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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第35章
522/572

未知の世界、私達の知らないこと

 ***


 これが最後のバンドになるかもしれないんだから、バンド名はカッコイイ名前にしたいし、みんなが覚えやすい様にもしたい。

 この5人に相応しい名前って、何があるかな......。


「バンド名と言えばやっぱ難しい英語とか使いたいよな」

「無理に格好つけないでシンプルに決めてもいいと思うのだが」

「印象に残る名前......がいいかな?」


 琴実と響先輩は決まったみたいで、グループLINEでバンド名が送られていた。Not Equalってバンド名になったんだ......。あの2人なら、なんか合ってる気がする......。


「あ、琴実と部長、決まったんですね~」


 通知に気づいた千弦が、すぐ側でスマホを見つめている2人に声を掛けていた。琴実がそれに応じるように手を振り、響先輩は荷物を纏めて立ち上がる。


「俺はこれから研究室行かないといけないから帰るね。君達も決まったらLINEのグループにバンド名書いといて」

「あ、はい!」


 響先輩は帰っちゃったけど、琴実は椅子を私達が集まっている所まで持ってきて、輪の中へと入っていった。


「悩んでいるみたいね」

「うん、まあね」


 琴実の問いかけに私が答えて、後の4人の様子を窺う。A4の紙にシャーペンで色んな言葉を書いているんだけど、さっきから書いたり消したりの繰り返しで全然進む気配がない。


「何か色々考えているみたいだけど......」


 琴実も紙に目を通して考え込む。難しい顔しているけど、そんなに私達センス無かったかな......?


「琴実......?」

「そうね......、やっぱりこういうのってメンバー間で感じたことを名前にした方がいいんじゃない?」

「メンバー間で感じたこと?」

「私の場合、響先輩とは音楽への姿勢も感じ方も何もかも違っていたから、Not Equalって名前にしたんだけど、結構型に嵌まっていると思っているわよ? あんた達も、5人の間で何か特別に感じたことくらい沢山あるんじゃない?」

「うーん......」


 琴実、割と単純な理由で決めたんだね。バンドってそんなものなのかな? 世界的に有名なバンドでも、スタジオに入っている時間を文字って名付けたって話あるくらいだし、あんまり難しく考えない方が良さそう......。

 5人の間で特別に感じたことか......。何だろう、私と夏音はよく似ている様に思ったことあるけど、あとの3人とはどうかな? 結羽歌とは長い付き合いって言っても良い仲だけど、日高君や千弦とはまだそこまでだし、仲良くなるのもまだまだこれからって感じだよね?

 お互い知らないこともきっと沢山ある。夏音以外は、私の秘密だって知らないし、私だって夏音が過去にどんな悩みを抱えていたのかも知らない。


 知らないことが、沢山......。


「ハッ......!」


 ふと思いつき、思わず立ち上がってしまった。琴実は勿論、周りのみんなが驚いて私に釘付けになる。


「ど、どうしたのよ突然立ち上がって」


 目を丸くしながら琴実が聞いてくる。



unknownアンノウン worldワールドってどうかな!? バンド名!」



 知らないこと、私の、私達の未知の世界。それを英語にしただけの、単純な言葉。だけど、私の中ではしっくり来る。相応しいバンド名だって思える。

 あとは4人の意見次第だけど......。


「音琶、なんでそれが良いって思ったんだ?」


 一番最初に聞いてきたのは夏音だった。やっぱり夏音は、私の考えてることが気になって仕方無いんだね。可愛いやつめ。


「私達、みんなそれぞれ仲良いと思うし、お互いどこかで似ている所もあると思うんだ。でもね、知らないこともいっぱいあるはずなんだ。どんなに仲良い人同士でも、全部を知っているわけじゃない。私だって、夏音のことも、結羽歌のことも、日高君のことも、千弦のことも、全部は知らない。全部知ることまでは出来ない」

「......」

「だけどね、絆を深めていけば少しずつでも知ることが出来るんだよ......!」


 言いたいことは言い切った。結局私は本音でしか物事を語れない。でも、本音だからこそ名前を考えることが出来た。

 却下されても構わない。だけど、せめて私の考えが残る形で決まって欲しいな。


「......俺は音琶の案に賛成だ。あとの奴らはどうだ?」


 返答を待っていた時、夏音が静かに口を開いた。『音琶の意見だから』という意味じゃなくて、ちゃんとバンド全体に相応しいと感じたから賛成した、という気持ちが充分に伝わっていた。


「俺も良いと思うぞ」

「うん、私も、このバンド名、合ってると思う......」

「音琶センスあるよ~!」


 夏音に続いて、日高君達も一斉に頷く。私が考えたバンド名、みんなに認められたんだ......!


「無事に決まったようね、良かったわよ」


 琴実も安心したように言っていた。変な名前だとは思われてないみたいだし、琴実からもらったヒントのお陰で決めれたも同然かな?


「そ、そしたら! LINEのグループ名変えるから!」


 素早くLINEを開き、右の親指を動かす。

 そして、未知の世界を切り開こうと言う気持ちの籠もったバンド名を打ち込む。


『今日から私達は、unknown world、だよ!』


 LINEで文面を送信すると、即座に既読が4つついた。

 まだまだ知らない世界だけど、本番まで、想像出来ないくらい楽しい時間が過ごせたらいいな!

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