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俺のドラムは少女のギターに救われた  作者: べるりーふ
第10章 Re:Start
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誕生日、貰って嬉しい物

 二度寝なんかしたらロクな事が無い。昼飯を摂るために12時に目覚ましを掛けたのはいいのだが、一度目覚めて寝足りなかったから5分追加で再び寝ると、いつのまにか30分もの時間が過ぎていた。そんな時間に起きてしまっては昼飯を作る時間なんてあるわけがない。仕方ないからコンビニか購買にでも行って適当に軽く食べれるもの探すとするか。



 12時51分


 簡単な昼飯を済ませ、何とか教室に辿り着く。授業も後半に差し掛かっているからか、前よりも受けてる奴の数が増えているような気もする。確かにテストが近くなるとプリントだか宿題だかが出るようになってきて、それがそのままテストに出るってこと多いだろうし、何しろ授業休んだ後直接教員にプリントもらいに行くのも億劫だろうしな。

 とは言っても、大抵の授業を出席している俺にとってはそんなのどうでもいい話だけどな。本当に少しだけ、欠席したことあったけど、あれはあれで仕方ないから許してくれ。


「もう、本当にどうしたの?」

「だって...、だってぇ...」


 席に着くなり横の女子二人組が面倒そうな会話をしているのだが。


「そんなの結羽歌が素直に謝ればいいだけじゃん?」

「そうだけど...、でも何言われるんだろうって思うと、怖くて...」

「じゃあ今のままでいいと思ってるの?」

「思ってないよ...」


 今にも泣きそうな顔している結羽歌と、その結羽歌を説得している立川。何をどうしたらこうなるのだろうか。


「日高、これは何だ」

「ああ、俺にもよくわからん」


 よくわからんとは言ってるが、日高は知ってる限りの情報を俺に教えてくれた。どうやら結羽歌は友達を怒らせてしまったらしい。それは結羽歌が悪くて招いた結果らしく、謝りたいという気持ちがあるものの、どう言い出せばいいのかわからないのと、どんな返事をされるのかが怖くて丸二日経った状態とのことだ。それに耐えられなくなって立川に相談しているというわけだ。

 さらにその人は今日が誕生日らしく、プレゼントを買う予定だから今日中になんとかしたいだとかで...、てかそれ俺もよく知っている話だ。


「理解したよ、俺もその時居たしな」

「え!?そうなの?」


 俺がそう言うと立川が食いついてきた。こういうのを見てると噂好きの女は鬱陶しいに超したことないよな。


「誰とこじらせたとかは聞いてねえのかよ」

「友達、としか言われてなからね」

「な、夏音君、そこは言わないでいてほしかったかな...」

「隠す必要ねえだろ、立川が音琶と知り合いだってことお前も知ってるだろ」

「そうだけど...」


 一応俺も今日音琶には会う予定だから、こいつも連れてくとするか?音琶の家がどこにあるのか知らないけどさ。電話か何か使えば来てくれるだろあいつのことだから。


「早くしねえとバンドのことだってあるんだし、俺としてはこのままで居られるのも迷惑だしな。早く何とかしてほしい」

「うん...」

「俺今日音琶と会うつもりなんだけど」

「そ、そうなんだ...」

「ついてこい」

「え?」

「いいからついてこい」


 戸惑う結羽歌をよそに、授業が終わった後音琶を呼び出すから逃げたら承知しない、みたいなこと言っておいたら何とか賛同してくれた。果たしてどうなるかね、一応買った物鞄の中に入ってるだし、結羽歌の事情だけでなく、俺自身も色々抱えているのだ。


 ・・・・・・・・・


「夏音君は何買ったの?」


 授業が終わり、適当に音琶を呼び出そうとしていたら、結羽歌に聞かれたから一旦スマホを仕舞う。


「ああ、これだけど」


 言われたとおり、鞄から取り出す。


「えっとこれ...、ギターの弦だよね?」

「そうだけど」

「何かの間違いとかじゃないよね?」

「間違いも何もねえよ、あいつが喜びそうな物選んだだけだ」

「......」

 

 結羽歌は何かを考え込むように黙り込み、ようやく口を開いたと思えば、


「何もわかってないよ」

「は?」


 何がわかってないと言ってるのだか、むしろ俺はこいつが言ってることの方がわからない。


「確かに何かを貰うのは嬉しいことかもしれないよ?でも、もし私が男の子からベースの弦もらってもそこまで嬉しくないかな?やっぱり可愛いものがほしいもん」

「はあ...」

「それに、音琶ちゃんのことだから、替えの弦なんていくらでも持ってると思うよ?私だって2セット持ってるし」

「いや、楽器やってる奴からしたら機材の一部貰ったら嬉しいんじゃないのか?それにあいつがどんな弦使ってるのかってことくらい知ってるし」

「そしたらさ、夏音君は女の子から誕生日にドラムのスティック貰ったら嬉しい?」

「別に嬉しいわけじゃねえけど、スティック代が浮くから助かるとは思う」

「それはそれで色々酷いと思うけど...」


 完全に引かれてるのだが、俺なんか変なこと言ったか?それとも男女で感性の違いみたいなのがここで現れているのだろうか。

 金が浮くなんて素晴らしいことではないか、貧乏人からしたら送り主のことを神と認めても良い。


「確かに、夏音君は何貰っても構わないのかもしれないけど、女の子ってそういうの結構気にするんだよ?特に夏音君は音琶ちゃんの彼氏さんなんだからね!」

「ああ、確かにそうだな...、は?」

「どうしたの?」

「何で知ってんだよ」

「そっか、夏音君Twitterやってないんだっけ?」

「やってねえけど」

 

 今の言葉で嫌な予感しかしないのだが。まさかだよなおい。


「これだよ」


 結羽歌がTwitterで音琶と思しきアカウントを見せてきたからそれを見ると...、



 おとは @otoha77・6月29日

 大好きな人と両思いになれるのって幸せすぎー!!!!



 アイコンが見覚えのあるギターだから、これは間違いなく音琶だ。いやそんなことより、何これ。


「なあ結羽歌」

「何?」

「音琶って他に誰フォローしてる?」

「えっと...、琴実ちゃんとか、日高君とか、あとは...」


 俺の知り合いほとんどフォローしてるじゃねえかよ。てことはだ、名前を出していなくとも、付き合っているということが全世界に公開されたというわけだ。勿論俺とよく関わる奴らには完全にバレているのか...。


「これだからSNSは怖いんだよ...」

「夏音君、これはそんなに悪いことじゃないよ?隠すことでもないと思う」

「うるさい、お前はまず早く音琶との関係どうにかしろ」

「...分かってるよ、でも夏音君もやらなきゃいけないことあるよね?」

「ツイートの削除依頼か?もう手遅れだろうけど」

「違うよ、プレゼントの買い直しだよ」

「本気で言ってんのか?」

「弦を渡すのもダメとは言ってないから、追加で新しいの何か買おう?私ついてるから、一人でいるよりは心強い、よね?」


 一瞬戸惑うような仕草が見られたが、もしそれで音琶が喜ぶのならってこと考えたら何か追加で買った方がいいのだろうか。


「仕方ねえな、行ってやるよ」

「うん、今から行くよ!」


 今日中には渡せるだろうから、ほんの数時間渡すのが遅くなるとでも考えればいいか。俺としても少しは助かったのかもしれないな。

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