第二の始まり
"大切な人"とは何なのか。
奴と出会う前の俺なら、特に大切だと思っていなかったとしても、身近に認識できる人のことを指していただろう。
この世界の人間はみんな自分自身が大切で、隣に居てくれる人はただの自己満足としか思っていないはずだ、そう思っていた。
俺にとっての大切な人? それはもう見つかっている。
自己満足なんかではなく、互いに心をぶつけ合い、時にすれ違い、はぐれそうになっても決して壊れることのない、そんな関係を築ける奴こそが、真の"大切な人"。
あいつが現れてから変わっていった俺の日常。
今までは自分が一番大切で、自分以外の誰かのことを考える余裕なんて無かったのに、こんなにも大切にしていきたいと思える人が、俺を変えていった。
大切な人が隣に居ないまま、一生を終えるのだろう。そう思っていた俺を大きく変えた。
そして、大切な人に課せられた過酷な運命を乗り越えることこそが、真の絆を生み出す要因となっていく。
隣に居てくれることが当たり前だと思ってはいけない。いつか必ず、別れの時はやってくる。
その時に後悔するかしないかは俺次第、奴の秘密を知った後に何をするべきかは分かっている。
出会いは始まりに過ぎない。
出会ってから、どのようにして思い出を作っていくか、どのようにして幸せを掴み取っていくか。
俺がやるべきこと......それは、残された時間、できる限りのことを尽くしていくことだ。




