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ふれあい

屋敷に戻ったらちょうど昼ごはんの準備が済んだところだったのでまだお腹に残っていたけど食べることにした。



ふう、ちょっと食べすぎたか。

シャイングホライゾンさんところでもゴールドマン商会のところでも少しずつ食べてしまったからなぁ。


以前の、元の世界の俺だったら体調を崩しかねない状況だが、今の体と状況ならこれぐらいでちょうどよいのかもしれない。


ちょっと痩せてきてたからなぁ。

元々ついていた筋肉が衰えてきてしまったのかもしれない。


どう考えても元のライルさんの生活と俺の今の生活だとライルさんの方が過酷だったろうしな。もっと食べて動かないといけないのかもしれない。


しかし体調自体は良いので、そのままユーリアを誘ってエテルナ・ヌイへ行った。



エテルナ・ヌイでユーリアの日課に付き合っていると、レミュエーラが飛んできた。


「おーリュウトにユーリア、なんだか久々だな!」と言いつつ、俺の肩に乗ろうとする。



「無理だって。グーファスじゃないんだから」


とレミュエーラとじゃれていたが、あれ?と思い直した。レミュエーラはたしかクレイトさんに呼ばれて出かけていたはず。


「そういえばレミュエーラ、いつ帰ってきたんだ?」


「いまさっき! すぐにこっちに来るんじゃないかな、クレイトさま」


「おとうさん、帰ってきてるの?」



ユーリアの問いにレミュエーラは無言で飛んでいってしまった。飛んでいった先にクレイトさんがいて、こちらに歩いてきていた。


レミュエーラはクレイトさんが伸ばした腕にとまった。


さすがだなクレイトさん、レミュエーラを腕だけで支えられるのか。とか思ったけどなんか違和感を感じた。



「おとーさん、お帰りなさい」


ユーリアがチェックを終えてクレイトさんの側へ駆け寄る。俺も一緒についていく。



「ああ、ただいま」


そう言ってクレイトさんはレミュエーラを支えながら空いた方の手でユーリアの頭をなでた。



「あ!」


俺の感じた違和感はこれか。生き物であるレミュエーラがなんでクレイトさんに触れてるんだ?!


そして今度はクレイトさん自らがユーリアに触った。


ということはとうとう克服したのか?!


「さすがリュウト、気づいたようだね」



「ええ、どうされたんですか?」


「うん、リザードマンの集落でちょっと思いついてね。リザードマンにも協力してもらって念願の術を作り上げたよ」


「おお、それは良かった。あ、ロメイさんの子供生まれましたので、いけるなら子供だっこしてもらうのもいいかもですね」


「おお、そうだったのかい。僕の留守中でロメイくんには迷惑をかけたかもしれないね。生命力の弱い赤ちゃんだとどうなるか、ちょっと心配ではあるが、この術に穴はないはずだから大丈夫だとは思う。ユーリア、それにレミュエーラ、力が抜けるとか疲れたとかないよね?」



「大丈夫だよー?」


「うん、私もなんともないよ。良かったね」


触れるようになってさらに大人気のクレイトさん。


ユーリアは今までの想いからかクレイトさんに抱きついている。

これだけ接触しててもなんともないんなら大丈夫だろう。クレイトさんも嬉しそうだ。



「さて、積もる話もあるんだが、ロメイくんがすでに子供を生んだのであればまず顔を出さないといけないな。ユーリア、もう日課は終わったのかい?」


「はい、点検は今さっき終わりました。あとはお祈りだけです」



「そうか、お祈りは重要だからな。皆で祈りに行こうか。レミュエーラは羽を休めてきなさい」


「はーい」


レミュエーラは素直にクレイトさんにほとんど反動を与えずに飛んでいった。

クレイトさんの力もすごいんだろうがレミュエーラもすごいな。

あの大きさでクレイトさんの腕ほとんど揺れてなかったぞ。



「ハギルやケリスさんについてはもうドゥーアさんに任せてあるから、お祈りをしたら早速屋敷に帰ろう」


三人でおにーさんの墓のお参りをして小屋に戻った。



小屋に戻る途中、こちらで起こったことはだいたい説明した。次はクレイトさんの説明の番ってところで小屋についてしまった。


「はやくロメイくんとアレックスくんの子供を見たい気持ちもあるが、ちょっと向こうでは会話しずらいことだから小屋で一休みしていこう」



とのことで今ユーリアがお茶の準備をしている。


これも久々だな。


この三人だけいるってことも最近では珍しいし。ちょっとの間でだいぶと環境が変わってしまった。まあ俺なんかは環境どころか世界も体も違うんだけどさ。



「お待たせしましたー。言われた通り今回はおとーさんの分も用意したよ」


「ああ、ユーリア、ありがとう。説明するだけより見てもらったほうが早いだろうからね」


クレイトさんはお茶の入ったマグカップを持つとぐいっとジョッキをあおった。おお、飲めるようにもなったんだ。



「とまあ触れても大丈夫な術の応用でね。飲食もできるようにした。残念ながら飲食に伴う感覚はないけどね」


「ということは味は分からないんですか?」



「残念ながらね。だからユーリア、せっかく作ってもらったお茶だが感想を言えなくて申し訳ない」


「いいよー、飲んでくれるだけで嬉しいし」


ユーリアは笑顔で返した。けなげだ。



「けどもったいないから僕たちだけのときは今後もなくていいからね。取った食事は魔力に変換するんだけど、僕は魔力は有り余ってるからね」


「あー、それってもしかして義体の技術の応用でもあります?」


「さすがだ、リュウト。その術式を使わせてもらったよ。ただ物理的な舌は用意できないので味は分からないんだけどね」


「なるほど、そういうことですか」



ユーリアが席についた。


「さて、ではこちらの状況も説明しようか」


クレイトさんが手を机の上で組んで、前置きした。触っても大丈夫になったせいか、より人間らしい自然なジェスチャーをするようになってる気がする。



「僕がリザードマンの村に呼ばれたのは村で生まれ直しの術を行うものがいたからだ。その手伝いをしに行ったんだ。それはまあいい。無事に終わったしその彼はドラゴニュートに生まれ直ったので、すぐに戦力増強につながるだろう。

ハギルを伴ったのはナーガラージャの村の建設の許可を得るためだ。それも認可された。ただ東の地は今かなり荒れてるようでね」


そこでいったん話を切った。残ったお茶をすする。演技だろうにもうすでに板についてる。



「前に話が出ていたゴブリンたち。あいつらがかなりやりたい放題してるようでね。でもまあ直接ゴブリンがきたわけじゃないんだが、東から逃げてくるモンスターたちが多くてね。ジャイアントラットとかならナーガは喜ぶだろうが、屍肉喰らいどもやワイバーンやドレイクなどといったモンスターたちも西へ来始めているようでね」



「ワイバーンはわかりますが、ドレイク? ある程度の想像はつきますが、どういったモンスターなんですか?」


「ああ、君の知識でもドレイクは分からないか。ドレイクとはまあ簡単に言ってしまえば見た目は羽を持たないドラゴンだよ」


予想通りだったがドレイクだけだと俺の元の世界だといろいろな描写があってぶれてるからな。確認しないと。



「ドラゴンなら会話でなんとか出来ないんですか?」


「あー、そういう認識か。リヒューサやヴァルカにそれ言っちゃダメだからね。それは人間で言えば猿と話し合いできないんですか?と言ってるのに等しいから」



ああ、同じドラゴンというくくり自体が本当は違うのか。大まかに言えば同じ人型で毛が全身に生えているかいないかの差しかないけど生物的にまったく違う、人間と猿のように、ドラゴンとドレイクも羽のある無しの差にしか見えないけど、生物的に全く違うものなのね。



「うん、そういうことだ。ちなみにワイバーンもそうだからね」


そうなんだ。ワイバーンも竜の一種だと思ってたよ。まあ人間も猿の一種と言えないこともないか。

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