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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第7章 技術不足で誤魔化さないで
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バンド、求められるもの

 全部で5バンドの内、俺らの出番は2番目ということになっている。

 あくまで今の段階のもので、今日の出来次第で本番の順番が変わることになる。

 別に順番なんてどうでもいいし、与えられた演奏を最低限成し遂げれればそれでいい。

 トリだろうがトップバッターだろうが、やることは変わらないのだから。

 

「本番よろしくお願いします!」


 全てのリハーサルが終わり、本番の準備に取りかかる部員達、PAはそれぞれのバンドの最終確認に入り、演者は個人の楽器を簡単に調整している。

 俺は、というよりもここにいる部員のほとんどが、自分以外のバンドの演奏を見る、初めての機会になるんだよな。

 こいつらの演奏を見ることで、何か得られる物があればいいのだが。


 最初のバンドは琴実達のやつだ、リハーサルの段階ではメンバーそれぞれの音がしっかり出てたし、全体で合わせていた時の中音外音の調整もしっかりしていた。

 以前音琶から琴実のバンドはメンバーのまとまりがしっかりしているって聞いたな、どうやらその言葉に偽りはなかったようで、あとは演奏技術ができていれば初心者の中でも頭一つ飛び抜けていると言っていいだろう。


 何だかんだ琴実のベースが前見た時よりも格段と良くなっていて、こいつが初心者であることを一瞬忘れている自分がいた。

 そして何よりも淳詩の成長が著しく、長い時間練習に費やしていたのであろうことが窺えた。

 まあドラマーで集まったときも何だかんだ可能性を感じてはいたから、練習のやり方を間違えてさえいなければいくらでも上手くなっていく要素はあったわけだが。

 多分こいつはドラマーとしての役割を理解しているのだろう、だからこうしてリズム隊の中心となることができている。

 曲は初心者向けのものではあるが、だからと言って舐めてかかっていいわけではないし、簡単だからこそ正確なリズムを刻むことを求められる。

 確かに、完全にそれぞれの楽器の音が見事にシンクロしているとは言い難いが、それでもメンバー同士でしっかり話し合っているのであろう、という印象は得られた。

 正直言って俺らよりもずっとバンドとしての体裁が保ててはいた。


 ・・・・・・・・・


 琴実達のバンドは俺らのバンドよりも優れていると思っているから、いきなり最初からあんなものを見せられてはこっちだって負けているわけにはいかない、という想いが芽生えつつあった。

 さっきのバンドのドラムセットから、タムやシンバルの位置が俺の叩きやすいものとかけ離れていたから、ボルトを動かして高さを変えていく。

 丁度良い高さになったら全員の準備が整うまで待つことにする。


 音琶はこれからバンド名を初公開するわけだが、果たしてどんなものになるのか、リハーサル待ちの間ずっと考えていただろうから、人前で名乗っても何も問題ない名前になるのは分かっている。

 だとしてもどんなものになるのか期待半分不安半分といったところだ、結羽歌もさっきから音琶の方を何度も見てハラハラしてるし、湯川はまあ、何の興味も示してない感じだが、少しばかりは意識してくれていると思いたい。


 そしてとうとう、音琶がPAに準備完了の合図を出し、部室内が静まり返った。

 ステージの中心に立つ少女は、大きく息を吸って、口を開く。


「私達は______」


 今この瞬間、俺らのバンド名が決まり、そして、部室内に旋律が響き渡った。

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