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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第35章
520/572

最低一人、写真を撮る人

 +++


 妙な雰囲気ね......。

 夏音と日高がギクシャクしているようにしか見えないのだけど、何かあったのかしらね。音同に入部したばかりの頃は普通に仲良さげだったのに。

 ま、夏音も夏音で結構我儘なとこ、あるんだけど。


「てか思ったんだけど、練習風景撮るんならバンドメンバー以外に最低一人は必要じゃない?」

「......」


 重くなった空気をどうにかして和ませようと、私も提案を出して話を進める。

 Twitter係が結羽歌と千弦じゃ5人バンド全員を写すことは出来ないし、私のバンドだって誰か写真を撮ってくれる人が居ないと宣伝が出来ない。

 メンバーじゃない人がスタジオ入って練習を見るのは禁止事項じゃないんだし、様子見も兼ねて写真撮っても良いと思うわよ。


「結羽歌と千弦は、私のバンドと響先輩達のバンドの練習を撮れば良いはずよ。5人組バンドは私もスタジオ入って、写真は2人に後で送るから。それでいいでしょ?」

「全員写すんならそうした方が良いね」


 大して上手い説得は出来ていないけど、これもサークルにおける人間関係を探るのに必要な過程のはずよ。たった今響先輩だって私の意見に同意してくれたんだし......。

 それに、私が5人組バンドの練習を見学すれば結羽歌のベースだって見れるんだし、夏音と日高がどんな感じで共鳴しているのかも知ることが出来る。


 この2人、少し揉め気味だったけど何かが引っかかるのよね......。夏音は今までとは見違えるくらい音楽に夢中になっているし、日高は変わってしまった夏音について行けてないように見えるのよ。

 微妙なすれ違いから亀裂が生じるのは、私の経験上充分有り得る話だし、サークルの大事な時期にギスギスは避けたいわよ。


 夏音が去年と今年で変わったのは、私も気持ち悪いくらい不思議に思っていることだし、練習風景を見れば何かが分かるかもしれないわね。

 初心者の日高のことだし、どうせ経験者に囲まれての練習がストレスになっているだけだと思うけど、誰かの演奏を見て自分の演奏に活かすのも大事な勉強よ。ましてや宣伝も兼ねているんだから一石二鳥よね。


「取りあえず響先輩と、5人組バンドの次のスタジオの日、教えて欲しいわね」

「俺は明後日の夕方4時に入ってるよ」

「......来週火曜の夜8時」


 響先輩と夏音、全く異なる口調だったわね......。夏音のバカはまださっきのこと引き摺ってるのかしらね? どんなトラウマがあって写真撮られることに躊躇してるって言うのよ......。別に変な事に使うわけじゃないのに。


「そしたら、今の時間に写真撮りに行くので、スタジオに1人追加してもらえますか? 勿論代金は払います」

「了解だよ、帰ったら留魅達にも伝えておくから」

「......そうしてくれないと困る」

「む......」


 相変わらず夏音は一言余計よね......。音楽の熱が強くなったところで人柄が良くなるってわけでもないってこと......?

 不機嫌なドラマーにはなるべく干渉しないようにして、響先輩の対応にはいつも助けられているわね......。


 もし来年、私に後輩が出来たら、これくらいの配慮が出来るようにならないといけないのね......。

 大丈夫かしらね......。結羽歌に負けて、先輩の偉大さに気づかされて......、自信、無くしてなければいいのだけど、私。


「と、取りあえず、私からは以上です。意見聞いてくれてありがとうございます」


 軽く一礼して席に着く。あとはアレね、バンド名決めないと今日は帰れないのよね......。

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