である。
部屋で寝ていたから裸足であった。
ー 場所よりも服装を変えさせて欲しいものだ。
そう思った。
豊は今パジャマ姿である。
季節が冬であったから、厚手のモコモコのパジャマであった。
パジャマが汗を吸い込み、所々濡れていて非常に気持ちが悪い。
あと重い。
螺旋階段を昇っていると、前を歩くコンビニ服の女(佐藤恵理子30歳)がしきりに豊を振り返り、あろう事か両手で尻を隠した。
さらに性格の悪さが伺える両目で、キッと睨んできた。
ー いや、見てないからな?そんな貧相な尻など、興味無いからな?まったく冤罪も甚だしい。コイツは自意識過剰女だな・・・。
などど言いつつ、しっかりチェック済のおっさん(梶田豊33歳)であった。
道中が暇なので、豊は気になっていたスキル、鑑定を使ってみる事にした。
ー 取りあえずは、前を歩く自意識過剰女に使ってみるか。
【鑑定ノ スキルヲ使イマスカ?】
偽装のスキルを使った時と同じ様に、頭に機械音声が流れる。
ー ハイ使イマス。
偽装のスキルを使った時と同じ様に、機械音声につられて答える。
【TARGET ヲ指定シテ下サイ】
突如、機械音声がネイティブな発音をした。
巻き舌の癖が強すぎて、始めは何の事なのか分からなかったが、頭の中にTARGETの文字が浮かんでいたので「あ~ターゲットね」と理解する事が出来た。
視界にFPSゲームで使われる、焦点の様な物が現れた。
レーザーポインターと呼ばれる物である。
豊は迷わず自意識過剰女の後頭部に焦点を当て、クリックした。
名前:佐藤恵理子 年齢:30歳
種族:人間 職業:勇者 (なのかもしれない)
攻撃力:62
防御力:43
素早さ:35
HP :75
MP :43
ー ん・・・?
豊は首を傾げた。
- 勇者 (なのかもしれない)ってどういう事だ?
次にへなちょこ不良少年に焦点を当ててみる。
名前:川崎文也 年齢:17歳
種族:人間 職業:勇者 (だったら嬉しい)
攻撃力:112
防御力:85
素早さ:12
HP :158
MP :19
ー 勇者 (だったら嬉しい)って誰目線なのだろうか?妃が鑑定をかけた時、見えなかったのだろうか?見えててスルーしたのだろうか?
分からない事だらけである。
そしてスーツ男は・・・。
名前:山田一郎 年齢:24歳
種族:人間 職業:勇者 (なんでしょうか?)
攻撃力:86
防御力:60
素早さ:29
HP :101
MP :37
ー 勇者 (なんでしょうか?)なんでコイツだけ疑問形なんだ?誰に質問してるんだ?
勇者 (なんでしょうか?)
「私に聞かれてもなぁ~・・・」
豊は小さな声でぼやいた。
地上へと出る扉の前に着いたため、鑑定タイムは終わりを告げた。
鑑定しちゃうんだよなぁ~・・・。
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