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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第27章
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仮装、コスプレとの違い

 10月28日


 音琶の行動力って凄まじいものだよな。明日行こうって言ったら授業が終わった瞬間LINEが飛んでくるのだから。

 いや、発言と行動が一致していない方がおかしいか、すっかり昔の人間関係を思い出してしまった。


「ねえ~、夏音はどれがいいと思う?」


 駅前のモールに行けばハロウィンに相応しい仮装用の服が売られている店がある。音琶はライブ直前になるとこの店に訪れるみたいだったが、確かにライブ映えする服が揃えられている様にも見えた。


「そうだな......」


 陳列する色とりどりの服を順番に見ていくが、深く考えるだけで選択肢が沢山あるからどれか一つ選ぶのが難しい。

 それに、俺自身が着る仮装は何を選べばいいんだよ、経験のないことに対する知識は持ち合わせてないから何が自分に相応しいのかよくわからない。

 取りあえず思いついたものだけでも言うだけ言ってみるか。


「音琶だったら、まずは髪を下ろしてだな......」

「うんうん!」

「桃色の着物を着て、桃色のカラコン、そして口元に竹を咥えれば......」

「うん......?」

「あとは頑丈な木の箱に入ってだな......」

「えっと、ちょっと待って、何かどこかで聞いたことあるんだけどそれ!?」


 すまんな、俺には何をどうすればいいのかわからないのだ、意見が出ただけでも有難いと思ってくれ......。


「それか、今からでも髪を桃色に染めて修道服を着れば......」

「えっと、夏音......。それ、仮装じゃなくてコスプレだから......」


 そもそも仮装とコスプレの違いって何だ? 既に存在するキャラクターに扮することがコスプレで、オリジナルで勝負するのが仮装ってことになるのだろうか。


「ああ、すまんな。俺にも仮装の原理がよくわからなくてだな」

「あのね、仮装っていうのは普段着ないような服を着て自分とは違う別の姿になることを言うんだよ。夏音がどんな趣味持ってるのかは知らないけど、さっきのは仮装にはならないかな」

「はあ......」

「ハロウィンって言ったらさ、魔女とか吸血鬼とか猫とか、色々あるじゃん。何か他の人では考えもつかないようなことがしたいかなって、思うんだ!」


 上目遣いで問いかける音琶だが、この仕草は本気を伝えている証拠だ。無知の世界に足を踏み入れることにはなるがこれも音琶のためだ、慣れてないことにも付き合っていかないとな。


 日本の文化って、時と場合によっては全く通用しないんだな。


 ・・・・・・・・・


 まさかこんな場所で1時間以上費やすことになると誰が予想したか。服選びって思った以上に大変なのかもしれないな。


「どうかなどうかな? この魔女服、防寒対策にもなってるみたいだよ!」

「......何着目だよ」

「5着目? それとも6?」


 選びすぎだろ、それとも悩みすぎって言うべきだろうか。

 にしても音琶は魔女服が好きなんだな、よく似合っている。そんな俺は何が相応しいだろうか、仮に音琶が魔女服で確定だとしたら、吸血鬼辺りがいいだろうか。


「別に何着ても似合ってるんだからさ、そんなに焦らなくていいんだからな」

「べ、別に......、焦ってないもん!」

「はいはい」


 まあいいか、音琶の好きなようにさせて、俺も俺で何か良い物を探さねえとな。


「あ! 夏音! 私が決めるまで自分の選んじゃダメ! どれが一番可愛いか夏音に決めてもらうんだから!」

「えぇ......」


 どうやら俺には、可愛い彼女の時間を独占する権利しか与えられてないらしい。

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