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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第11章 放課後のStudy
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対策、テストは自力で

 7月21日


「いつになく難しい顔してるねー、音琶さんよ」

「うーん、来週からのテストが不安でさ...」


 月曜日の授業、眠い目を擦りながら悠来に返事をする。テストが不安なのはなかなか勉強する時間が得られてないってのもあるけど、疲れが溜っているのが一番の原因だ。勉強に関しては大学受験の時が一番のピーク...、と言ってもそれ以外でまともに勉強したことなんてないんだけどね。

 それにしても、流石名門大学ということもあって勉強の内容は最初からしっかりしていて、ちゃんと授業聞いてないとあっという間について行けなくなる。出欠の紙に名前書いた後、教授の目を盗んでこっそり帰る人って普段はどんな勉強しているんだろう...、私には絶対に無理だ。


「そういう時はねー、先輩から過去問貰っちゃえばいいんだよ」

「え...?」

「私はジャズ研に同じ授業受けてた先輩居たから過去問貰っちゃった。他にも色々聞かせて貰ったよ」


 そんなのありなんだ...。授業で聞いたことをノートに纏めて、それを覚えてテストに臨むのが普通だと思ってたのに...。まさか、学校のテストで高い点数を採ってる人達ってみんなそうしてるのかな、それってなんかちょっとずるい。それに、出席だけして帰る人達がそうしてるってこと考えるとあんまり良い気分にならない。まともに高校に行ってなかった私がそう思うのも何だけどね。

 でもやっぱり、テストは自分の力で挑むべきものだと思う。確かに単位を落とすのは怖いけど、それはちゃんと勉強しなかったのが悪いんだし、人に頼るのは良くない。少なくとも、誰の力も借りずにこの大学に入るために一人で頑張って勉強してきた私からしたら、やるせない気持ちになる。だから、不安なのは変わらないけどテスト勉強に関しては自力で頑張ろうと思う。


「もし良かったら写真撮って音琶に送ったげようか?」

「や...、私は良いよ」

「えー」


 悠来が残念そうにしているけど、私はそれに気に留めずに板書を取る。第一、テストが近くなると教授が対策プリントとか、どういった所が出るとかヒントくれるんだし、大学のホームページにアクセスすればそれこそ過去問がアップされてる教科だってある。

 これだけの素材があれば、誰かに頼る必要なんてないはずだ。不安なのはちゃんと時間を作れるかで悩んでいるわけで、一応対策くらいはしている。ただ単にテストとなると夜遅くまで勉強することにはなるから、朝一のテスト起きれなくて来年また受けることになるのが怖いのだ。再試験が必ずしもあるとは限らないし、こればかりは普段の生活に掛かってるんだけどね。

 規則正しい生活を心がけよう、所属しているサークルのせいでリズムが崩れることもあると思うけど、自己管理が出来ていないとまずどうしようもない。


「過去問なら大学のサイトで探すから大丈夫だよ、でもありがとね」

「そ、そう。音琶がそれでいいんならいいけど...」


 授業中、考え事したり眠くなったときは流石に悠来にノート見せて貰ったことはあったけど、テストは自分の力でやろう、大学受験を決意したあの時のようにね。てか、受験してなかったら私は今頃何してたんだろう...、あの時はそんなこと考えてもなかったな...。

 何はともあれ、テストを乗り切れば夏休みなのだ、帰省とかいうものに縛られる必要のない私にとって、ギターにバイト、そして夏音に会いに行くことが何よりの楽しみだ。どれもこれも頑張った分のご褒美になると思えば、テストへのやる気だって自然と沸き上がってくるものだね。

 ライブも何回かするみたいだし、練習もしないといけない。今度こそ夏音と満足のいく演奏を目指さないと。そう思いながらLINEを開くと、


 琴実:私とバンド組みなさい!


 琴実から、いきなりこんな通知が来ていた。普段そこまでLINEしあう仲でもないけど、新入生ライブで組んでたバンドが解散になって少し焦ってるんだろうな...。

 別に駄目とは言わないけど、突然かな。いや、バンドなんて突然組むものなのかもしれないけどさ。私だって夏音のこと突然誘ったようなものだし、あんまり人のことは言えない。


 上川音琶:ごめんね、次の部会の時に直接話したいな

 琴実:そう、良い返事待ってるから


 文面に『!』を入れてないと落ち込んでいるように感じられたけど、琴実って結構高飛車なとこあるから、感情の起伏が激しいのがよくわかる。あれ...?なんか誰かと似てるような...、まあいっか。


 ・・・・・・・・・


 部屋に帰って、テーブルの上に教科書とノートを並べる。今日の授業の復習とテストに出てきそうな範囲の予習をすることにして、休憩には10分ほどギターの練習に費やす。それが終わったらまた同じ所を繰り返してまた休憩する。

 何度となく繰り返したら丁度いい時間になったし、やるべき所も終わったからあとは自由時間だ。部室にでも行って今度こそアンプに繫いでギター練習しようかな。

 琴実の誘いは断らないつもりだ。勿論夏音とのバンドも頑張りたいけど、私はもっと沢山の人とバンド組むべきかもしれないし、何よりもっと上手くなりたい。だから頑張ろう、やりたい曲できたらいいな。

 テスト期間になったら、流石に部会はお休みになるよね...?みんな勉強する時間欲しいはずだし、1年生が一番多いんだし、そこはわかってくれるよね...?

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