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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第35章
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撮影会、嫌がる理由とは

 帰る前に結羽歌ともう一度写真を確認して、Twitterに載せるのにどれが相応しいか話し合う事になった。

 それよりも先輩達の練習風景の方が印象に残っちゃって、私の中の優先順位が曖昧になりつつあったんだけど......、引き摺ってても仕方無いから今は宣伝のことを考えないとね。


「どれがいいかな......」

「全員写ってるやつを4枚にするより、一人ずつの写真を4枚にした方がいいかな?」

「うーん......、せめて1枚は全員のやつ載せたいと思ってるけど......」


 千弦がいない分、私が責任を持って写真を選んでいくことになったんだけど、全部で30枚くらい撮ったから、その中からたった4枚選ぶのも難しいな......。

 結羽歌の意見通り、最低1枚は全員が写っている写真を選んだ方がいいかも......。ボケているのは論外として、誰が見ても違和感の無い1枚と言えば......、


 スマホを横にスライドして写真を眺めていく。私達も似たような写真を撮られることになるんだから、どんな角度が魅力的に見えるかも考えた方がいいかもね。

 全員の顔を上げても大丈夫って先輩達は言ってたから、切り捨てるものはあんまりないかな。不自然なくらいカメラ目線なのは宣伝に向いてない気もするけど。


「ね、音琶ちゃん」

「ん、どうしたの?」

「私達、夏音君だけ、顔写せないんだよね......?」

「ああ、えっと......」


 この前の部会で言ってたけど、夏音は顔出しを酷く嫌がっていた。理由までは分からなかったけど、あれだけ嫌うんだから、それなりの大きな理由があるんだと思うけど......、正直あそこまで言うことは無いんじゃないかな、とは思った。

 響先輩に対して舌打ちしていたくらいだし、夏音のちょっとした判断でバンドの雰囲気が悪くなったら、なんてことは考えたくない。折角好きなメンバーでバンドを組めたんだから、ライブは最高の形で締め括りたい。


「音琶ちゃんは、何か知ってる......? 夏音君があそこまで写真撮られるの、嫌がる理由とか......」

「うーん......、心当たりはないかな......」

「そっか......」


 ライブが終わったら集合写真は間違いなく撮ることになる。夏音はそれさえも拒んでいる様だったし、ただの写真嫌いってわけではなさそう。

 ってか、私とのツーショットは喜んで受け入れていたはずなんだけど、あれは私の見間違えだったのかな? その写真は今でもスマホの中にあるし、夏音にLINEで送ったこともあった。それともTwitterに上げてないからセーフってことなのかな?


「私......、宣伝用の写真はともかく、集合写真はちゃんと、夏音君にも写って欲しいかな......。宣伝係ってのもあるけど、みんなで作り上げるライブだから、みんなで頑張ったって証を、Twitterでも残したいよ......?」

「結羽歌......」


 これも宣伝係としての意思の1つだ。部員を守ることを前提としているんだし、結羽歌が写真の悪用なんかするわけがない。

 夏音が何を気にしているのかは知らないけど、バンドの......サークルのやり方を否定するようなことはして欲しくない。


 私の事情を知っている夏音なんだから、私が遺したい思い出が何なのかも、きっとわかってくれるはずだよ......。


 ・・・・・・・・・


 6月9日


 写真はまだアップしていない。全バンド撮り終えたら一遍に載せることになったからだ。

 LAST EMERGENCYの練習を見てから2日が経ち、とうとう私達のバンド、unknown worldの撮影日となった。夏音は相変わらず不機嫌そうな表情をしていたけど、練習に掛ける強い気持ちは相変わらずみたいで、スタジオに入るなり椅子やタムを動かしては落ち着きの無い様子を見せていた。

 落ち着きが無いのは、写真を撮られる事への抵抗があるからかもしれないけどね。


「みんな揃ってるわね。準備済ませたら適当に演奏始めてていいわよ、問答無用で撮っていくから」


 そんな夏音の機嫌とは裏腹に、結羽歌と千弦の代理として撮影をすることになった琴実が合図を出していた。

 どうせ琴実のことだから夏音の意見なんか聞いてないんだろうけど、調子に乗りすぎて夏音の気分を損ねるようなことだけはしないでね......。


 準備までは順調だったし、日高君もチューニングが一人で出来るようになってきているから、全員の用意が整うまでの時間は以前より短縮されていた。

 千弦に関してはピンボーカルでマイクくらいしか扱う機材がないから、日高君よりも覚えが早かったかな? 千弦の準備が完了する時間の方が私よりも速くなってきているから、ちょっと焦っちゃう......。


「準備出来たよ。これから全体練習始まるから、琴実はどんどん撮っていって!」


 最後に日高君のチューニングが終わって、音合わせの時間に突入した。琴実に合図を出し、スマホを構えてもらう。


「良い写真にしてやるわよ。絶対バズらせてやるわよ!」


 琴実はすっかりやる気だけど、夏音は大丈夫かな?

 心配な気持ちもあったけど、先輩達の練習を見た後だから、不安な気持ちも心の奥に残っていた。

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