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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第34章
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目的、明確になったから

 目的は見つかった。あとは実行に移して成功させるだけ。長期戦にはなるし、その間に何度も行き止まりに直面するだろう。

 大切な人だって居なくなるかもしれない。それでも、沢山の人を巻き込んだ分、最後まで成し遂げないと意味が無い。


 挫折も経験することは想定している。予想外の出来事に遭遇する可能性だってゼロではない。

 それでも俺が動こうと思ったのは、隣に音琶が居てくれるから。音琶と過ごしたかけがえのない思い出が俺の記憶に焼き付いているから。


 ・・・・・・・・・


 5月9日


 朝10時、いつもの土曜より少し早めに起きて体育館の様子を見ることにした。

 バイトに行くまでの時間、少しでも2ヶ月後のライブに向けて出来る限りのことをしないといけないと思った。

 そもそも体育館で活用出来る機材を探しておかないと、ライブハウスで何の機材を借りれば良いのか把握が出来ない。金は最低限に抑えておきたいから、配列は陳腐な物になっても仕方が無いが、どうすれば質の良いライブが出来るのか、しっかり考えてから機材の借用を実行しないといけない。


「結羽歌が言わなかったら、ホントに夏音は1人で全部するつもりだったんだね~」

「まあな、これは俺が勝手に始めたことだから」

「でも、ライブをやりたいって気持ちはみんな同じだったもんね」

「それは......、そうだな。正直お前らがそこまで思ってくれてるとは思ってなかった」

「ちゃんとみんなのこと信用しないとダメなんだよ? 音同進化させるんだから、1人で抱え込むのはダメ」

「......」


 大学構内を廻りながら音琶の話を聞き流す俺。そんな俺に不満を覚えたのか、音琶が前に立って足を止めに来た。


「ちゃんと私の話、聞いてる?」

「一応は」

「だったら、頷くくらいはしないとダメだよ?」

「......すまんな」


 ここまで誰かの為に動こうと思ったのは久し振りだ。高校時代の経験からして、俺が誰かのことを考えて行動することに意味を成していないと思っていたから......。

 だから今回も1人で解決させようと思っていた。だけど、あんなにも情熱的にサークルのことを思っている奴が沢山いたことに衝撃を隠せなかった。


 環境が悪かったのか、俺のやり方が間違っていたのか、今更自分に問うても過去は決して変わらない。

 だけど、今の状況は過去とは違う。被害妄想なんかしている暇なんて、どこにもないのである。


「早くしないと、バイトの時間になっちゃうよ! 急がないと!」


 俺よりもずっと前の方に行って、音琶は手を振りながら急かせてくる。そんな少女の後に付いていこうと、俺も足を速める。




 音琶と奏でる冒険は、終わりに近づいているのだろうか。それとも、まだまだ始まっていないのだろうか。

 どっちにしろ、成し遂げるべき事は明確だ。去年よりもずっと、やりたいことがしっかりしている。


 絶対に成功させてやる。最高のバンドだって、必ず見つけてみせる。

 そう決めた。

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