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襲撃二度目

三人でエテルナ・ヌイに向かう。

特に問題なく到着したけど、いつも門の前にいるゴーレムがいない。

何かあったのかな? いつもより慎重にエテルナ・ヌイを歩く。

広場につくとそこにゴーレムたちが集まっていた。

ドゥーアさんやケリスさんもいる。


「おお、これは気づきませんで、申し訳ありません。しかし運が良かった。本日はクレイト様も来ていただけたのですね」


ドゥーアさんがこちらに気づいて飛んできた。ケリスさんは義体だけどドゥーアさんは元の姿だ。


「どうしたんですか? 何か様子がおかしいですが」


「はい、付近を偵察していた者の報告で、ゾンビたちが集結しているとのことでして」


「勝手に集結するものなのですか?」


疑問に思ったのでつい口を挟んでしまった。


「いえ、普通であればそんなことはないので問題なのです。戦力的にその程度が集結したところでエテルナ・ヌイをどうにかできるものではないので、こちらで処理をと考えていたのですが、先日の件もありましたし、今クレイト様をお呼びするかどうか相談していたところだったのです」


「そうだね、ゾンビが勝手に集まることはない。誰かに操られでもしなければね」


「ということは」


「そう。ネクロマンサーが来ている可能性が高い」



「僕の元ご同輩だね」


「え? クレイトさんは元ネクロマンサーなんですか?」


「分類したらそうなってしまうからね。僕は不死になったのだから。ネクロマンサーは不死になりたい者だからね、最初は違ったんだけど」


「あ、そうか」


普段は普通の人間に見えるから思い違いをしてしまった。元々クレイトさんはアンデッドの頂点にいるような人だったんだった。


「世界の理を理解しようとしない、アンデッドにすらなれない連中だからね。ああ、もしかするとアンデッド化できたネクロマンサーもいるかもしれないけど、そこまで登ってきた奴なら、こんなつまらないことを狙うとは思えないからね」


珍しくクレイトさんが声を荒げているな。同族嫌悪というやつかな?


『ああ、そうかもしれない。僕も昔はあんな感じだったのかと思うとね』


まさかクレイトさんも遺体で実験とかやったんですか?


『それこそまさか、だよ。僕は純粋に研究のみで成したさ。だからこそ回り道している奴らがバカに思えてしまうんだろうね。ギフトのおかげってのもあると思うし』


なるほど。クレイトさんほどの人でもそんなところがあるんですね。



『ああ、一時期人間から離れていたから人間性、みたいなものは失ったかと思っていたけど、存外残っていたようだね。それは良いことでもあるし、今みたいに悪いことでもあるね、気をつけねば。ありがとうリュウト、君のおかげで冷静になってきたようだ』


俺のおかげかどうかは分かりませんが冷静になれてよかった。クレイトさんが冷静でないとか怖すぎる。

『そうだね、力を持ちすぎるのも一考だな。まあかといって今更手放せないけどね』


ドゥーアさんの説明は続いている。昨日の件で近くにネクロマンサーが現れるかもしれないと言うことで、周辺の警戒網を広げた矢先だったそうだ。


東にある沼地付近に赴いたゴーストがゾンビの集団を発見したらしい。

たまたまそこに死体がたくさんあってたまたまゾンビ化したということもあるけど、その割には複数種族のゾンビがいたそうだ。


可能性としてはその複数種族がお互いに殺し合った結果ということもなくはないだろうけど、警戒に値する情報だとドゥーアさんは判断したそうだ。


「ゾンビの足を考えるとそろそろエテルナ・ヌイにたどり着いてもおかしくないね」


「はい、ですのでゴーレムを東に配置しようかと。ゾンビだけならその後ろにゴーストもいればそれだけで十分でしょう」


「だけど、万一ネクロマンサーがいたらゴーストが危ないね。念の為スペクター以上を配置しておいてくれ」


「はい、分かりました。お前たち」


ドゥーアさんの一言でゴーレムたちが音を立てて東へ歩いていく。その周辺にうっすらとスペクターたちも見えた。


「ゴーストたちは引き続き周辺の索敵をさせます」


「そうしてほしい。不意を打たれるのは困る。さて、ユーリア。今のうちに結界を見直しておこうか。もし有力なネクロマンサーがいたら結界に影響が出ているかもしれない」


「ほんとだ。ちょっと結界が弱まってる気がする。強めておくね。封印は問題ないみたい」


手早く調べたユーリアはその後祈った。



「早速来たようだね」


剣戟の音が聞こえてきた。あぶな、もう少し遅ければ入り込まれていた。けど剣戟? ゾンビが武器を使うのか? 不思議に思いながらも東へ皆で走っていく。


エテルナ・ヌイの敷地外、東門から出たところでゴーレムと戦っていたのはゾンビではなくオークたちだった。いや、一部オークゾンビやあれはリザードマンなのかな? それのゾンビも混じっているけど武器を持った生きているオークも少なからずいる。どういうこと?



「生きているオークなら私のリディクルで終わるでしょう」


スーっと前に飛んでいき、ドゥーアさんが笑い出す。途端にオークたちはパニックに陥って戦力外となる。あの笑い声、リディクルという名前の技だったのか。


生きているオークは逃げ出し、接敵している数が減ったためゴーレムたちは容易にオークゾンビを叩き潰していく。


これは楽勝かな、と思ったら矢が飛んできた。

矢はドゥーアさんに当たったがレイスは霊体なのですり抜ける。

しかし矢はドゥーアさんだけを狙ったものではなかったようで、逃げ出そうとしたオークたちを次々に射抜いていく。



「お前ら逃げてんじゃねぇよ。逃げるぐらいなら死んで俺様のコマになれ」


矢が飛んできた方向から声が聞こえる。


「ほれ、立ち上がれ、俺様の役に立て、アニメイテッドデッド!」


そんな男の声が聞こえると、ゴーレムに潰されたり、後ろから射掛けられて死んだオークたちがゆっくりと立ち上がった。

持っていた武器は落とし、素手でゴーレムに向かっていく。


「どうやら本当にネクロマンサーが来たようだね」


アニメイテッドデッドを使った男は遠目では人間のように見える。

けどその周りにいるのは生きてるリザードマンだよな、あれ。

人間がリザードマンやオークを率いてるの?


『恐怖による支配でもしてそうだね』


あーそういうことか。だからオークとか使い捨てみたいな感覚なのか。



「ゴーレムたちに下がるように言ってくれないかな。これ以上ゾンビを増やされても面倒くさい」


ドゥーアさんがゴーレムたちの真上に飛んでいくと、ゴーレムたちはじりじりと下がりだした。


戦術的に下がってるだけなんだけど、叫んでる男は押していると勘違いしたようだ。


「いいぞ、もっと押せ! おい、お前らも行くんだよ」


男の護衛だろうリザードマンにも突撃するように言ってる。



確かにリザードマンはオークよりも体格はいいし、良い武器も持ってるので、このままだとゴーレムが苦戦するのは確実だ。


「ちょっと削った方が良さそうだな」


クレイトさんがかなり後方から無詠唱でマジックミサイルを放つ。

マジックミサイルはゴーレムを大きく避けるような曲射コースで飛んでいき、ゴーレムにたかっていたゾンビたちを打ち砕いた。


「ひょ? あのレイス以外にもいやがるのか」


男がこちらの存在にようやく気づいたようだ。同時にゴーレムたちがエテルナ・ヌイの敷地内まで下がってきた。


ドゥーアさんが男に攻撃しようとしてたみたいだけど、急に戻ってきた。


「あの程度のネクロマンサーならクレイト様自らが相手なさらずとも私めが退けてみせますよ」


その台詞からどうもクレイトさんが攻撃しないよう止めたと推測。


「あいつ一人とも思えないんだよね。あの程度がユーリアの結界に影響を与えるほどの力を持っているとは思えないからね。あいつのバックにいるやつを引きずり出したい」

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