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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第28章
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汗触、ライブハウスの熱気のせいで

 素面は俺だけだった。まあいつものことだけども。

 スタッフが酔いつぶれてしまってはライブハウスとしての体裁が保てなくなりそうだし、酔っ払う為に働いているわけでもない。潰れるのは演者だけでいい。


 とは思ったが、わざわざ心配するまでもなかったか。

 音琶も結羽歌もしっかり意識保ってるし、飲み会中も無理のある飲み方はしてなかった。少しずつ自分のペースが分かるようになってきたのだろう、酒に関してはあまり良い思い出なさそうだし。

 最初は興味本位だったのだろう、だから騒いだり面倒臭かったり潰れたりしていた。2人にとって、人付き合い上欠かせない道具をどうコントロールするかが分かった今、ライブハウスでの飲み会は苦ではない。


 全く、何の考察をしているのだろうか。まだ気を緩めるには早すぎるのだから、もう少し余裕を持ってからにしておかないとな。


「帰ろっか。何か演者さんだけで二次会がどうとかってなってるけど、お店はもう閉めるって」

「そりゃ有難い話だな」


 いつの間にか着替え終わっていた音琶が俺にそう告げる。俺も早く着替えないとな、ライブハウスの熱気のせいで汗が凄い。今すぐにでもシャワー浴びたい。


「また色々面白い話聞けたから、夏音にも教えてあげるね!」

「本当に面白い話なのか疑わしいけどな」

「もう! そういう時はちゃんと『聞きたい』って言うのが筋なんだよ!」

「はいはい」


 演者から聞いたのだろうか、もしかしたら今後のことを考える良い材料にもなるかもしれないし、聞くに超したことではないな。


 ・・・・・・・・・


 朝方近くに帰ってくるのは前のバイトとあまり変わらない気がしなくもないが、それはあくまで土日限定と言ってもいい。そもそも打ち上げは学校の予定があれば参加しなくてもいいというルールがあるのだし、参加したら自己責任ってことになっている。

 明日も出番だが、ちゃんと起きれるだろうか。まずはシャワー浴びないとな、汗の感触を今すぐにでも払いたい。


「疲れた~。ただいま~」


 扉を開けた途端、音琶が間抜けな声を出し始めた。元々少し気の抜けたような声してるけど、それ以上に間抜けなのは初めて聞いたかもしれない。

 まあそれなりに疲れているんだし、無理だけはさせたくないな。もうこの際部室にも全体練習と部会の時以外は顔を出さないようにしてしまおうか。どうしても参加しなきゃいけない打ち合わせとかが今後出てきた時は別だが。

 何よりもあの場所に行くこと自体が億劫だ。個人的な練習とかも、音琶に付き合ってもらった方が良いのだろうか。


「先にシャワー浴びてもいいか?」


 このままベッドに潜り込んだら目覚ましも掛けずに眠ってしまいそうだ。そうなってしまったら次に目覚めた時は夕方になってそうだし、折角のバイトをばっくれることになってしまう。


「ん~、お先どうぞ~」


 当の音琶は既に枕に顔を埋めている。これは戻ってきたら眠りの世界に引きずられている未来が見えるな、目覚まし鳴ったらすぐに起きてシャワー浴びてもらうことになるのか。

 かく言う俺も風呂場で寝ないように気をつけないとな、いつどこで睡魔が襲ってきてもおかしくない。


「全く、世話焼かせやがって」


 愚痴に聞こえるかもしれないが、音琶の面倒を見るのは楽しいし、少し手の掛かる奴の方が退屈しない。

 もう眠ってしまっただろうか、音琶の言っていた面白い話とやらは昼飯の時間に聞くとしよう。

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