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荷物運び

屋敷に帰って荷物の整理をする。


明日はこれらを馬車に積み込んでエテルナ・ヌイに運ばなくてはならない。

まあ俺の盾とかは今日小屋に戻った時に置いてくるけど。


片付けをしたり、子どもの相手をしていたら夜になったようで、クレイトさんたちも戻ってきたし、今日も屋敷で夕食を御馳走になった。


そのあと風呂にも入らせてもらった。

明日からクレイトさんが来れないから今日は入っておこうということになったので。

服も新調したし、いいタイミングだと思う。


明日に備えて早めに小屋に戻って寝た。



早めに寝たので早めに起きられた。今日は忙しいが頑張ろう。


まずはエテルナ・ヌイへいつものだな。

俺がレミュエーラやグーファスの着替えや薪、タオル、今日の分の食料などを持っていく準備している間にユーリアも起きたようなので普段より早めに行けた。


レミュエーラもグーファスも起きていてドゥーアさんとともに出迎えてくれたので、明日辺りに荷物とともに来ることを伝えておいた。


グーファスにはそのときは手伝ってもらうことになった。

レミュエーラは本人の判断に任せることになった。

今のところ本人は出てくるつもりのようだ。

受け入れられたらいいんだが。



二人に着替えや薪などを押し付けて、明後日までに風呂に入るようにいった。


薪を消費することをためらっていたので、その明後日には大量の薪を持ってくる予定であること、明後日は護衛や御者もくるから身なりは綺麗にしておいてほしい、とのクレイトさんの意を伝え、せっかく新しい服を持ってきたのだから体を綺麗にしてから着た方がいい、と説得した。



ユーリアは俺が二人と話している間にチェックと祈りを済ませた。今日は忙しいので戦闘訓練はなしでケリスさんには挨拶だけしておいた。


さて用事は済んだ、小屋に帰ろうと思った時に思い出した。


「そういえばレミュエーラ、自分の体重って分かるかい?」


「ん? 体重? わからないよ」


「それとどれぐらいの太さだったら足で掴みやすいか知っておきたいんだけど」



「リュウトさまー、手をまっすぐ横に伸ばして」


ん? なんだ? とりあえず手を伸ばしてみる。


「さまなんかいらないって」


レミュエーラが羽ばたいて俺の腕にとまった。

急にされたのでさすがにバランスを崩したが倒れるほどでなかった。思っていた以上に軽い。


「んー、ちょっと細いかな。グーファスだとちょっと太い感じ」


俺とグーファスの腕の太さは別に何倍も差があるというわけじゃないから、これは分かりやすいかも。


「ありがと、参考になったよ。けど先に何するか言ってくれ。びっくりしたよ」


「あははー、ごめん。でも分かりやすいでしょ。私の重さもわかった?」


レミュエーラを乗せたまま腕を少し上下に動かしてみる。


「バランス取ってるよね? 少し重めに考えたほうが良さそうだな」


「うん、落ちないようにはしてるかな」


「そっか、だいたい分かったよ。ありがとう」


「ほんとに考えてくれてたんだねー。こちらこそありがとうー」



俺の腕から羽ばたいて降りた。その時の衝撃は結構大きかった。この力は考慮に入れないといけないな。


「さすがに明後日には間に合わないと思うけどな。けどすでに相談はしてるからいつかは持ってこれそうだよ」


「地べたで寝るのも慣れてきたけど、やっぱりあったほうが楽だと思うからお願いするよー」


「ああ、また明後日に」


二人と別れてドゥーアさんにも挨拶してから小屋に戻った。



「おかえり、待ってたよ」


クレイトさんが準備万端!という感じで小屋で待っていた。


「お待たせしました」


「もう屋敷の方でも準備はすんでいるようだ。行こうか」


三人で転移門をくぐるといつものようにジャービスさんが待っていた。


「おかえりなさい。お待ちしておりました」


「おはよう、お待たせしたようだね」


「おはようございます、もうシャイニングホライゾンの方々とジェイクが来ていたので屋敷に入ってもらっています」


「そうなのかい、真面目だねぇ」



階下に行くとモヒカンと子どもたちが走っていた。ジェイクさんは以前に世話をしていた子どもたちといる。


「あ、おはようございます! 早めに着いたので子どもたちと遊んで待たせてもらってました」


「ああ、おはよう。ありがとう」


「おい、お前ら!」


タルバガンさんが声を掛けるとすぐにシャイニングホライゾンの面々が揃った。統率されてるなぁ、見た目と違って。


「うっす、ウッドチャックっす。今はつけてませんが大剣と金属鎧の戦士っす」


最初に名乗ったのはちょっと太めで大柄な戦士風の人だった。この人もここらではあまり見かけないソフトモヒカン風な変な髪型だ。



「ブラックキャップだ。それなりに戦うことも出来る治癒術師だ」


そう言ったのはこの世界では今まで見かけたことがない真っ黒な頭髪の人だった。


名前と思ってたけど、コードネームというかそういうあだ名みたいなものなのね、名乗ってるの。



「ロングテールいいます。魔法使いやっとります。よろしくお願いします」


尻尾が生えているわけではなく、髪型が長いポニーテールだからか。

見た目が中性的だから喋らなければ女性と間違えられることもありそうだ。

逆に言えばしゃべると一発で分かる男性声だ。



「あと一人、ティエンというやつが下で馬車の準備しています」


タルバガンさんが補足を入れた。



「僕がクレイトだ。こちらこそよろしくお願いするよ」


共通するのは、変な髪型と全員?あだ名ってことかな。

ああ、あと奇抜ゆえかロングテールさん以外は怖く感じる見た目か。

でも子どもたちは一向に怖がってないどころかすでに人気者といった感じなので、偏見だな、これは。


「俺はリュウトっていいます。師クレイトの弟子です。よろしくお願いします」


一応俺の立場も表明しておいた方がいいだろう。


「荷物の方はこちらにまとめて置いてありますので、これらを持って下の馬車まで行ってくれますか」


シムーンさんが仕切ってくれる。


「それじゃ僕は馬車を取り回すために先に行っておくよ。リュウトはユーリアと一緒に来てくれ」


「はい、分かりました」



今日は普段伝令の仕事に出ている子どもたちも手伝うために残っていた。というか午前中雇ったようだ。


怪力のダロンはベッドを一人でかついで降りるようだ。


町の中だから大丈夫だとは思うけど、ユーリアを守るために捨てても痛くない荷物を持って降りよう。薪がいいかな。

ユーリアは服を入れた袋を持っている。

思ったより荷物が少なかったのと総出で運ぶので往復せずに済みそうだ。



町の一番下にある駐馬車場といった感じのところで四台の馬車が並んでいた。

もちろんクレイトさんが雇った馬車だ。一台多いけどそれはシャイングホライゾンのだろう。その一台だけ見た目も違うし。


皆で手分けして馬車に荷物を積み込んでいく。


その際にも大活躍だったのはダロンだった。

怪力ってすごいな。


あとウッドチャックさんやファーガソンさんが疲れ知らずといった感じで頑張っていた。

食料などは商会のみなさんと思われる方々が直接持ってきてくれたようだ。

持ってきてくれた方々の中にはスミスさんもいた。

鍛冶屋関連のものを持ってきてくれたようだ。



だいたい積み込み終わった辺りでカムシンさんたちが椅子を持って降りてきた。

聞いてみると遅れてしまったために屋敷からの出発時に間に合わず、先程屋敷にすでにあった簡易椅子を正規のものに交換して簡易椅子をこちらに持ってきてくれたようだ。


「お父さん、間に合わないって言ってたじゃん」


とはシムーンさん。間に合わないと言っていたのを間に合わせてくれたのか。


「いや、せっかくだからね」


ともかく椅子が増えるのは助かる。向こうにもあるにはあるけどもう何百年も前のでいつ壊れてもおかしくなかったからな。


ついでなのでカムシンさんに挨拶して、レミュエーラの重さと足回りのことを説明しておいた。次いつ行くことになるか分からないけど、時間に余裕があったほうがいいだろうし。



「ずいぶん大きな鳥ですね。しかも重い。ハーピーかなにかですか?」


カムシンさんにそう言われたけど、ハーピーではない、と言っておいた。嘘は言っていない。


積み込みが終わった。

小一時間ぐらいかな。

積み終わると屋敷の面々が勢揃いでお見送りって感じになってる。


しかもそこにカムシンさんやスミスさんや知らない商会の人まで混じってるし。



これからお世話になる御者さんに挨拶してユーリアとクレイトさんも乗り込んだので同じ馬車に乗り込む。

シャイニングホライゾンの面々とジェイクさんは俺たちの馬車の周りに配置して歩いていくようだ。


ウッドチャックさんは自分たちの馬車の中で鎧をつけたようで完全武装している。他の面々も屋敷では持っていなかった武器を背負っていたりしていた。



たった二日ほど離れるだけでこのお見送りは恥ずかしい気もするけど、ちゃんと挨拶はしておかないとな。


馬車から体を少し出して


「いってきまーす」


と大声で言った。それを見てかユーリアも真似をした。

やっぱり手本はいるってことかな。


屋敷の面々も俺たちが見えなくなるまで手をふってくれた。

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