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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第15章 Trouble Killing Party
234/572

就寝、可愛い妹と

 ◈◈◈


 音琶ちゃんと夏音君を見送り、琴実ちゃんと来た道を戻る。2人がバスに乗ってしまう前に私と琴実ちゃんの決意を伝えて、気持ちは少し軽くなっていた。これからどうなるかは誰にも分からないけど、私達がやろうとしていることは危険極まりなくて、考えるだけでも辛い気持ちになってしまう。でも、何も変わらないのは、もっと辛い。


「あんたも変わったわよね」

「そう、かな...」

「やっぱり私のお陰かしら」

「う、うん。そうだと、思うよ!」

「もう、冗談よ。何焦ってんのよ」


 3年前に琴実ちゃんと初めて出会ってから、ずっと一緒に居た。私の隣には琴実ちゃんが居て、高校時代も色んな課題を乗り越えてきた。辛いこともあったけど、今こうしてまた2人肩を並べて歩けている。だから、またこうして大きな壁を突破していきたい。


「今回はあいつらも居るんだし、大丈夫よ。私だってこんな中途半端な所で終わりたくないし、やるなら徹底的にやってやりたいわよ」

「なんか、悪いことしているみたいで、ちょっと怖いけどね」

「悪いことしてる奴らには、それ相応のことしておかないと、変わらないわよ」

「......」

「私がそう言う性格だってこと、長年の付き合いの結羽歌ならよく分かってるじゃない。あんたに対しても、負けず嫌いだってこと」

「琴実ちゃんは、変わらないね」

「褒めてくれてる?」

「勿論だよ!」


 変わった私と変わらない琴実ちゃん。正反対の私達だけど、想いは同じ。だから、琴実ちゃんとなら、上手くやっていける。そう信じている。


 ・・・・・・・・・


「お姉ちゃん、帰りちょっと遅かったよね」


 夜ご飯を食べ終わって、お風呂に入って、実羽歌と2人の部屋のベッドに入る。てか、私が帰省してから実羽歌は自分のベッドでは寝ていない。カブトムシが飛び回る音がする部屋で、私達姉妹は同じベッドで寝ていて、実羽歌は私を抱き枕にしている。昨日なんて抱き寄せられていた両手が私の寝間着の中に入ってきたこともあったけど、寝相の問題なのかな?これも遺伝だから仕方ないのかもしれないけど、こんなことされると目が醒めちゃうよね...。

 それはそうとして、私の帰りが遅くなったのは琴実ちゃんと話していたからで、あんまり実羽歌には話したくないことかな...。姉としてのプライドなのかもしれないけど、可愛い妹に心配掛けたくないのが正直な所、やっぱりしっかりしたお姉ちゃんで居たいもん。


「うん、琴実ちゃんと話し込んでて...」


 嘘ではないから、実羽歌には主旨を言わずとも正直に答える。


「どんな話してたの?」

「部活の話だよ」

「お姉ちゃんも琴実ちゃんも、ベースだもんね。琴実ちゃんのことだからお姉ちゃんと勝負仕掛けてるんでしょ」

「そうだよ、琴実ちゃんも変わらないなって」

「お姉ちゃんも、変わってないよ」

「えっ...?」


 私が、変わってない...?さっき琴実ちゃんには変わったって言われたばっかりなのに...。そんなことないと思うけどな...。


「結構変わったと思うけどな...。ほら、この髪型とか...」

「それは見た目の話だよ。確かにお姉ちゃんは大学生になって綺麗になったけど、みうはお姉ちゃんが何かに夢中になってて、琴実ちゃんとも仲良い所とかが...、他にも色々あるけど、変わってないなって」

「そっか...」

「今も昔も、これからも、お姉ちゃんはお姉ちゃんのままでいてね。みんなに優しいお姉ちゃんのままでね」

「う、うん!」


 実羽歌がこんなこと言ってくるなんて、意外だった。私と再会してから、何かを感じ取ってたのかな...?僅かな表情の変化とか、琴実ちゃんとの会話とか、いつもと違う所があったのかな...?

 私が何かを抱えていること、気づいてるのかな...?


「今日もお姉ちゃんと一緒に寝たいけど、いいかな?」


 頼み事をするときはいつも正座をして、寝間着の裾を軽く掴むのが実羽歌の癖だ。ちょっとだけ恥ずかしそうな顔をして、ちゃんと私の目を見てくれる。

 実羽歌の頼みを聞かなかったことはほとんどない。だから、いつも通り、甘えん坊な妹の願いを聞いてあげる。


「勿論いいよ、みうのためにお姉ちゃんは何でもしてあげるからね」

「ほんと!?えへへ、嬉しいな~」


 そう言って私に抱きつく実羽歌。そのまま2人寝転がり、部屋の電気を消す。


「ね、お姉ちゃん」

「何?」

「今度、お姉ちゃんがベースやってるとこ、見てみたいな」

「......!」


 どうしてだろう、今の言葉にならない暖かみが、私の心を満たしていた。実羽歌に言われてこんなに嬉しかったことって、あったかな。


「いつか絶対、見せてあげる」

「やった、格好良いお姉ちゃんが見れるんだね」

「うん、楽しみにしててね」


 それから数分もしないうちに、私と実羽歌は深い眠りに就いていった。

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