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屋台での食事

今日はケリスさんとの戦闘訓練もやった。


今日は俺の剣の振り方に違和感があるとして、基本だろう剣の振り方から教えてもらった。


今持っている剣は片手の長剣なのに、俺のは我流というか両手剣に分類される日本刀での振り方だろうしな。

根本から違うようだ。

この武器での基本を知った上でと知らずにだと圧倒的に違うだろう。


ユーリアが持っているのも長剣だけど、今ならもっと短いやつ、短剣の方がいいのだけど、とケリスさんも言っていた。

けど成長したら長剣の方の技術を持っていた方がいいと判断してあえて長剣にしているようだ。



小屋に戻って昼をどうしようかと考えていたら、クレイトさんが部屋から出てきていて、向こうで子どもたちと食べるのはどうか、と提案された。


まだ道具が揃ってないから作れないというと、あっちで作るのではなく、昨日の夜みたいに外へ食べに行ってはどうか、とのことだった。


確かに親睦という意味でいいかもしれない。クレイトさんから食事の資金をもらって、三人で転移門をくぐった。



事前にクレイトさんからそちらへ行くと報告してあるせいか、ジャービスさんが待っていた。


「こんにちは。こちらは特に問題ありませんでした」


「そうですか、良かった。子どもたちは?」


「はい、伝令の仕事でアエラスは出ていますが、他の子は今日はまだやることがないようなので部屋で待機しています」


「お昼はまだですよね?」


「はい、まあ普段は夕方に食べるだけですから」


「では皆でお昼を食べに行ってきてください、ジャービスさん案内をお願いします」


「クレイトさんは行かれないんで?」


「ああ、申し訳ないけど僕は留守番をするよ、どうせ食べないし誰か来ても困るしね」



「おーい、お前たち、飯食いに行くぞ」


「え? いいの?!」


「やったー」


ジャービスさんが子どもたちを食事に誘うと子どもたちは全身で喜んでいた。


「今日はリュウトさんたちも一緒だからな。ちゃんとお礼を言うんだぞ」


「はーい、ありがとうございますー」


「クレイトさんはー?」


「クレイトさんは留守番をしてくれるそうだ」



「それじゃいこうか。ルクスは大丈夫? 誰かが連れて行ったほうがいいかい?」


まだ小さなルクスは誰かが面倒を見ないと行けないかな?と思い、聞いてみる。


「あーそかー、今はアエラスいないから」


「わたしが背負います」


アエラスの次に年長のフィオナが買って出てくれる。


「フィオナ。よろしくお願いするよ。助けが欲しい時はちゃんと言うんだよ」


「はい、リュウトさん」


「それじゃレイーネがエドガーと手つなぐね」


「ありがとう、レイーネ。それじゃジャービスさんお願いします」


「おう、ついてきな」


皆でジャービスさんの後について行って、ぞろぞろと屋敷を出る。



向かったのはいつもの広場。

食事だけを提供してくれる店とかないからな。

飲食できる店といえば酒場か宿屋ぐらいしかないみたいだ。


それに広場のほうが安くて美味いのが食べられるらしい。

たしかにこの前食べた串肉は美味しかった。


とりあえず皆で麦の粥みたいなものと串肉を買った。やっぱり主食はあったほうがいいだろうし、けど育ち盛りの子どもだから肉も食べさせたいし、でそんなメニューになった。


麦の粥は食器付きなのでその場で食べなければいけないものだった。

串肉を先に買っておいてよかった。


まだ小さなルクスが麦の粥を完食したのはびっくりした。

まあそのかわり串肉は殆ど食べてないようだが。


ちょっとルクスには大きすぎたかもしれない。

小分けしてやりたいところだが、路上では無理だな。

余った串肉は食べ足りなそうなトーマと俺で分けて食べた。


俺が食べ終えた頃にアエラスを見つけたので声をかけた。

特に急ぎの伝令でなかったのでアエラスにも食べるように言った。


最初は遠慮しようとしたけど、他の子どもたちが食べているのを見て観念してくれたようだ。

走り回ってるのに食事抜きとかどんな辛さだよ。

アエラスはものの数分でぺろりと麦の粥と串肉を平らげて走っていった。



全員食べ終えたところで果物屋を見つけたのでデザートにすることにした。まだ資金あるし。


果物屋といっても果物をそのまま売ってる屋台ではなかった。ジュースにして売ってるようだ。


皆でリンゴジュースを飲む。砂糖を入れるかと聞かれたけど、入れないのをもらった。ちょっと酸っぱいけど美味しい。

ビタミンとか不足してるだろうし、体にいいのではないだろうか?


この世界にビタミンがあるのかどうかは知らないけど。


特に小さな子どもたちが喜んでいた。


「こんな美味しいの飲んだの初めてー」


とか言う子がいてちょっと涙した。屋台のおじさんもにっこにこだった。



良い昼食だった。クレイトさんに感謝。


皆も満腹で満足げなので屋敷に戻った。



屋敷に戻ると誰か客が来ていた。若い男性だ。クレイトさんと話をしているようだ。


「只今戻りました。お客様?」


子どもたちは空気を読んで静かにしている。客に反応したのはジャービスさんだった。


「おお、ジェイクじゃねぇか、お前もここにくるのか?」


「ん? ジャービスのおっさんか。あんたがここに絡んでるのか?」


「絡んでるっていうか、クレイトさんの雇われだよ、俺は」


「ジャービス殿、彼と知り合いで?」



「ああ、クレイトさん。こいつはジェイクって言って元孤児だよ。今は俺の手から離れて独立してやってるけどな。しかしお前どこにいたんだ? 最近見かけなかったが」


「ちょっと出稼ぎみたいなことをな。んで帰ってきたら孤児院が出来るって噂でよ。様子を見に来たんだ」


「孤児の子が何人かいると聞きましたが。その子達もここに連れてきませんか? 悪いようにはしませんよ」


「ああ、確かに今帰ってきたこいつら見たらそれぐらい分かるさ。ガキどもに聞いてみないとだが俺んとこにいるよりましそうだ」


元孤児でジャービスさんみたいに今は孤児の面倒を見ている人ってことかな。若いのに苦労人だ。



「これから声かけてみるから、よければ面倒見てやってくれ。四人ほどいる」


「ええ、ぜひ連れてきてください。良ければ貴方もこちらで働きませんか?」


「いや、俺は俺でやらせてもらう。せっかくジャービスのおっさんから離れたのにまた厄介になるってのはな。俺だけならなんとでもなるさ」


「そうですか。では支援を頼むこともあるかもしれませんので、今後共よろしくお願いします。本日は夕方までは開けておきますので」


「ああ、なるべく早くに行くように言うさ」



そう言ってジェイクさんは帰っていった。どうも子供が増えそうな感じだ。となると黄昏の漂流者の件も全員雇うで決まりそうだ。


『そうだね、さっそく皆に採用の報告をした方が良さそうだ』


「誰か伝令を雇ってきてくれないかな? それとも僕が出向いた方がいいかな?」


「そうですな。速さを求めるならクレイトさん自らが行った方が早くて正確ですわ。同行しますよ」


「分かりました。ではリュウトにユーリアは子どもたちと共に留守番をお願いするよ」


「はい、分かりました」


「分かったよーおとーさん」


「では案内をお願いします、ジャービス殿」


「おうさ、ファーガソンは直接になりそうだがな」


クレイトさんとジャービスさんが出かけていった。



さて、俺はどうしよう? ここにいてもやることがない。まあ小屋でもそうなんだけどさ。


とか考えていたら、クレイトさんたちと入れ違いな感じで玄関がノックされた。


「はいはい、今行きますよ」


玄関を開けると見知らぬ男性が立っていた。誰だろ?


「伝令です。クレイト様はおられますか?」


「ああ、すいません、今しがた出かけてしまいました」


「あらぁ、困ったな、急ぎなんですが」


「俺もどこに行ったか知りませんしね。けどすぐに帰ってくると思いますよ」


「そうですか、では待っていてもいいですか?」


「はい、どうぞ。中でお待ち下さい」


と言って玄関を通す。クレイトさーん、俺の心読めてたらなるべく早くに帰ってきてくださいねー。



伝令は玄関近くで立ったまま待っていたので腰掛けを勧める。素直に座ってくれた。


「あの、それは俺が聞くのはダメなんですか?」


「はい、申し訳ありませんが、クレイト様ご本人へとしか聞いておりませんので」


まーそうだよな。俺がクレイトさんの弟子で遠距離でも会話出来るとか知らないだろうしな。

それに弟子でも知らない方がいいこととかあると思うし。

まークレイトさんにはないだろうけど一般的にね。


『分かった。用件は終わったからすぐに帰るよ』


クレイトさんから返事も来たし、あとは待つだけか。



しばらく待っているとクレイトさんとジャービスさんが帰ってきた。


さっそく伝令がクレイトさんに伝える。クレイトさんが「おう」という声を発したのは聞こえた。


「リュウト、ユーリア、出かけるよ。ジャービス殿、申し訳ないが数日ここを空けるよ。取り仕切りをお願いしたい」


「ええ? どうされたのですか?」


伝令は伝えた後、さっと帰っていった。


「今教会に墓地のお客がきてるようでね」


「ああ、それはそちら優先ですな。分かりました。わしがなんとか仕切らせてもらいます」


「よろしくお願いするよ、ジャービス殿がいてよかった。これは当座の資金として渡しておくよ。ここから必要なものは揃えてほしい。給金の前借りも頼まれたらしてもよろしい」


といって結構中身が詰まった小袋をジャービスさんに渡した。


「クレイトさまー、どこかいくの?」


子どもたちから疑問が飛んできた。まあ確かにこれから世話してくれるという人がいきなり居なくなるのは不安になるよな。


「ああ、急ぎの仕事がきてしまってね。大丈夫、僕はすぐに戻ってくるし、ジャービスさんにすべてを頼んだからね。これからはジャービスさんの言うことをよく聞いてほしい」


「そっかー。いってらっしゃーい」


俺とユーリアは特に準備とかの必要はなかったので、いつでも出発できる。


「それじゃいこうか」



ユーリアの案内で教会へ行く。

そういえばこの世界の宗教はどうなっているんだろうか?

今のところあまり宗教に関わってないからよく分からないな。


『ここらへんでは聖王教が主だね。聖王と呼ばれる存在が世界を管理しているという感じだ。実際に不死の魔王が居た時代に聖王が現れたという記録もあるそうだよ』


へぇそうなんですね。実際に神様がいる可能性があるのか。さすが異世界。とはいっても元の世界にだって神が存在してもおかしくはないけどな。



「もうすぐだよ、ほらそこ」


前を歩いていたユーリアが前を指さした。確かに宗教関連施設という趣の建物が見えた。


入り口には二人、門番といった感じの人が立っていた。


クレイトさんが二人に近づき、伝令からここに来てほしいと言われたことを伝えると、話が通っていたようで何も聞かれずに通された。


入ると、助祭を名乗る人がきて、応接間に案内してくれた。



応接間には誰も居なかったので座って待つように言われた。さすがにお茶は出てこないようだ。


しばらくしてなんか身なりの良い人が助祭と共に来た。


「おお、貴方がクレイト殿か、ぜひ助けてほしい」


その身なりの良い人が逼迫した感じで頼んできた。

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