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瓦礫集め

「あとはロメイの状態ですな。子どもを生んでからどれだけ回復できるか。ロメイの魔法は重要です」



「ああ、そうだね。模擬戦は特に急がないからロメイくんの様子を見ながら日程を決めよう」



「私の勘を取り戻すにも時間かかりますから正直助かります。業務の一部を訓練に当てていいですか?」



「ああ、それほど人手が足りてないってことはないだろ? 周りの賛同を得てからなら、そうしてくれて構わないよ」



「ありがとうございます」



結局この日はレミュエーラが屋敷で寝てしまったため、皆屋敷に泊まることになった。


グーファスはビルデアさんから誘いを受けてまた飲んでる。


俺はもうしばらくは酒はいらないかなって感じなのだが。


元々グーファスは飲めるたちだったんだろうなぁ。



ここ最近はロメイさんが動けなくなったのでモーガンさんとシムーンさんが忙しくしてたみたいだけど、今日は子どもたちが疲れからかとてもおとなしい、というか一部はすでに寝ているのでゆっくりとした夜になったようだ。



リヒューサはアルティナさんとともに、寝ていない子どもの相手をしてあげているし。



リヒューサのお守りのおかげかロメイさんも落ち着いているようだし、こういう日もありだろう。

……今度アレックスさんをなにか労ってあげないといけないな。

奥さんが苦しんでる今はそんなことできないけど、さすがにストレスためてるだろうしな。



クレイトさんは屋敷の自室に引きこもったふりをして小屋に戻っている。ケリスさんとかが待機してるし、やることが残ってるからだそうだ。



次の日、小屋に戻ったのだがファーガソンさんも一緒についてきてもらった。

早めにエテルナ・ヌイを見ておきたい、とのことだったのでエテルナ・ヌイでの日課のついでにファーガソンさんとエテルナ・ヌイの中を散策することになった。



「ゴーレムが主戦力とは聞いておりましたが、すごい数のゴーレムが作業を行っておるんですな」



「へえ、そうなんですか。俺はここしか知らないので、こんなものなのかなとか思ってましたが」



「いや、これほどのものは軍にいたときも見たことありません。もしかすると宮廷魔術師殿だったら出来るのかも知れませんが、しませんしね」



まあそりゃそんな位の人が土木作業を指揮するとかないだろうな。こっちはゴースト入りの特別製ゴーレムだから指揮する必要もないだけだしね。



「あ、ファーガソンさんだ」


元の姿に戻っているレミュエーラがこっちに飛んでくる。


ファーガソンさんは目を丸くしている。


まあそりゃそうだよな。昨日初めて見た女の子が実はセイレーンでした、とか。



「まあクレイトさんが連れてきた子でしたので、ただものではないのだろうとは思ってましたが」


思ってたのか、鋭いな。



「セイレーンはご存知でしたか?」


「ええ、何度か見たこともありますし、一度セイレーンの部族の長と交渉したこともあります」


へぇ、将軍もたいへんなんだな。



しばらくレミュエーラと一緒にファーガソンさんは門を見て回ったり、町の壁を見て回ったりした。


「さすがにだいぶと傷んでますね。攻撃されたらまず持たないでしょう。北門に至ってはすでに壊れていますしね。しかしさすがに門や壁の修復はゴーレムには無理でしょうから悩みどころですね」



そうなんだよなぁ。エテルナ・ヌイの防衛力をあげようと思ったらそのへんが必要なのは分かってたけど、金銭はともかく職人さんたちをたくさん呼び込まないといけないからトラブルが怖いんだよな。



探せば一人ぐらいはゴーストの中にそういうのに長けた人がいるとは思うけど、一人じゃ厳しいだろうし。



「のちの課題ですね。しばらくはそのままでなんとかしていこうかと」


「万全はなかなか難しいですからね。人員は余計にかかりますが、まあなんとかなるでしょう」



調べていた東門から一歩外に出てファーガソンさんが質問してくる。



「そういえばこの東の空白地域、異種族たちがわんさといるということでしたが、状況はどの程度把握しておられますか?」



俺が答える前にレミュエーラが答えた。


「さっき偵察してきた。周辺にはリザードマン以外の異種族見つけれなかった」



これは補足入れないといけないな。


「ちなみに付近のリザードマンとはリヒューサのおかげで同盟を組めていますので心配はないはずです」


「なるほど、リザードマンと竜の関係は噂されてはいましたがそうでしたか。それはいいですね」



「ええ、しかしそのリザードマンによると同じ付近に棲むナーガラージャがこちらを敵対視しているようでオーガもいるそうです。ナーガラージャは一度エテルナ・ヌイに攻撃を仕掛けてきていますし」



ファーガソンさんの元々しぶい表情がなおさらしぶくなった。


「ナーガラージャですか、やっかいですな。しかもオーガも、と」


ふむう、とファーガソンさんは考え込んでしまったようだ。



「えっと、とりあえず前に攻められたときはゴーレムが壁になってくれたりでなんとかなりました」


「ふむ、ゴーレムの力はある程度知っておりますが、土木作業といい、クレイト殿の作るゴーレムは特別製のようですね。となれば、そうですね、瓦礫を集めておいてくれないでしょうか?」



「瓦礫、ですか? どうするんですか? そんなのを」


「戦場でもね結構有効なんですよ、敵に石を投げつけるってのは。昔はそれ専門の部隊がいたぐらいにはね。それをゴーレムの力と大きさでやったらオーガにも通じるのでは?」



なるほど、人間が投げられる大きさの石でも当たりどころが悪ければ相手を殺してしまうぐらいの威力だろうし、ゴーレムがそれをやったら確かにすごいことになるかも知れない。



「ゴーレムが石投げてくるとか飛んででも怖いね」


レミュエーラが素直な感想を言ってくれた。



「ええ、ですから竜対策にもなると思うんですよ」



「投石器とか用意したほうがいいですか?」


確か紐だか布で石を包める程度にしたものでぶん回して投げるものがあったよな。



「ええ、もしゴーレムがそれを扱える程度に器用なのでしたらあった方が強いでしょうね。けどゴーレムの力なら、なくても十分な気もしますが」



器用さの問題があったか。不器用だから軽作業用ゴーレムができたって経緯もあるしな。今度クレイトさんに聞いておこう。


「武装化したゴーレムとか、そんなのがあったら誰も攻めてこなくなると思いますよ」



ファーガソンさんの言う通りかもしれない。これはしたほうが良さそうだ。うちは攻められなければいいんだし。



「そういえばゴーレムってなんで武器持ってなくてパンチだけだったりするんでしょうか?」



「詳しくは知りませんが、器用さの問題なのかと。もし武器が扱えるのであればパンチよりは有効だと思います」



うちのゴーレムは特殊だから一般的な、ファーガソンさんが知っているゴーレムよりは器用だと思うし、持っててもいいかも武器。



「器用さかー、剣とかだとそうかもしれないけどハンマーとかなら振り回すだけだからいけそうですね」



「そうですな。ただ人間用では小さすぎるのでゴーレム用に作らないといけませんね。杭を打ち付けるなどに使うかけやでもゴーレムにとっては片手槌でしょうし」



そういやそうか。となると町の鍛冶屋さん、スミスさんとかに発注するってのはなしか。あくまでうちでやらないといけない、と。グーファスだよりか。出来たとしても数揃えるのは当分先になりそうだ。



「なるほどね。とりあえず武器を用意するかどうかはあとで判断しますが、瓦礫は集めておきます。どこに集めておけばいいですか?」



「防衛したい場所の近くに積み上げておけばいいかと。門の周辺や使っている建物の前とかですね」

門の入口付近に置いておいて、敵が入ってこようとしたら集中砲火ってのがいいかもね。どうせ門は壊れてるか壊れかけてるし。



「わかりました。最近建物の取り壊しも行っているので、瓦礫はすぐに集まると思います」


「ええ、ここに頻繁に来ることはないと思いますので、お任せします」

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