上川音琶という少女
「私がどんな人なのか、まだ明らかになってないことも多いと思うけど、今話せることだけでも話しちゃおうかな」
「今の時点では19歳で、7月7日生まれ。身長は160cm前後、体重は...、時と場合によって変わるかな...? スリーサイズ...?それは言えない!!まあ自分で言うのも何だけど、胸は大きいと思う...。なんか夏音がよく見てくるけど、全部気づいてるんだからね!」
「そして私は鳴成大学に通う大学一年生だ。入学のちょっと前に夏音に出会って、それまでも色々あったんだけど、大学の軽音部に入ってギターをすることになった。バンドも組んでいて、6月には初めてライブやったんだけど、今まで感じたことない何かがあって、凄い楽しかったな」
「あとバイトね、XYLO BOXっていうライブハウスでバイトしてるよ。本当は1回辞めてるんだけど、結羽歌に誘われたってのもあったし、お金も欲しかったからまた始めることになって、今は主に照明の仕事しているよ。オーナーの洋美さんは、私の恩人でもあるし、あの時は本当にお世話になったな...。髪型をツインテールにしてるのも、この人が原因」
「なんかよく夏音は私のこと謎の少女って言ってるみたいだけど、話してないだけでそんなこと言わないで欲しいかな!そんな夏音とはライブの日に付き合うことになって、私はすごい幸せなんだけどね」
「それに、これから夏休み始まるし、夏音と一緒に居られる時間が増えるってこと考えたら居ても経ってもいられないよ!毎日が楽しみだな...」
「私の過去を知りたい?それはまだ駄目。だって誰にも言ってないんだもん。少なからず知っている人は居るけど、自分からは言ったことないよ。確かに秘密にしてることは多いけど、心の準備だってあるし、それを話したところで私に対する感情が変わったりするかもしれないでしょ?」
「大丈夫、絶対に話すから。それだけは約束して」
・・・・・・・・・
一人だけの部屋の中で、私は一人、長い文章を、カメラに向けて話していた。
動画がちゃんと取れているか確認して、保存する。スマホで取った動画をパソコンに取り込み、再び保存する。
「ちゃんと見てよね」
正常に保存されたことを確認して、パソコンの電源を落とす。
「最後のテストも終わったし、夏休み楽しむぞー!!」
少しだけ伸びをして、特にどこに行くというわけでもないけど、私は部屋を飛び出した。




