表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第21章 心の穴を埋めたい
306/572

浪人生、悩まされる人間関係

 泉鳴香、20歳。


 私がこうして語るのは初めてよね。さっきまで琴実とのいざこざがあって、自分の発言に少し反省して、今は気を紛らわせるためにギターに触れている。


 1年浪人して、4月に誕生日を迎えた私は1年生の中でも一つか二つ年上だ。同年代の友達が鳴成大学に通っているって話は聞いているけど、今更私がその娘に言い寄った所で新しい友達と仲良くしているってことはTwitterで確認済みよ。

 浪人した以上、また新たに人間関係を築かないといけないのは大変だったってのもあった。それが原因で入ったサークルはとんだ飲みサーだったけど、やりたいことが出来るなら続けられる自信があった。


 全く、何をしているのかしらね私は。本来やるべき大事なことはバンド活動ではないはずでしょう?


 ・・・・・・・・・


 泉鳴香:さっきはごめんなさい、言い過ぎました


 一通り練習を終えた後、琴実にLINEを送ろうとして手が止まる。こんなありきたりな文を送った所で、琴実は納得するのかしら?

 このままだと、ただ自分の発言を訂正しようと必死になっていると捉えられてしまう。確かに私は琴実を傷つけるようなことを言ったけども、全てが間違っているとは言えない。琴実だって言いたいことはあったはずだけど、私にだってちゃんとした意見はある。

 分かり合うってことが難しいことなのは分かっていたけど、何が正しくて事が進んでいるのかがわからなくなるのは仕方ないことではないと思いたい。


 不器用なのよ、私は。どうしたらいいのかしらね。

 人間関係に正解はない。解答を求めるだけ自分がいかに愚かな行為をしているのかを認めることで、初めて大人になれるのかもしれない。

 二十代になっても、私はまだまだ子供ってことね。


 そんな時、茉弓先輩からLINEが......、


 戸井茉弓:実は今週の部会で学祭の予定発表されるんだけど~、私達勿論出演するよね??


 個人ではなくグループでの通知だった。ちょっとだけ焦ったじゃない、どうせあの人もろくなこと考えてないんでしょう?


 三人組バンドとなると、誰が既読を付けてなくてだとか、誰が無視しているだとかすぐにわかってしまう。茉弓先輩のことだから些細なことですぐに文句言ってくるから返信は早めにしようと心がけている。

 多分あの人、わざわざ部員の時間割とか把握しているだろうから下手に嘘なんてつけない。だから仕方なく......、


 泉鳴香:折角なので、学祭は出たいです


 結局こんな返信しか出来なかった。情けない話だけど、飲みサーの柵みとか自分勝手なルールに刃向かう度胸なんて私には無かった。

 周りに流されるままの行動しかしていなくて、少しだけ夏音が羨ましい。


 夏音や音琶達が何かを企んでいるのはとうの昔に気づいている。きっとあの2人とは分かり合えるはずなのだけれど、以前音琶と音楽の価値観でぶつかってしまった以上、聞き出すのには抵抗がある。

 夏音とは同じバンドメンバーってこともあるから、茉弓先輩の居ない所で自然を装って聞いてもいいかもしれない。でも、夏音はちゃんと本当のことを言ってくれるかしらね。


 音琶との話は夏音なら本人から絶対聞いているはず。付き合っている二人のことだから、簡単に教えてくれないはず。ましてや音琶とぶつかった私なんかにそれを聞く権利なんて与えられてないはずだ。


 どうしたらいいのか悩まされるけど、正解が無い以上どうすることも出来ないわよね。

 私のするべきことと言ったら、精一杯の演奏が出来るように練習することだけなのよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ