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ゴールドマン商会

まずは鉄を買いに行こう。


商会での取引にダロンを付き合わせてもしょうがないだろうし、ダロンは仕事用の背負子も担いできてくれている。


たぶんギルドで買うことになりそうだけどまずはスミスさんのところへ行こう。竜のお守りの穴あけ道具のことも聞かないといけないし。


「スミスさーん、いませんかー?」


声をかけながら工房に入っていく。今回は分かりやすいところにスミスさんはいた。

というかなにか作ってる最中だった。



「あ、すいません。お仕事中に」


「いや、かまわんよ、そろそろ休憩しようと思っとったところじゃ」


ハンマーをおいてこちらに来てくれる。



「お、ビルデアではないか。直接ここに来るのは久々じゃのう」


「あれ? スミスさんとお知り合いでした?」



「ああ、冒険者のときに時々武器を直してもらってたからな」


「んで、この坊主は?」


「ああ、うちの屋敷で世話してる子ですよ。すごい力の持ち主なので荷物運びに付き合ってもらいました」



「こ、こんにちは、ダロンといいます」


ダロンにはなにも言ってないのにちゃんと挨拶してくれた。ちゃんと教育してくれているようだ。



「おう、ダロン。怪力のギフトか? ならうちにも縁ができそうだな。今後ともよろしくな。スミスじゃ」


スミスさんは手袋を脱いでダロンと握手した。スミスさん子供にもちゃんと礼を尽くしてくれるんだな。



「それで今日はどうした?」


「あ、はい。鉄を八十キロほど持って帰りたくて。あーあと竜のうろこに穴を開けられるような道具はお持ちじゃないですか?」


「鉄八十か。だからダロンを連れてきたんじゃな。八十はさすがにねぇな。前言った通りギルドで頼むわ。あと穴あけか。ミスリル板に穴あけられる道具ならあるが、それでいいか?」


「はい、ミスリル以上とのことでしたのでそれでいけるかと。また穴をあけてほしいものを持ってきますね。鉄も了解です」



「急ぎの仕事はないからわしが屋敷へ伺おうか?」


手袋を脱いだ手で髭をこしながらそう提案してくれた。



「ええ、それだと助かります。竜のうろこでできたお守りなのであまり赤ちゃんから離すのもどうかなと思っていたので」


「ほう、穴をあけたいのは竜のうろこか。久々じゃな」


にこにこ顔でそんなことをいう。



「竜のうろこに穴をあけたことあるんですか?」


「おう、昔な。竜の素材を扱ったことがある。その時にうろこがお守りにもなると聞いたぞ」



「そうですか、すでにやったことがあるなら心強いです。では俺たちは鉄を買ってそのあと商会にも行くのでしばらく後でお願いします」


「わかった。適当な時間に行かせてもらうわい」


「屋敷に来るまでに時間があったらなにかいいもの食わせてやるぜ、いつか俺の作った飯を食ってみたいとか言ってたよな。スミスの旦那」



「そうじゃな。では夕飯時ぐらいでええかな?」


「はい、こちらとしては問題ありません。うちで食事していってください。いつもお世話になりっぱなしですし」


「はっは。最近夜飯時は結局酒しか飲んどらんからな。おいしいものを期待しとるわ」

よし、次はギルドだ。



ギルドでスミスさんの名前を出すだけですいすい先に進んでいく。

ビルデアさんはきょろきょろしながら付いてきてるけどダロンは平然としてるな。

来たことあるっぽい。



「ビルデアさんはここ初めてなんですか?」


「ああ、こういうことは全部アレックスに任せてたからな。今更ながらアレックスに頼りすぎてたと思い知ってるぜ」


「ははっ、まあ得意な人がいたらその人に任せがちですよねぇ。でも今後はお願いしますね、さっきのスミスさんところとか」


世間話?をしながら順番を待つ。顔パスしてくれるはずのブースが今埋まっていたので。



ブースが空いたので三人で入っていく。


「次の方、おやあなたはスミスさんのところの方ですね。あとダロンじゃないですか。ダロンも関係者なのですか?」


ダロンのことも知ってたのか。これは話が早い。



「はい、うちの子です。あとこちらのビルデアさんも今後お世話になるかもなのでよろしくです」


「わかりました。顔を覚えるのは得意ですので、スミスさんの一員ということで覚えておきます。して本日は何をご所望ですか」


「はい、鉄を八十キロほどナゲットかブロックでお願いします」

「鉄を八十ですか。なるほどだからダロンがいるのですね。では本日はこちらの方が安いのでブロックをお持ち帰りでよろしいですか?」



「はい、それでお願いします」


「本日の料金はこちらです。受け取り場所はあちらになります」



前回と同様数字が書いてある札が並べられ。割符を渡される。示された料金を渡して割符を受け取る。


「いつものところでいいんですよね?」



ダロンがブースの人に聞く。いつものってことは時々来てるってことか。怪力だから荷物運びとして雇われてたんだろうな。


「はい、そこです。あ、念の為、ダロン一人で取引にはこさせないでくださいね。有能とは言え子供に大金を持たせて使いにやるのにはリスクが大きすぎますから」



いかにも規則なのでみたいな言い方だったけどダロンを心配しての指摘だろうな。


「はい、分かりました。誰か大人と一緒に来ますよ」


「そうしてください。ありがとうございました」



鉄の受け取り場所でダロンは手慣れた様子で背負子に鉄八十キロを載せて担ぐ。軽々とやってるけど、たぶん俺には無理な重さなんだろうな。



「屋敷に一旦戻りましょうか」


一旦屋敷に戻って、鉄をしばらく錆びにくそうな場所に置いておく。ダロンはここまでだ。


「ダロン、ありがとな。これ荷運びの報酬」



妥当と思われる額をダロンに渡しておく。これもダロンが独り立ちするときの資金になるのだから多めに渡しておきたいが、受け取ってくれないだろうし。



「ではビルデアさん、いろいろ寄り道しましたが本命行きましょうか」


ロメイさんの様子を聞いたところ、まだ生まれていないようだ。

初産だしなぁ。

アレックスさんもなんか憔悴してる感じだったのでビルデアさんが一言二言話しかけていた。



「アレックスの野郎も疲れ切ってたな。心配したって野郎にゃ何もできないんだがな。まあアレックスや実際つらい思いしてるロメイのためにも体にいいもの食わせてやらんとな」



「やっぱり即効性がありそうな甘いお菓子も買っていったほうが良さそうですね」


「そうだなぁ、お菓子とか作ったことないからちゃんと作れるようになるのに時間かかりそうだしな。予算が許すならしばらくの分は買っておいてくれたほうがいいな」


ゴールドマン商会への道すがらそんなことを話しながら歩いた。



ゴールドマン商会はラカハイでもそれなりに立地の良いところにあった。



「ごめんくださいー」


「はい、何の御用でしょうか?」



すぐに商会の人が二人出てきた。初老の男性と若い男性だ。さすがに商会のトップがすぐには出てこないか。


「えーと、アンソニーさんはおられますか?」



「失礼ですがどなた様でしょうか?」


「え、ああ、すいません。リュウトっていいます。師クレイトの弟子でエテルナ・ヌイの管理人の一人です。アンソニーさんから聞いたことありませんか?」


「伺っております。エテルナ・ヌイ開拓村長クレイト様の関係者ですね。少々お待ち下さい」



受け答えは初老の方が行っていて、すぐに若い人はいなくなった。たぶんアンソニーさんを呼びに行ったんだと思う。



「もしよければアンソニーの前にご用件を伺いたいのですか」


「あー、はい、食用にやくそうの葉を取り扱っていないかと思いまして」


「やくそうの葉ですか。あれは今少し取り扱いが難しい品ですからねぇ。あ、申し遅れました。私はここラカハイ支店の副店長をしておりますダグサと申します。以後お見知りおきを」


丁寧に頭を下げられた。

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