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買い物

それで思い出した、聞きたいことがあったんだった。


「そういえば、前に戦った時、グーファスが今よりずっと大きく見えたんですが、あれはなんだったんですか?」


顔が曇った。あ、やばい、触れてはいけないところだったか?


「ああ、あれは俺にかけられた魔法の一つで、死者との同化というものです。周りの死者の肉体を吸収して一時的に体を大きくし、強力な力を出せる、という忌まわしいものです」


「ああ、そうだったんですね、嫌なことを思い出させて申し訳ないです」


「いえいえ、あれは俺自身が使う魔法でなくガディスが俺にかけたものなのでもう使えませんしね」


微妙な空気になってしまった。と、そこにクレイトさんたちが帰ってきた。助かった。



『聞けたかい?』


あ、はい、必要と思えることはだいたい。


「あ、それじゃユーリアはレミュエーラの、リュウトはグーファスの体のサイズをだいたいでいいから把握してもらえるかな?」


「服を調達するためですね」


巻き尺とかないのでだいたい掌でいくつかみたいな目分量で測ってみる。


「ほんとは仕立て屋を連れてくるのが一番いいんだけどね」


「仕立て屋なんてそんな。もうしばらくずっとこんな格好だったので俺は問題ないですよ」


「そういうわけにもいかない。ここはお墓だからね、人の出入りもあるんだ。君たちにはいずれ墓守となってもらうつもりだからね。それなりの身だしなみは必要になってくるんだよ。だから風呂にも入ってもらうからね。ドゥーア殿、風呂の設備もあるよね?」


「はい、もちろんです。ただこちらに水はともかく薪を持ってくるのはつらかろうということで放置しておりましたが、今後はたしかにあっても良いですな」


「レミュエーラが風呂に入るかどうかはわからないが水浴びぐらいは必要だろう?」


「今までは池とか川があったらそこで水浴びしてた。最近はなかったから入ってないや」


「今後は風呂場で水浴び、または風呂を試してみるといい。今日中に風呂のあるところを綺麗にしておいてくれ。水は申し訳ないがドゥーア殿に頼みたい。なんなら魔晶石を使ってくれて構わない」


「はい、分かりました。ちょうど彼らの家にしようと思っていた建物に風呂の施設がありますのでちょうどよいです」


「そこに氷室はあるかい?」


「はい、ちゃんと掃除し、魔力を込めれば氷室として機能すると思います」


「それは良かった。さすがだなドゥーア殿」


「ハハハッ! 伊達に生前町長などしておりませんよ」


レイスが胸を張って偉ぶってる。これは普通では見れない光景だな。


「本日のところかここまでかな。とりあえずの食料も持ってきている。まだ調理の準備が出来ていないので保存食になるけどね」


懐から干し肉や黒パンなどを取り出す。いつの間に。


「ありがとうございます、普段食べていたものよりずっと良いものです」


「それじゃまた近いうちに来るよ、次は馬車でくるつもりだから色んな人が来るからね。そのつもりでいてくれ。レミュエーラは人前に出るかどうかは任せるよ」


「人間怖い、でもグーファスやクレイトたちは優しい。クレイトが連れてくる人間なら大丈夫かな?」


「ああ、たぶん大丈夫さ、アンデッドほどには異種族に対して偏見はない。異種族といってもセイレーンは人間に近いしね」


『レミュエーラを見ても動じない人物ならアンデッドでも動じないかもしれない。逆を言えばレミュエーラで動じる人間には正体はあかせない、ということだね』



「じゃあ戻ろうか」


「ありがとうございました」


グーファスが頭を下げて見送る。


ドゥーアさんは南門までついてきた。


しかし門のところで俺たちに挨拶して帰っていった。たぶんクレイトさんと念話でなにかやりとりしてたんだろう。


「それじゃ屋敷に戻ったら分かれて持っていくものの調達をしていこう。これはそのための資金だ」


クレイトさんからずっしりと思い小袋を渡された。


「俺の小物も買っていいですか? なんだかんだで調達できずじまいでしたし」


「ああ、もちろんだとも。ついでに自分たちのもので足りてないと思うものも買っておいてくれ。ユーリアは今日はどうする? 屋敷で遊んでおくかい? それとも誰かに付いていくかい?」


「リュウト一人だと大変だと思うからリュウトについてく。それにレミュエーラの服のサイズ知ってるの私だけだし」


「それはそうだったね。それじゃリュウト、ユーリアを頼んだよ。僕は鍛冶屋や家具などの大きなものと消耗品を中心に調達するから、そちらは二人から聞き出したものを中心にしてくれ。なあにダブってもいずれ使うし、難しく考えることはないよ」



小屋についた。


「ちょうどお昼だから、屋敷に昼食の準備は頼んだよ」


「分かりました」


昼飯は用意してくれるらしい。楽になったなぁ。自分で作るのも好きだけどやっぱり面倒でもあるしな。



屋敷に行く。いつもどおりジャービスさんが出迎えてくれる。


「いつもすまないね。明日からエテルナ・ヌイへ物資を運びに行くから留守の間頼むよ」


「はい、もちろんです。まあわしがいなくても今はファーガソンやアレックスが仕切ってくれるから楽ですけどね」


ジャービスさんの負担軽減はうまくいっていたようだ。この出迎えもどうにかしないとな。


「では今日、物資の買い出しについてきてもらえますか? 今までジャービスさんに任せていたのでそれを引き継ぎたいので」


「おー、それはいいですな。分かりました。お付き合いします」


四人で一階へ降りる。さっそくユーリアが子どもたちに囲まれた。人気者だな。


そして皆で昼食。昼食とは思えない手間のかかった料理を食べることが出来た。ビルデアさんに感謝。

え? 最近はモーガンさんも積極的に料理してるんですか? ビルデアさん直伝なら安心だ。


ユーリアと友人との会話が一段落ついたようなので出発することにする。



「ユーリア、そろそろ行こうか」


「はーい」



「まず雑貨屋から行くよ」


「何買うの?」


「まずは俺の財布代わりになるものを買いたい。お金をずっと手に持ってるのはきついし、腰に吊るすのもなんか不安だし。それにあの店ならなんかいいのあるかもしれない」


「わかったー、いこー」



ユーリアの案内ですんなり着けた。

相変わらずごちゃっとしてるけど、それがいいよな。


革製品が置いてあるところで早速良さげなお金入れを見つけた。

まずこれはすぐに買っておこう。


そんなに高くなかった。

さっそく身につけてお金を入れる。ようやく安心できるよ。


さて、他になにかないかな?


ん、これは手斧か。

これあると薪とか使う時に便利かもな。グーファスと俺用に買っておこう。


2本ぐらいなら持ち歩いても大丈夫だろう。


バックパックも買っておかないと他を持ち運べないな。


「ユーリアもバックバック買っておくかい?」


「はーい、おそろいー」



いや、さすがに俺と同じ大きさのは大きすぎるだろう。なので少し小さめのを買って渡した。


探してみたけどさすがに盾は売ってないか。雑貨屋だしな。



野宿のコーナーらしいところでいろいろと要りそうな道具を買う。


鍋や包丁のようなナイフなどの調理器具も揃ってたし、食器もあった。野外用なので丈夫だろう。


コンソメはあるかな?


んーブイヨンはあるけどコンソメはなさそうだな。


そういえばアレックスさんのコネで手に入れたとか言ってたから雑貨屋では売ってないのかも。


残念だけどブイヨンを買っておこう。レミュエーラは分からないけど、グーファスなら使いこなせるだろうし。


米もないか。あれも入荷が難しいとか言ってたしな。


まー彼らが米を喜ぶとも思えないからいいか。


楽器はないかな?


おーあったあった。

笛と弦楽器か。

レミュエーラにはどっちがいいんだろう?


セイレーンだからハープ、ということは弦楽器かな?


しかしハープっぽいのはないな。


ギターだかバイオリンだかといったやつしかない。



「リュウトー、何見てるの?」


「ああ、楽器だな。レミュエーラが得意かもと思ってね」


「あー、音楽の道具ね。祭りのときとか見るね」


そうか、俺らんところでも楽器を直接見ることとか少ないし、こっちだと余計か。


知識を得る方法が限られてるしな。

これはぜひ買っていって、ユーリアにも触ってもらうってのもありかもな。


「ユーリア、触ってみたいのはあるかい?」


「んー、これなら見たことある、かも」


ユーリアが指さしたのはギターだかリュートだかといったものだった。


しかし指さしたのはちょっとユーリアには大きすぎるな。


小さいのはないかな?

影になって見えないところにだがあった。

これを買って持っていくか。無駄遣いになるかもだけど、クレイトさんなら許してくれるだろう。



「よし、これを買ったら今度は服屋に行こう。他に欲しいものとかないよな」


「ないよー」


そんなに高くなくてよかった。

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