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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第13章 サマーフェスティバル!
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設営、テントの準備

 ◈◈◈


「結羽歌、寝たから一杯!!」

「はうっ...!」


 目が覚めると、手元の紙コップに丁度半分くらい、透明の液体が注がれていた。


「えっと...、これは...」

「ウォッカだよ」

「ですよね...」


 茉弓先輩にそう言われ、私は液体をそのまま一気に飲み干す。喉の焼けるような感覚と共に身体の芯がどんどん熱くなっていって、頭の中がボーッとなる。


「それにしても、まさかこんな早い時間から飲むことになるとはですね」

「何言ってんのさ、折角のフェスなんだから飲んで楽しまないと!」

「ですね...」


 こんなことしてるの音琶ちゃんに見つかったら怒られそうだけど、最近そこまで飲んでなかったから、たまにはいいよね...?この前琴実ちゃんを介護するのは大変だったから、音琶ちゃんの気持ちよく分かったんだけどね。

 そんな私達だけど、今は会場に向かう途中で、浩矢先輩が運転する車に乗っている。この車はレンタカーで、浩矢先輩は自分の車を持っていないみたいだった。私も仮免許までは取ってるから、もう少ししたらこうして運転することになるのかな...。

 私としては、もうちょっと寝たかったんだけどな...。昨日は夜中まで兼斗先輩がスマブラ大会なんか開催したから全然寝れてないし、負けた人は飲むみたいなことになっちゃったし...。楽しかったから、別に不満はないけどね...。


「結羽歌ももうちょっと酒の耐性があったらねー、まあ慣れてきてはいるだろうけど?」

「そ、そうかな?先輩達には到底及ばないよ...」


 助手席に座る湯川君がこっちを向いてそんなことを言ってきた。その当人もビールの缶を片手にしていて、さっきからずっと飲んでいる。確かにフェスは飲む場なのかもしれないけど、朝から飲むのはどうなんだろう...。ちゃんと自己管理できるならいいのかもしれないけど、私みたいな人が飲んだらフェスが始まる前から迷惑掛けかねないからちょっと怖いな...。


「ま、俺としては酔った結羽歌は面白いから結構期待してるんだよ?」

「そんなに、面白いかな、私...」

「ああ、きっと今日も何かしらやってくれると信じてるよ?」

「う、うん...」


 記憶が無いからどうしようもないけど、今まで私何してたんだろう...。ちょっと気になるかな。

 気になると言えば、音琶ちゃん達は今どこに居るのかな。私が原因で二人だけは部員に内緒で鳴フェスに行くことになっちゃったけど、大丈夫かな。もし私以外の部員に見つかっちゃったら、減点どころじゃないよね?本来はサークルのみんなで行くって話になっていたんだし...。私が音琶ちゃんのこと応援してるが為にこんなことになっちゃって...。

 部長の告知の方が後だったから、もし見つかっちゃったら私も一緒に減点されに行こう。全ての元凶は私なんだから...。


「着いたぞ」

「あっ、ありがとうございます!」


 考え事をしている間に、目的地に到着していたみたいだった。車を降りて、後ろの扉から荷物を取り出す。荷物と言っても、個人のものもあればテントも入っている。あとはバーベキューセットだったり、クーラーだったり...、クーラーの中身は確認してないけど、大体何があるかは想像できるかな。

 私達は予約していた場所に向かい、次々と持っていた荷物を置き始める。その間に他の車に乗っていたメンバーも到着し、荷物を全部置き終わったらテントを建て始める。

 参加者は15人だから、テントは全部で3つで5人入ることになっている。班分けはくじ引きで決まり、男女共同で使うことになるみたい。そこはせめて分けてほしかったかな...。

 そんなことを考えながらポールをテントに通していく。正面で鳴香ちゃんが通したポールを取ったタイミングを見て、インナーテントが立ち上がった。あとはフックでポールを固定してペグを打って、あとはシートを被せれば完成!そんなに難しいタイプのテントじゃなかったから、そこまで大変な作業じゃなくて良かった。


「鳴香ちゃん、ありがとうね」

「お礼なんていいのに、それより班決めするみたいよ」

「あ!そうだね」


 部長の合図で部員全員が集合する。部長の手には割り箸が握れていて、先の部分が隠されている。ここに番号が書いてあるんだね...。

 どうしよう、こういうのって良いのが当たったことないから、不安だな...。琴実ちゃんと鈴乃先輩が同じ班になることを願いながら思い切って割り箸を取ると、数字の2が書かれていた。

 全員引き終わったら番号の確認になったんだけど、どうやら外れくじだったみたい...。私の班は光ちゃん、榴次先輩、杏兵先輩、そしてまだ一回も話したことのない4年生の北村拳護(きたむらけんご)先輩だった。

 拳護先輩は研究室が忙しいという理由でバンドを組んでなくて、2回留年しているから6年もサークルに居ることになる。普段寡黙だし飲み会でも人を引きつけないようなオーラあるしで、人見知り気質のある私からしたら話しかけるのでさえ躊躇っちゃうな...。

 うーん、このメンバーで上手くやっていけるかな...、一応バーベキューとかは全員でするから問題ないんだけど、寝る時間とかになったら暫く修学旅行みたいに話し込むことになりそうだし...。

 琴実ちゃんは鳴香ちゃんと同じ班で羨ましさもあったけど、こればかりはくじ引きだから仕方ないかな。


「結羽歌~、寂しくなったら私のテント来てもいいのよ」

「うん、寂しくなったら行かせてもらうね」

「それはそうと、私と一緒に廻ろうと思わない?」

「言われなくても、そのつもりだったよ」


 琴実ちゃんに誘われ、ちょっと安心した。班決めも終わったところで夕方まで自由行動になったし、一緒に目当てのステージに向かうことにした。

 一応、バーベキューは強制じゃないけど、18時から始めるみたいだった。その時間帯はほとんどのステージがリハで、部員が集合するには丁度良いと部長は判断したみたいだった。

 どうしてもその後のバンドを最前で見たいから集合できないって理由はちゃんと通じるけどね。

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