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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第34章
506/572

返答、部員全員で

 ***


 5月22日


 ライブまで1ヶ月半を切った。皆それぞれスタジオを借りて練習したり、本番の構成をどうしようか考えて上手くやっている。

 全部で3バンド、方向性も音楽性も全く違う。十人十色(3つだけだが)の個性を活かすためにも、日々の努力が大事になっていくわけだが、ここ数日の部員の表情は以前よりも明るくなっていた。少々強引だったかもしれないが、サークルの現状をしっかり鑑みての行動なのだから、間違いだとは思っていない。

 現に良い方向に近づけているのだから、今のままで計画を進めれば大丈夫なはずだ。このまま立ち止まらずに本番に備えればきっと成功するに決まっている。


「取りあえず本番まで1ヶ月半を切ったけど、みんな練習は順調かな?」


 部会が始まり、響先輩がホワイトボードの前で立ちながら話を始めた。響先輩の問いに軽く頷く奴も出れば、特に反応を示さない奴も居た。まあ後者は俺なのだけれど。


「どうやら上手く行ってないわけではないようだね。安心したよ」


 そう言いながら響先輩は後ろを向き、黒ペンでボードに文字を書き始めた。本番が近づくにつれ、やらなければいけないことはどんどん増えていく。

 ライブというのは、ただ演奏すれば良いだけではないのだ。演奏する環境を整えるのも大事だし、第一観客が集まらないとそれはライブとは言えない。


「そこでうちがやらなければいけないことが1つある。それは、ライブの宣伝だね」

「......」


 ライブは演者と観客、どちらか一方だけでも欠けたら成り立たない。演者が一生懸命音を奏でても、見てくれる人が居なくては意味が無いし、人が沢山集まっても演者が音を止めてしまってはライブの形が出来上がらない。


「宣伝にはポスターとチケットが必要だけど、今回は体育館でのライブだからチケットは作らない方向で行こうと思っている。でも、その代わりにビラは作りたい」


 体育館のライブで金を取るのは流石に鬼だと思うし、ライブハウス借りるにしても部費でどうにか補えるくらいにはしておかないといけないだろう。

 まあ、音同の現状を見る限りだと暫くは金を取るライブしておかないと、存続の危機になりかねないけどな。


「ビラとポスターは同じイラストにするつもりだけど、サイズが違うから開演時間や場所の表記は変えていこうと思っている。そこは何度かLINEや部会で確認し合うことになると思うけど、反対意見とかは無いかな?」


 響先輩と質問に全員が首を振る。音同のやり方に不満を感じる者が居ないのは単に賛成しているだけなのか、それとも言いたいことを言えずに我慢している奴が居るからなのか......。どっちにしろ相槌ではなく何らかの形で声を出した方が良いような気もするがな。

 後で『不満があります』だとか『このやり方には反対です』なんて言っても手遅れだからな。


「......みんな賛成みたいだね。そしたら明日から動いていこうと思ってるけど、取りあえず原案は俺が考えてきた。全体の七割くらいはイラスト完成しているから、今日中に終わらせて後は文字表記に回していこうと考えている。本当は誰かにやらせようと思っていたんだけど、全体練習のこともあるし、あまり時間無さそうだったから隙間時間使って俺1人で考えてた」

「......」


 ......いやいや、あんた1人でやってたのかよ。さっきまでの言い方だと何も手を付けてないと思ってしまうのだが?

 俺らがやることと言えば文字の表記をどのようにするか、ポスターを何枚刷ってどこに貼るか、そしてビラ配りをどの日程で動かしていくか、だな。


「日付が変わる前には全体LINEでイラストを載せる予定だから、文字での宣伝の意見を1人最低1個は言ってくれたら助かる。全部完成したら音同のTwitterアカウント設立して、SNSでも本格的に宣伝をしたいと思っているよ。練習の方も忙しくて無理を言っているかもしれないけど、協力して欲しい」

「別に無理な相談でもないですよ」

「......!?」


 だんまりな部員に嫌気が差したのかもしれない。不意に思っていたことが口に出てしまったようだ。

 だけどもまあ、そんな難しい話でも無かったし、この程度のことに反対する奴がこのサークルに居るとは思っていない。

 これくらい、ライブを企画するのに当たって当然の作業なのだから。


「......やっと、口を開いてくれたね」


 俺の意見への返事とは言えない......か。だけども、響先輩も同じ疑問を抱いていたようで、安心はした。


「みんなももっと、言いたいことははっきり言おう? これはみんなで作るライブなんだからさ」


 そんな響先輩の問いかけに......、


「「「はいっ!」」」


 ようやく、部員全員が声を揃えて返事をしていた。

 取りあえず、修正すべき箇所はまだまだ沢山ありそうだ。

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