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軽作業用ゴーレム

ああ、これもそのとおりだ。


クレイトさんに向かって命云々は失敗だった。


クレイトさんは持ち前のアンデッドジョークで笑いにしてくれたけど、捨てたくても捨てれないんだしな。



「まあこれで僕の懐事情を心配する必要はなくなっただろう? 今の生活を十箇所でやっても千年以上も持つんだよ。ここの蓄えは。その上に価値のわからないものもたくさんあるしね。アイデンティファイを覚えたらリュウトに鑑定してもらって利用していってほしいものだね。もうずっと放置してるから」



いちいちこれは何、あれは何ってクレイトさんが教える暇はない、ってことかな。


「僕は物の価値より世界の真理を知ることを優先したからね。一応全部鑑定済みでやばいものはないはずだけど、念のためにリュウト自身が鑑定できるようになってほしい」


はは、クレイトさんらしいな。ワープに続いてアイデンティファイを覚えないといけないな。



「さて、しばらくの間の生活費も回収したし、戻ろうか。ちなみにここのダンジョン内に直接ワープは出来ないからね。外から入らないといけないからマーキングは外でやろう」


そうそう、ワープする地点を決めるマーキングをしないとここに飛べないんだった。



一通り見て回ったあと、外に出た。

風の吹き荒れる音が聞こえるが、この浮島は平穏だ。


「この浮島自体に結界が張ってあるからね。近付こうとしても自然と逸れるようにね。しかも転移でしか入れないようにしているし、結界の外からはこの浮島は見えないようにもしている」


逸れる上に見えないのか。そのくせダンジョン内は転移禁止とか、さすがのセキュリティだ。宝物庫だしな。



触媒を取り出して、ワープ地点を決めるマーキングを行う。



この触媒、砂みたいだけど宝石の粉らしい。高そう。


でもまあワープなんてすごい魔法の触媒だしなぁ。



この触媒も宝物庫にたくさんあった。地上で買う必要はなさそうだ。



「今のリュウトなら三箇所ぐらいマーキングできるだろうけど、ここのマーキングは絶対に消さないでおくれよ。まあバックアップはとっておくけど、そこが穴になりかねないからね」


俺がマーキングの術を使っている間、クレイトさんはスクロールに宝石の粉をかけていた。たぶんそのバックアップを作ってくれているんだろう。


「そのとおり、万一ここのマーキングを消してしまった場合はこのスクロールを広げてワープを使えばここに出られるはずだ。一度でもここに来たことがないものには使えないように封印しておくから多分大丈夫だけどね」



その後、クレイトさんのワープポータルで小屋に戻り、小屋の前もマーキングした。これで俺一人でもあの宝物庫に行って戻ってこれるようになったわけだ。


「それじゃ僕はエテルナ・ヌイに行ってくるよ。リュウトたちが買ってきてくれた素材で軽作業用ゴーレムを作りたいからね。僕の都合で皆をあまり待たせるのも悪い。リュウトは屋敷で泊まっておいで」



それから数日は何事もなく過ぎていった。


その間にアイデンティファイを覚え、暇になったら宝物庫へ行き、目についたマジックアイテムを鑑定するという日々が続いた。


最近ユーリアはエテルナ・ヌイへ結界のチェックや墓参りに行った際、アルティナさんやリヒューサから魔法の指導を受けている。他に用事がないときは俺も一緒に勉強している。



ユーリアは今まで戦士よりの魔法戦士だったけど、攻撃魔法主体に切り替えるようだ。


俺との相性を考えてそうしてくれたようだ。


俺はどちらかといえば魔法使いよりの魔法戦士なので盾を持ちながらでも魔法を使えるよう、省略の技法をいろいろと学んだ。



おかげでタイムロスなく剣と盾を持っていても簡単な魔法なら使えるようになってきた。


ケリスさんからは主に盾の使い方を中心に訓練してもらった。



盾ってどうしても防御のための物と思いがちだけど、使い方次第でけっこう武器になるんだな。


ケリスさんは盾だけでも戦えると言ってたし。あーもちろん盾を攻撃に使う方法だけでなく、如何にして守るかという方面ももちろん訓練した。こっちが本位ではあるしね。



ケリスさん曰く、攻撃のセンスはあまりないが、防御のセンスはそれなりにあるらしい。


盾は俺向きのようだ。やりたいことと合致していて助かる。



広場から少し離れたところではゴーレムたちが建物の解体をしている。


今用意している墓場が手狭になる前に拡張するためだ。


まあ解体と言っても豪快なゴーレムパンチでぶっ壊しているだけにも見えるけど。



大きめの瓦礫が当たっても問題ないからやりたい放題、は言い方が悪いか、非常に大雑把にやっているようだ。



まーほとんどのゴーストは元々一般の町民だったから石造りの建物の解体の仕方とか知らないしな。



というか俺も知らない。



その中にたまに太陽の光がきらめくものがいる。


クレイトさんがこの間作った軽作業用のカッパーゴーレムとブロンズゴーレムの輝きだ。



彼らは大雑把に瓦礫を取り除いた場所から細かい瓦礫を拾い上げる作業をしている。


ストーンゴーレムのぶっとい指ではそういった細かい瓦礫を拾い上げるのは難しいからだ。



カッパーゴーレムもブロンズゴーレムも腕は、というか全体が人間っぽい大きさのバランスで、銅製や青銅製の人間像が動いている感じだから。



最近では門番などのあまり動きが必要のない場所のゴーレムはクレイトさんやアルティナさんが作ったコア内蔵のゴーレムに置き換わりつつある。



なのでゴーストたちはゴーレムで作業をすることが多くなってきている。



道の補修工事としては、豪快に石畳を掘り返し、再設置するなどの作業も行い始めた。



経年劣化が激しいのと手入れが今までされていなかったので雑草が生え放題だったりしたためだ。


まだ軽作業用ゴーレムの数が足りていないため、手の空いた義体や墓守達も手伝っている。



そういえば最近ではアルティナさんの見た目がユーリアから離れていっている。



髪型も違うし、顔自体も魔法か何かで変えているようだ。


今までは遠目では見分けがつきにくかったので助かる。まあユーリアの影武者が普段からうろうろしてたらおかしいしな。



リヒューサはもうだいぶと大きくなってきた。


もう立派な大人のドラゴンであると言われても信じるぐらいには。



実際はまだまだらしいんだけど。


だけど人間の姿の場合は以前の幼女の姿のままなので、すごいギャップを感じるようになってきた。



その小さかったドラゴンとその幼女の姿のせいで、リヒューサにはなんかさんがつけれないんだよなぁ。

まあリヒューサも気にしてないようなのでこのままでいいか、とも思ってるけど。


これで人間の見た目も成長したらさん付けの方がいいかもな。中身は間違いなくさん付けでいいはずだしな。



今日はクレイトさんが調子が悪いというケリスさんの義体の様子を見るため奥に引きこもっているため、俺とユーリアはエテルナ・ヌイで待っている。



俺はグーファスと世間話をしているが、ユーリアは魔法を教わりだして急速に仲が良くなっていったように見えるアルティナさんやリヒューサ、レミュエーラと一緒にいる。



アルティナさんは過去の人とはいえ、ずっと冒険者をしていた女性だからユーリアの話し相手にはちょうどいいのかもしれないがリヒューサとは何を話してるんだろうか?



リヒューサは見た目は幼女だけど中身はリザードマンのおばあちゃんだからな。



あとレミュエーラはなんかもしかするとユーリアより年下かもしれないっぽい。



グーファスによるとネクロマンサーのガディスと一緒にいた女ネクロマンサーがどこからともなく連れてきたらしい。


その際はいまよりずっと小さな子どもだったそうで、その世話を押し付けられたそうだ。



レミュエーラの価値観が歪んでなかったのは、そんなグーファスの教育のおかげだったのかもしれない。


直接ネクロマンサーが育てていたら、凶悪な性格になっていたのかも。

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