表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/137

真の姿

空から何かが急降下してきて俺を襲った。

とっさに避けれたが肩を少しひっかかれた。

羽音の方を見ると大きな鳥?

鳥にしてはシルエットが変だが、それが街を囲む壁の上に止まった。


「あれ~、今のを避けるなんて勘のいい魔法使いだな」


鳥が喋った。あー、そういえばネクロマンサーの中にハーピーがいるとか言ってたっけ。こいつがそうか。


返事はせずマジックミサイルを放つ。しかしその弾はハーピーが翼を動かすと消えていった。


「残念ね、あたいにマジックミサイルは効かないぞ」


まじかよ。空を飛んでる相手なのにマジックミサイルが無効化されるとか。


「肩、大丈夫?」


ユーリアが心配そうな顔で聞いてくる。



「大丈夫だ」


ぶっちゃけちょっと痛い。

けど悠長にポーションを飲んでいる時間はなさそうだ。

再びハーピーが飛びかかってきた。剣を抜いてカウンターを狙うけど、さすがに当たらない。


ユーリアは俺を助けようとしてくれてるけど、今攻撃をやめたらゾンビたちがこっちに流れてくる。

ゾンビと一緒にハーピーと戦うのは無理だ。

ユーリアはそれを理解してゾンビ殲滅を続けてくれている。


ハーピーの視線がユーリアに動いた。

次はユーリアを狙うつもりか。

マジックミサイルがダメならと、ライトニングを唱える。

正直当たる気がしないが何もしないよりはいいだろう。


危惧したとおり悠々と回避されてしまった。

しかし大げさに避けたためユーリアへの攻撃は防げた。


「ユーリア、こっちへ下がって!」


ユーリアに俺の方、建物の近くへ来るように声を掛ける。

ゴーレムが事態を察知してくれたのか俺たちを庇うように門の左側に突出してくれる。


しかし門から巨人みたいなのが突進してきて、ゴーレムと戦い始めた。


あれ、ゾンビなのか? フランケンシュタインのようにも見える。

ちょっとゴーレムが押されてる感じもする。やばいな、これ。完全にしてやられている。



『今そちらにケリス殿を送った。もうしばらく耐えてくれ』


ケリスさんを送ってくれたようだ。けどクレイトさんの念話もなんだか余裕がなさそうだ。

ケリスさん以上の援軍は求められそうにないな。ケリスさんが来たら一気に攻勢をかけるしかないか。



俺はゴーレムを助けるため、マジックミサイルで巨人を攻撃するが蚊にさされたかのような反応だった。


ユーリアにはハーピーを睨んでもらっている。

ハーピーもこちらを見つめているので双方うかつに動けないという状況だ。


しかしこのままだとあの巨人に突破されてしまう。



広場に続く大通りから誰かが駆けてきた。たぶんケリスさんだ。その勢いで盾を前にして巨人に突進していく。


なんで盾でぶつかっただけでこんな音がするんだというような凄まじい音がして巨人がはじけるように後ろへ下がる。

よし状況が変わった。ハーピーの方を見ると驚いたような顔をして巨人の方へ飛んでいこうとしている。


「ユーリア、ファイアボールだ」


ユーリアにそう囁く。

ユーリアがファイアボールをハーピーに向けて打つ。

ハーピーはひょいと軽く動くだけでファイアボールを避けようとする。

よし、狙い通りだ。


俺はファイアボールめがけてマジックミサイルを放つとファイアボールがその場で爆発する。

その衝撃波がハーピーを殴る。


ハーピーは予測できていなかったようでもろに衝撃波を食らって下に落ちてきた。


ダッシュでハーピーとの間合いを詰めて剣を振り下ろす。殺す気の振りだ。しかしその一撃は避けられ巨人の方へハーピーは走っていった。


ハーピーって走るのも早いのね。と場にそぐわないことを考えてしまって、その動きに対応できなかった。


「グーファス、下がるよ」


ハーピーが巨人にそう言った。


「分かった」


巨人が喋った。喋ったということはフランケンシュタインではないということかな?

そういえばリザードマンが大きなオスとか言ってたけど、まさかこいつもネクロマンサーなのか?



ハーピーが巨人の肩に飛び乗り、巨人がバックステップした。

と同時に周辺に居たゾンビたちがケリスさんに殺到した。

ケリスさんはなんなくその群がってきたゾンビを盾で弾き飛ばしていたが、巨人を追うのは出来なかった。


俺も二、三体のゾンビに道を阻まれた。巨人たちはひいていったが、ゾンビたちはそのままだ。このまま殲滅戦に移る。



あらかたのゾンビを処理し終えてから指輪の宝石をこすり、クレイトさんに報告する。


北のゾンビはほぼ掃討。しかしハーピーと巨人の二名のネクロマンサーは逃亡。そちらに合流するかもしれません。


『分かった。お疲れ様。見張りを少しだけ残してこちらに来てくれないか。ゴーレムたちもこちらに呼び戻す』


一緒にゾンビ掃討をしていたゴーストを一人捕まえて俺たちは東に行くことと、見張りをここに残していってほしい、とのことを伝えておく。


クレイトさんが念話で指示出してそうだけど、一応念の為。


ゴーストは喋れないが、頷いてくれた。



「私は逃げた奴らを追ってきます」


ケリスさんが逃げた巨人たちの方へ走っていった。


「ユーリア、俺たちは東へ行くよ」


「はーい、これ飲んで」


ポーションを手渡された。そういえば肩に少々怪我してたんだった。戦闘の興奮のせいか痛みを忘れていたよ。


「ありがとう、飲むよ」



東でも大量のゾンビが押し寄せていたようだ。しかし抑え込んでいた。


そりゃドゥーアさんとクレイトさんがいたらどうとでもなるよな。けど見てみたらドゥーアさんはけっこうやられているようだ。


「申し訳ありません、下がります」


代わりにはならないだろうが、俺が前に出ないといけないな、これは。


『いや、僕が出よう。もう正体を隠しながらも限界のようだ』


クレイトさんが変装の魔法を解きながら前へ出る。



『この姿で出るからにはネクロマンサーたちを逃がすわけにはいかないけどね』


骨の姿になったクレイトさんがどんどん前に出て、ゴーレムより前に進み出る。しかしゾンビたちはクレイトさんを避けるように近寄ってこない。


『ゴーストやスペクターは下がっておくれ。巻き込んでしまうかもしれない』


辺りで遊撃していたゴーストやスペクターたちが一斉に下がる。こちらが圧力に屈したと思ったのかゾンビたちがどんどん前に出てくる。クレイトさんを避けて。



『「止まれ」』



なんだこれ? クレイトさんから衝撃波が飛んできたような圧迫感を感じた。


と同時にゾンビたちが一斉に動きを止めた。

そのせいで倒れるゾンビも多数。ゾンビたちが一斉に動きを止めたので、動いているネクロマンサーを後方、東門の外で見つけた。しかしそこまでに多数のゾンビがいるのでたどり着くことは出来ない。


「ファイアピラー」


クレイトさんが右手を前に突き出すと、クレイトさんとネクロマンサーたちをつなぐ線上に炎の柱が何本も吹き上がる。

それに何体かの動けないゾンビが巻き込まれる。


突き出した手を握るとその炎の柱が爆発した。

多くのゾンビが巻き込まれて吹き飛ぶ。


道が出来た。


その今作った道を骸骨姿のクレイトさんがゆっくりと進む。

老人と思われるネクロマンサーと若い女性に見えるネクロマンサーは動いてはいるが動けない。


クレイトさんに威圧されていて行動を取れないでいる。



「お、お前はなんだ? なぜアンデッドが私達の邪魔をする?」


「お前たちに道はない。先駆者が言うのだ。お前たちが進む道に希望はない」


しゃべりながらクレイトさんはゆっくりとネクロマンサーへ近づいていく。


「お、お前が失敗しただけだろ! 私達はたどり着いてみせる!」


「お前たちはしてはならないことをした。エテルナ・ヌイに喧嘩を売るべきではなかった」


「我々にはゴールドマンの死体が必要なのだ。あれを研究すれば……」


「そんなものの先に何もありはしない。それにお前たちはもう私を見てしまったのだ。もうお前たちには未来もない」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ