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手配

「詳しい説明は出来ますか?」


「そうですね。シャイニングホライズンの方は主に護衛をやってるいわば護衛のプロですね。雇い主からの評判もいい。ただ五人なのでジェイクを加えるとちょっとオーバーしてしまいます」


「なるほど。疾風の玄狼の方は?」


「彼らは四人ですので人数はちょうどいいかと。評判もいいほうです。ただあまり護衛とかはやったことがないので少々不安ではあります」


「もしどちらかだけお勧めするとしたら?」


「そうですね。人数超えてしまいますが、シャイニングホライズンの方をお勧めしますかね」


「分かりました。ではそちらにお願いできますか?」


「いいんですか? 五ゴールドかかりますよ? 疾風の玄狼なら四ゴールドですみます」


「ええ、これではっきりしました。貴方が手数料欲しさに人数の多い方を勧めているわけではない、ということがね。だからこそ貴方が一番のお勧めを雇わせていただきたい」


「ははっ、参ったな。そんな決め方されたのは初めてですよ」



そういいつつ、酒場の方に声を掛ける。


「おい、シャイニングホライズンを呼んできてくれ。いつもんとこにいるだろうよ」


「へい」


一人のいかにも荒くれてますって感じの見た目の人がそれを受けて走って出ていった。冒険者じゃなくて伝令だったのか。


「少し待ってくれ、すぐに連れてくると思うからよ。あと今回は指名料はおまけしておくぜ」


「そういうのがかかるんですね」


「ああ、申し訳ないけどな。伝令だってただじゃないしな。まあ次からでいいよ。それに金がかかると先に言わなかったからな」


「ありがとうございます」


「シャイニングホライズンなら知ってます。彼らなら良いと思います。見た目で損してると思うんですけどねぇ、彼らは」


アレックスさんも気になることを言いつつお薦めしてくれた。


「戻りました」


さっき走っていった人がもう戻ってきた。



続いて入ってきた人がシャイニングホライズンの人なのだろうか?

なんかモヒカン刈りでトゲの付いた肩アーマーつけてるんですが……。

クロスボウも背負ってる辺り、もう完全にあれですわ。


「あ、どうも、シャイニングホライズンのリーダーのタルバガンです」


普通かい!

まー見た目はあれだと聞いてたけど話し方は確かに良い人っぽい。


「よお、早速来たな。こちらがシャイングホライズンにお願いしたいというクレイトさんだ」


受付のおじさんがクレイトさんを紹介してくれる。


「クレイトです。明後日からエテルナ・ヌイまで往復、積荷下ろしありです」


「ほう、商隊というわけでもなさそうですが、積荷下ろしですか。載せる方は大丈夫なんですか?」


「いやまだ考えておりませんでしたが」


「なら積荷を載せるのも手伝いますよ。馬車の手配は済んでますか?」


「いえ、まだです」


「それは良かった。俺らは五人パーティーで自分たちの馬車を持ってるので物資などは考えなくていいですよ。配置だけ考えてください」


「おお、そうなのですね。ではお言葉に甘えることにしましょう。報酬ですがお一人一ゴールドなのですが、よろしいですか?」


「え? そんなに? エテルナ・ヌイ往復ってかかって二泊ですよね?」


「だいたいそれぐらいですね。良い方を薦めてほしいと聞いたところ皆様の名前があがったのです。良い巡り合いをするためにはケチらない方がいいという考えでして」


クレイトさん、それ口からでまかせでしょう? クレイトさんなら本心という可能性もあるけど。けどまあ、たしかにこう言われて悪い気はしないよな。



「そういうことなら喜んでお引き受けしたいです。いつどこへ行けばいいですか?」


「荷物や馬車の手配はこれからするので、正確なところは言えないんですが荷物の運搬をしていただけるのでしたら明後日の朝にうちに来てほしいです」


「クレイトさんの屋敷は私が説明しますね」


アレックスさんが面倒なところを引き受けてくれた。


「前金はいりますか?」


「いえ、大丈夫です、あとでまとめてでお願いします」


「分かりました。それではよろしくお願いします」


「はい、こちらこそー」



場所の説明はアレックスさんに任せて、ギルドにマッチング料金を支払って、別れることにした。


アレックスさんには屋敷に帰ってもらって、俺たちは馬車の手配と荷物の手配だが、日も落ちてきたから馬車の手配だけ先にしておこうということになった。


明日飛び込みで入って馬車がないです、なんてことになったら困るから。

町の一番下へ行って、馬車屋? に行く。


ラカハイには馬車が入れないので、一時的に預かってくれたり、貸してくれたりするところだ。乗合馬車も運営してるらしい。


「いらっしゃいませ」


女性の受付が出迎えてくれた。


「馬車を借りたいんだけど」


「はい、ありがとうございます。何を何台入り用ですか?」


「そうだね、今回は家具を運ぶから多めのほうがいいか。荷馬車を三台、お借りしたい」


「荷馬車を三台ですね、期間はいかほどになるでしょうか?」


「明後日から3日間だね」


「はい、承りました。問題なくお貸し出来ます。保険にしますか? 保証金にしますか?」


「それは? 私自身が借りるのは初めてですので説明お願いできますか?」



「はい、失礼いたしました。どちらも馬や馬車の損失などに備えたものです。保険ですと掛け捨てで何もなくてもお支払いいただきますが、額は少なめです。保証金ですと額は大きいですが何事もなければ全額お返しします。もちろん預けていただいた額より被害が小さければ差額となります」


「なるほどね、いくらになるんだい?」


「まず荷馬車を三台、三日間の使用料で120シルバーとなります。保険ですと、これに加えて90シルバーいただきます。合計210シルバーですね。保証金ですと一台につき5ゴールドお預けいただきます。なお馬の飼料は一頭一日辺り1シルバーとなります。三頭の三日分となりますので9シルバーとなります。飼料費は別途用意していだけるのでしたらいりません。御者も雇うのでしたら一人一日あたり12シルバーとなります」


「説明、ありがとう。保険で支払うよ。飼料も用意してほしい。御者も三人お願いしようか」


「分かりました。ありがとうございます。手配させていただきます。では327シルバーとなります」


「ゴールドで支払ってもいいかい?」


「ええ、もちろんです」


「ありがとう」


「ではこちらが割符となります。明後日いらした時に受付のものにお渡しください」


クレイトさんが4ゴールド渡すと、半分に割られたゴールド1つと23シルバーが帰ってきた。物理的に割って50シルバーってことか、この半分のゴールドは。


あと木に複雑な文様が書かれたものも渡された。これが割符かな。予約チケットみたいなものだろう。


「よし、これで馬車の方はオーケーだ。もう日が沈みかけているがカムシンさんの工房へ寄ろうか」


「はい、急ぎましょう」



幸いカムシンさんの工房の入り口はまだ開いていた。


「すいませーん」


声をかけながら入る。


「おや、リュウトさん、どうしましたか?」


奥から出てきたのはカムシンさんだった。話が早くて助かる。


「おお、クレイトさんまでいらしているとは。ささっ、こちらへ」


すぐに応接室へ通されて、お茶をいただいた。


「こんな時間に申し訳ない」


「いえいえ、ちょうど休憩しようと思っていたところでしたので。それでどうかされましたか?」


「いえ、ちょっとエテルナ・ヌイの方でも生活の拠点を作ることにしまして、家具がまたほしいんですよ。しかしまだ屋敷の方の家具を作っていると思いますので、屋敷にすでに収められている仮の家具を譲っていただいて、それを持っていきたいんです」


「なるほど。確かに今はフル回転で屋敷の家具を製作中ですので、急ぎで他のものを作るとなると正直私のところでは手に余りますが、仮のものでよければどうぞ持っていってください。ところでいかほど必要なのですか?」


「ベッド、テーブル、椅子が二つづつといったところですね」


「なるほど。明日には二段ベッドが一つ出来ると思いますので、簡易ベットが二つ空けれるはずです。テーブルは正直すぐには作れませんので、うちのストックを持っていきますか? 椅子は二個なるべく早くに仕上げます。いつご出発なされるのですか?」


「明後日になります」


「明後日ですか。……分かりました、なんとかしましょう」


「今回は生活物資を持っていくのが主目的ですので、ないならないでいいのであまり無理はなさらないでください」


「そうですか、分かりました。なるべく用意させていただきます」


「ありがとう、そうしてほしい。では今日はこのへんで」


「あまり良いお返事できず申し訳ないです」


「いえいえ、無理を承知で頼んだだけですので対応していただけるだけありがたいです。では」


クレイトさんが席を立ったので俺も立って、カムシン工房から出る。


「すっかり日もくれてしまったか。そろそろ屋敷に戻ろう」


「はい、そうしましょう」

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