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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第14章 TRUSTiNG ME
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妹、私の大事な家族

 私の妹、池田実羽歌は現在高校一年の16歳。肩までの黒髪をボブカットに纏めていて、私と違って活発な性格をしている。友達も多くクラスの人気者らしく、部活は弓道部で放課後はほぼ毎日部活動に勤しんでいるみたいだった。

 そんな実羽歌も私と同じく鳴成大学に入学したいという夢を持っていて、いつかは私と一緒にバンドを組みたいと思っているみたいだった。たまたま実家にあったアコギを使ってギターの練習をしているだとか...。


 ・・・・・・・・・


 去年の話...


 当時受験生だった私は、夜遅くまで勉強に励んでいた。クラスでも1位2位を競うレベルまで這い上がってきたけど、油断はできないから最後の最後まで気を抜かなかった。

 そして我が家にはもう一人受験生がいた。妹の実羽歌だ。部活を引退した後は受験勉強に時間を費やすからという理由で当時の彼氏と別れ、学校が終わったら図書館に籠もって自習するか家に帰って勉強するかのどっちかしかしていないほど熱心だった。

 無論、私もそれくらい頑張って受験勉強していたんだけどね。

 そんなある日...。


「ねえお姉ちゃん、お姉ちゃんってRefLect好きだよね?」


 唐突に実羽歌にこんなことを聞かれていた。


「え?突然どうしたの?」


 答える前に実羽歌に尋ねていた。確かに私はRefLectというガールズバンドが好きで、ライブは行ったことないもののCDは買っていたし、YouTubeに投稿されているPVだって何度も観ていたくらいだ。受験勉強で疲れた時に聴いたら不思議と勇気づけられた気がしたし、辛いことも忘れることが出来ていた。

 今まで音楽に無縁だった実羽歌からCD貸してくれなんて、ちょっとびっくりしちゃった...。


「お姉ちゃんがCD持ってるの知ってるんだよ~、実はみうもこっそり聴いてるんだよ、貸してくれてもいいよね?」


 上目遣いで懇願する実羽歌。別に隠してるわけでもないし、貸してあげてもいっか。実羽歌だって受験勉強で疲れてるかもしれないし...。


「いつかお姉ちゃんと鳴フェス行きたいなー」

「それは二人とも鳴成大に受からないと叶わないからね、一緒に頑張らないと」

「うん、わかってるよ。お姉ちゃんも琴実ちゃんに負けちゃダメだよ」

「任せてよ、絶対に私がクラスで一番になるからね」


 今思えば、実羽歌が応援してくれたから琴実ちゃんとの勝負に勝てたのかなって思っている。

 琴実ちゃんと実羽歌は私が高校一年の時からの縁で、一緒に海に行ったこともあるという。私は自分の身体の発達が遅すぎたから敢えて行かなかったけど、実羽歌は私とも行きたかったんだと思う。

 今更だけど、さっき実羽歌から電話が掛かってきて申し訳ない気持ちにもなった。多分琴実ちゃんが私をライバル意識し始めたのもその頃からだったと思う。

 私も変なコンプレックスさえ持ってなければ琴実ちゃんと拗れることなんてなかったんじゃないかなって、今更ながら後悔していたりする。今仲良く出来ているから良いんだけどね...。


「みうはお姉ちゃんと琴実ちゃんのどっちが勝つのか楽しみにしてるからね~。でも何だかんだでお姉ちゃんが勝つって信じてるけど」

「もう、そんなのわかんないよ。あんまりお姉ちゃんにプレッシャー掛けないの」

「みうだって、行きたい高校行けるかわかんないんだよ。お姉ちゃんと同じ気持ちだよ」

「そっか、みうも大変なんだね」

「だから今日はお姉ちゃんと一緒に寝たいな」

「もう、みうは本当に甘えん坊なんだから」

「えへへ、お姉ちゃんと一緒ならどこまでもついてくよ」

「はいはい」


 明確な月日は覚えてないけど、頭の良い実羽歌が私によく甘えていたのは覚えている。可愛くて、大事な大事なたった一人の妹。

 妹に慕われるようなちゃんとしたお姉ちゃんになれてるかな、私。何しろ久しぶりに会えるの、本当に楽しみだな。

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