学祭の終わり、少女の温もり
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10月27日
朝目が醒めて......とは言っても既に昼だったな。
隣には居るべき少女が静かな寝息を立てて横たわっていた。
「音琶......!」
俺もだが、風呂に入ってないから汗が充満した独特の変なにおいが鼻を突いて、互いに変な気持ちになる。それでも俺は奴の自然体のにおいがする身体を抱きしめてやりたくなってしまう。
今日は学祭の振替休日ということもあって、自由な時間が与えられている。久しぶりに音琶と過ごせる時間を大事にしていかないといけない。
「あれ、夏音......?」
ようやくお目覚めになった少女は、目を擦りながら俺の存在を確かめようとしている。昨日の出来事なんてまるで気にしてないかのような素振りにも見えた。俺がどれだけ心配していたかも知らないような......、いや、そんなこと言ったら音琶に失礼だな。
俺は音琶のあんな思い詰めた、絶望さえ感じられる表情を見てしまったのだ。あの表情は忘れることはないだろうし、心の奥に深く響いてしまうことになったのだ。
「やっと起きたか......」
すかさず俺は音琶の柔らかい身体に抱きついていた。抵抗や性欲すら感じないというわけではなかったが、ただ1人の女の子を守りたいという一心は奴の大きな胸へと吸い寄せられていくことになった。
「な、夏音......!?」
本当は学祭終了後の花火を一緒に見たかった。それすら叶えられなくて、ただ1人寂しく打ち上げに参加することになってしまった。
音琶が居ない打ち上げなんて認めたくなかったのに、揺るがない事実に嫌気すら差していた。
「もう大丈夫だ、俺が必ずお前を守り抜いてやる」
そう言いながら、俺は音琶の柔らかい身体を押し倒す。これから何をしようとしているのか、自分でもはっきり分かってしまうくらいに音琶を守り抜いてやろうと決意した瞬間だった。
「夏音......」
俺だってまともな学生生活を送れたわけではない。だけど、あんな元気で天真爛漫な少女にも壮絶な過去があったと思うといたたまれない気持ちにもなるし、俺自身が抱えるべき過去が陳腐なものとも捉えられてしまう。
結局何が正しくて、何が間違いなのかなんて、誰かが決められるような話ではないのだ。俺だって人に言えない様な過去を経験してきたのかもしれないが、音琶の話を聞いてしまった以上、自分のことなんてどうでもよくなるくらい無心になっていた。
だけど、音琶が歩んできた道は、何一つ間違いなんてなかったと、この俺が胸を張って訴えることは出来るはずだ。
何せ俺は音琶にとっての大切な人なのだから。音琶のことを信じられるって、胸を張って言えるはずだから......。
「俺を、信じろ」
ただそれだけ言って、音琶の豊満な胸を右手で掴み、上着の裾を左手でゆっくりと上げていった。
その間、音琶は何一つ抵抗することなく、俺の行為に対して涙を浮かべながら頷いてくれた。
3回目の行為は、俺にとっても、音琶にとっても、それぞれの大切な人への気持ちがより一層強くなる、そんな時間だったと言えるだろう。
後悔なんてしていない。だから、これから先も大事な少女を守り抜くという使命を決して壊さぬように生きていかないといけない、そう思えるような生き方をしていきたいと心から強く思った。
「花火、一緒に見れなくて、ごめんね」
「そんなこと気にしなくていい。来年だってあるんだし、それに、31日のこと忘れるな」
「そっか、一緒に街廻ろうって、話したもんね」
10月31日のハロウィン、仮装して街を廻ろうって話したのは誰だっただろうか。俺はしっかり覚えているからな、音琶と新しい思い出を作るってことを。
「覚悟しておけ」
そう言いながら、俺は音琶の全身を包むように覆い被さった。




