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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第24章 お前の瞳に恋をする
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採用、面接の定義とは

 音琶よりも遅く目的地に辿り着くのは当たり前のことだけど、もしかしたら音琶と同じ環境下で働けるかもしれないってことを思うと、行き慣れた場所に入るだけで緊張が抜けなかった。


「まさかこんなことになるとはな......」


 他のライブハウスとは違って一回り大きな外観で、思わず足が止まってしまうくらいの威圧が感じられる。そう思っているのは俺だけかもしれないけど。


 後から音琶から連絡があって、開演よりも少し早い時間に来て簡単な話は済ませておきたいだとか何だとかで、言われたとおりにしたわけだ、一度心の準備を済ませて中に入った。


 ・・・・・・・・・


 中を見渡し、広いスタジオ内に入ると制服姿の音琶が姿を現した。


「夏音来たね! そしたら案内するよ!」

「ああ、すまんな」


 音琶に連れられ、控え室の様な所に案内された。こういう環境も設けられているライブハウスって本当に恵まれているよな、倉庫が控え室になっている所だってあるというのに。


「洋美さん、夏音連れてきました!」

「お、夏音君久しぶりだね~!」

「おはようございます、お久しぶりです」

「そんなに畏まらなくていいんだよ、何たって教え子の彼氏さんなんだからさ」

「......」


 そんな理由でいいのかよ、全く本当にこの人ときたら......。音琶もこんな感じの人と一緒に働いていて疲れないのだろうか。


「それで、ここで働きたいと」

「音琶からの紹介ですけどね」

「ふ~ん、前のバイトで嫌なことでもあった?」

「そんなんじゃないですよ、あくまで自分にとって最適なバイトじゃなかったってだけです」

「へえ~」


 いちいちニヤニヤしやがって、何がそんなに面白い。


「家計が厳しいって話も音琶から聞いてるからさ、早めにバイト決めとかないとまずいんだよね?」

「そうですよ、そうじゃなかったらここには居ません」

「もう、素直に音琶と一緒に働きたいって言えばいいのに」

「なっ......! 何でそうなるんですか......。別に俺は生活のために......」

「正直に言わないと不採用にしちゃうよ?」

「くっ......」


 大人って本当にずるいよな、自分にとって都合の悪いことがあるとすぐに脅してこっちの情報を得ようとしやがる。

 音琶も洋美さんの後ろでニヤニヤしないで何か言ってくれよ。そんなに俺の反応が面白いのかよ、腹立つな。

 てかお前洋美さんに色々話しているだろ、音琶がバイトでいない間にトイレでしていることとかも......。


「それで、どうなの?」

「ま、まあ、音琶と働けるのは本望ですね、最初の方は知ってる人が居るだけで安心しますし......」

「最初からそう言えばいいのに、でもこれではっきりしたね」

「......何がですか」

「夏音の本音だよ、正直に答えたから採用にするよ! 日程の確認とかは後日相談ってことでいいかな?」

「.........はい?」


 今この人採用って言ったよな......?

 採用......? ってことは俺の次のバイト先が決まったってことか......? いやでも、碌に面接もしていないというのに......。


「だから、採用だって! 聞いてなかったの?」

「いや、ばっちり聞いてましたけど」

「そしたら、ちゃんと返事することだね」

「は、はい......」

「元気ないよ?」

「はい!」

「よろしい」


 いやいや、返事しろって言われてもだな、いきなり採用なんて現実味沸かないっての。


「ってか音琶と同じ日にシフト入れた方がいいのかな? サークルのこともあるし、こっちとしてもシフト組みやすいんだよね~」

「それで、お願いします」

「了解~」


 .........?


 面接って何だっけ。


 なんかよく分からない内に、新しいバイト先が決まっていた。

 えっとまあ......、取りあえず安堵しておくか。

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