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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第32章
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新たなバンド、響達からの指摘

 4月26日


 結羽歌と琴実のベース対決が終わり、本格的にバンド活動が始まることになる。これから決めないといけないことは沢山あるし、ライブの日程だってどうするか......。

 音琶の事情を考えたら1秒たりとも無駄に出来ない程追い詰められているわけだが、日高や結羽歌に秘密を暴露するにはもう少し余裕が欲しいし、まずは1回だけでもライブをしておかないとノルマを達成は出来ない。


 少なくともオーナーは事情を知っているわけだが、音琶がどうやってここまでやってきたか、どれくらいの頻度で病院に通っているのかについては知らないはずだ。

 健康状態が如何なるものなのかは俺だってわからないし、音琶自身がどれほど身体に負担が掛かっているのかも直接本人から聞いていない。


 俺の直感からしたら、一度診察を受けない限り今後の計画は不明瞭、といった所だろう。

 音琶自身が病院に行くことを拒んでいるのだし、医者の方だって音琶に対して自由な行動を取れるように尽力しているのだ。延命出来るのなら、まずはやりたいことをやらせる以外に方法はない。

 医学についてはさっぱりな俺だが、物理や化学では証明出来ない人間の生命力が試されている様な気がしていた。


 それに、最高のバンドとやらが出来上がるまでは俺が音琶を死なせない。

 目指したモノは簡単に諦められない。大切な人を守るのなら尚更だ。


 始まったばかりの物語に、終止符を打つ必要なんて、ないはずなのだから。


 ・・・・・・・・・


「何だかんだバンドメンバーは決まったみたいだね」

「そうですね」


 昨日バイトを休んだ分、と言ったら大袈裟かもしれないが、再び響先輩のバンドを見ることとなった。

 土曜日の休みを日曜に回されたわけだが、偶然にも響先輩達が組んでいるバンドが出演する日と重なったようだ。


 響先輩達が組んでいるバンド、|LASTラスト EMERGENCYイマージェンシー

 響先輩がリードギターで留魅先輩がベース。そして、ギターボーカルの高岡利華(たかおかりか)先輩、ドラムの船見静司(ふなみせいじ)先輩。

 男女半々の4人組バンドだが、音同を支える大きなバンドであることに間違いはない。俺らはそんなバンドを超える存在にならないといけない。先輩達に負けないようなバンドのを創り上げることは想定内、音琶との約束を果たすために、最高のバンドを完成させないと意味が無い。


 最高のバンドの定義なんてまだわからないし、どうやって音琶を喜ばせるか......そもそも音琶が好むバンドが何なのかもわからない現状......。


「君達が目指しているバンドが、誰かの心に響くものになるって、信じてるよ」


 皮肉な言葉だとは思わない。だけど、響先輩が語るその言葉には、サークルに対する重みが感じられた。

 

 まだ始まったばかりのバンドだが、音同の環境次第ではスタジオデビューが遠いものになる可能性も秘めていた。

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