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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第27章
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楽しみなこと、もうすぐ訪れる

 茉弓先輩に絡まれてすっかり遅くなったじゃない......。ちょっとだけ贅沢してやろうかなんて思ったけど、街は混んでるし待ち時間長そうだしで結局ファストフードの持ち帰りにしちゃったわよ......。


「はぁ......」


 溜息交じりに部屋に戻って、リビングに戻ったら買ったものをレンジにぶち込む。


「相談なんて、出来ないわよね......」


 もし誰かに相談したら、どんな経緯を辿って茉弓先輩に届くかもわからない。ましてや音琶と夏音の2人が退部の危機って......、そんなこと私に言えるのかしらね。

 名前は出さなかったけど結羽歌のことも遠回しに話したんだし、あいつにも一言謝っておいたほうが......。


 いやダメよ、私が謝って結羽歌が喜んでくれるとでも? あれだけ私のこと助けてくれたっていうのに、負担を掛けるようなこと告げてどうするのよって話。

 あいつに出来るせめてもの恩返し、それは私と同じ場所で共に実力を上げていくってことなのよ。最初から諦めたらどうにもならないじゃない。昨日のことを忘れたら、それこそ私が私じゃなくなるわよ。


 レンジが鳴って、遅めの夕食を取り出し、一つずつ頬張っていく。正直こんなカロリー高いもの食べるのは抵抗あるけど、朝も昼も食べてないのだから、たまにはこれくらいいいわよね?


 ......私も仮装してこの大都市とやらを俳諧してみたいわね。


 ・・・・・・・・・


 自炊する頻度はそこまで多いわけではないし、基本ご飯は学食で済ませることが多い。1人飲みなんてしたことないし、率先してお酒を買ったことも未だに無い。

 これが普通なのかどうなのかはわからないけど、育った環境の違いで意見が分かれるのかもしれないわね。


「......ごちそうさま」


 味濃かったわね、どんだけ塩入ってんのよ。これだけ濃いからあっという間にお腹膨れたわよ。

 そう言えば明日までにやらなきゃいけない課題とかあったかしら、後期に入ってから色々と大変になってきているけど、サークルだけじゃなくて授業だってしっかりしていかないといけないのに......。


 あ、あれ? どうして私、授業よりもサークルの方が頭に浮かんだのかしら? 学生の本分は勉強っていうのに、優先順位がわかってないなんてこと......。

 そもそもどんな課題が出されていたかも思い出せないし、クラスに友達居ないから聞き出そうにも無理なことだし......。


 もしかしたら、サークルの先輩達も助けてくれる友達が居ないから留年するのかもしれないわね。

 これじゃまるで、私もあいつらと同じじゃない......。


 ***


 学祭から一夜明け、音琶とは特に変わらない生活を続けられる兆しが見えている。一時はどうなるかと思ったが、一件落着と言ったところだろうか。

 音琶の過去の詳細が気になるのは前と変わらないが、音琶からの行動を待つ方が音琶のためにもなるし、俺にだって覚悟を決めるまでの時間が欲しい。


「夏音、また考え事してる」

「あ......、いや別に、考え事なんてしてねえよ」

「嘘、目泳いでるもん」


 音琶もそれなりに洞察力が高いから困る。隠し事なんて一切出来ないが、そもそも音琶に隠すようなことなんて......、


 そう思ってハッとなる。俺の過去こそ、音琶に一切話してないじゃねえかよ。

 音琶の過去を全部とは言わなくても知ってしまった以上、等価交換として俺も何か一つだけでも話すべきなのだろうか。


「えっと、夏音......。本当に大丈夫?」


 大丈夫ではないな、だがこれ以上音琶が探ってきたら、俺は何て返せばいいのだろう。


「ちょっと、サークルのこと考えてただけだ」


 咄嗟に出てきた嘘だったが、音琶はどう見抜くだろうか。


「......」

「な、何だよ......」


 丸くて大きな瞳が俺の目の奥まで強い視線となって突き刺さる。真剣なのはわかるけど、本当にどうしたらいいものなのだろうか。


「ほら、31日って一応部会あるだろ? どうしたら休めるのか考えてたんだよ」

「......!」


 次の瞬間、音琶は大きく目を見開き......、


「そう言えば、その日金曜だった......、よね」


 意識が飛びそうになる音琶を置いておいて、俺も今の一瞬の間で考えた策を告げる。


「だからだな、30日の夜は日跨いで廻ればいいんじゃないかって考えてたんだよ。31日に廻るってことに変わりはねえし」

「夏音......」

「これでも割と楽しみにしてんだぞ、ハロウィンってやつ」


 血流が加速しているのを肌で感じたが、最後まで言い切ってやった。楽しみにしていたのは嘘じゃないし、音琶と何かしないと気が済まなくなっていたから、結果的には本音を伝えることになっていた。


「そ、そしたら! 今日はもう遅いから、明日買いに行くよ! 仮装の服!」

「......そうだな」


 まあ、別に31日だけに拘る必要なんて本当はないんだけどな。実を言うと鳴成市のハロウィンイベントは今日から始まっているわけだし。

 どうせならハロウィン当日が良いって音琶が言い出しただけであって、今から行こうと思えば行けるんだからな。


「あと! いくら楽しくなったからって、トラック倒したりしないでね! 絶対だよ!」

「しねえよそんなこと」


 本気で言ってるのかボケなのか、よくわかんねえな。

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