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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第36章
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電話越し、姉妹の絆

 ついに私もビキニデビューしちゃうんだ......。


 部屋に戻ってさっきまでの出来事を思い出す。夏休みに入って帰省して、実羽歌の受験勉強の息抜きに付き合って、海にも行って......。

 今年の夏も、色々と忙しくなりそうな気がする......。


 ちょっと気晴らしに、実羽歌に電話でもしてみようかな。

 LINEの通話を押して、スマホを耳に当てると、2コールもしないうちに実羽歌が出てくれた。


『あ、お姉ちゃん? 突然どうしたの?』

「うん、ちょっと話したくなって......」

『そっか~。みうもお姉ちゃんの声が聞けて嬉しいよ!』

「良かった......。今忙しかったりしなかった?」

『大丈夫! 丁度休憩中だったんだ!』


 休憩中っていうのは、受験勉強のことかな? 鳴大に入りたい気持ちは、今も変わってないみたいで、安心した。

 弓道部の大会が近いこともあるし、毎日忙しいんだと思うけど、こういうときこそお姉ちゃんが妹の支えになるようにしないといけないもんね......!


「勉強中、ちゃんとチョコ食べてる? 集中出来てなかったら、食べるといいよ」

『チョコ!? それは休憩中に食べるものじゃないの!?』

「何かしながら食べると、集中出来るようになるからね」

『そっか~。今日から試してみるね!』


 私と同じサークルに入るため......ってことが全部ではないと思うけど、ちゃんと毎日勉強頑張っているみたい。

 実羽歌の無邪気な声が、受験に対する本気度を伝えていた。私だって、1年だけになると思うけど、実羽歌と同じ部室で一緒に部活動をしていきたいし、同じライブで対バンだってしたい。

 何が何でも叶えたい願い。1つは実羽歌に演奏している姿を見せること。もう一つは、言わずもがな決まっている。


「勉強、順調?」

『う、うん。なんとか、頑張ってるよ』

「......」


 電話越しからでも、実羽歌の声に陰りが感じられた。部活との併用が難しくなってきているのか、それとも模試の成績が下がってきているのかはわからない。

 だけど、実羽歌の声からは不安と焦燥が滲み出ていた。私も受験期は何度も壁にぶつかっていたし、落ちたらどうしようとか考えたりもしていた。琴実ちゃんとのいざこざもあったし、割と精神的に参っていたりもした。


 でも、自分の力だけは最後まで信じ切ったし、大切な人の応援もあって、無事に合格出来た。

 だから今度は、私が大切な人に応援しないといけないんだ。


「そ、そうだ! 実は私、琴実ちゃんに頼んで演奏中の動画撮ってもらえることになったんだ......! 来月になったら送れるから、楽しみにしてて......!」


 叶えなきゃいけない約束。私次第でも、実羽歌次第でもある。

 実羽歌が見たいって言っていた、私がベースを弾く姿......。ちゃんと目に焼き付けて、実羽歌も私と同じくらい音楽を好きになってくれたら、嬉しいから......。


『わぁ! お姉ちゃんとうとうライブの動画送ってくれるんだね! 凄い楽しみだな~』

「うん、実羽歌の期待に応えられるように、頑張って演奏するからね」

『うんうん! お姉ちゃんの演奏動画見れたら、勉強もっともっと頑張れると思うから......!』


 声でわかる......。今、実羽歌は大きな壁にぶつかっていて、なかなか這い上がれないで苦しんでいる......。

 そんな実羽歌を救えるのは、この世界で私一人だけだ......。


 実羽歌を救う方法......それは、ライブ本番で私が精一杯の演奏をすること......。


 難しいことだけど、難しくはない。

 実羽歌を思う気持ち、そしてサークル、バンドメンバーを思う気持ちを1つにすれば、きっと叶うはず。


 今、私に出来ることは何だろう。

 そんなの、自分に言い聞かせなくたって、とっくに分かっているよ。


「実羽歌を喜ばせたいから、私、本番頑張るね!」


 帰省したら、改めて実羽歌からいっぱい話を聞こう。

 実羽歌がどんな悩みを抱えていて、何に対して不安を覚えているのか、電話だけだと全容まではわからない。


 早く、実羽歌の顔が見たいな......。

 面と向かって言葉を交わしたら、きっと大きな壁も乗り越えられるはずだよ......!

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