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攻撃魔法習得


「おはようございます、食事は終わりましたかな」


クレイトさんの部屋から義体のドゥーアさんが出てくる。


「あ、おはようございます」


「おはよーございますー。もう少しですー」


「あー、急がなくていいですぞ。今日の予定ですが、お昼まで魔法の勉強をしましょうか。特にリュウト殿、一般魔法しか教えておりませんでしたからな」


俺はもう食べ終えていた。


「あ、それちょうど俺も考えてたんですよ。攻撃魔法覚えてたら、と」


「そうですなー。ユーリア殿は剣と同時に攻撃魔法も使いこなしておられますし、リュウト殿も覚えていると心強いかもしれませんな」


「食べ終わったー、片付けてくるね。リュウトはお勉強してて。わたしは片付けたら部屋の整理しておくから」


「なんだか悪いな。けどユーリアより劣ってるのは確かだし、甘えさせてもらうよ」


食べ終えた食器をユーリアに渡す。ユーリアは自分のと合わせて台所へ持っていく。

排水とかどうしてるんだろうとか思ったけどそれはまたでいいか。



「ユーリア様がすでに習得していて、必須のものとしてリードマジックをお教えしましょうか」


「おお、読めないものが読めるようになるやつですか?」


「よくご存知で。この魔法が使えないと魔導書があっても苦労しますからな」


そういってドゥーアさんはクレイトさんの部屋から持ってきたと思われる本を一冊テーブルの上に置いた。


「これはモンスターの性質を書いた辞典のようなものです。まあ一般書ですな。ただ古いので普通の者では読めないと思います。リュウト殿、読めますか?」



その本は確かに見た目だいぶと古く、触ると崩れそうな感じまでした。


「えっと、これ俺が触っても大丈夫なものなんですか? なんか今にも崩れそうなんですが」


「ええ、大丈夫ですよ、見た目はこんなになってしまっていますが、保存の魔法プリザーベイションがパーマネンスでかかっておりますのでよほど手荒に扱わないければ問題ないかと」


パーマネンス? 魔法の効果永続化ってやつだったっけ。


「そうなんですね、では少し読んでみます」



そう言って、ボロボロの本を手にとってみる。

今にも崩れそうに見えるのに意外としっかりしている。

本当に魔法で保護されてるんだな。

ゲームだとこの手の魔法ってめったに見ないからすごい新鮮に感じる。

おっと、それは今はいい。読んでみないと。


適当なページを開けて読んでみる。うん、名前は読めそうだな。

ミルメコレオか、知らないモンスターだな。

本文は……獅子の上半身に……うーん、読めないなぁ。何かの下半身って書いてる気がするけど。


「大体読めますけど、一部、主に単語とかが分からないですね」


だいたい分かるけど達筆すぎて読めないって感じもするな。



「読めるだけ大したものです。もしかして書けもするのですか?」


「ええ、だいたいなら」


「素晴らしいですな。現在ユーリア様は読み書きを覚え中ですので、今度ご指導してあげてくださいませ。さてではリードマジックをお教えしましょう」


リードマジックの魔法を教わった。小一時間ぐらいか?

リードマジックを使ってから先程のところを読んでみると、はっきりと読めた。

読めなかったところは相変わらず読めないのに、理解できるという不思議な感覚だ。


「獅子の上半身に、蟻の下半身を持つ、って書かれてるんですけど、これって本当なんですか? そうにしか読めないんですけど、見た目が想像つかないんですが……」


「ああ、ミルメコレオですな。これはもうそのまんまですよ、一度見たことありますがそうとしか説明できません」


へー、変わったモンスターもいるんだな。他のページもパラパラとめくって読んでみてみる。すべてちゃんと読めるな。これは便利だ。


「これでリュウト殿はもう独学で魔法を学ぶことができるようになりました。すでに魔法のこつというかそういったものは習得済みの様子ですしな。そのへんを習得できていなかったら独学は厳しいですからな」


そのへんはこの体様々だな。

俺自身は何の努力もしてないから。


才能があるってこういうことをいうんだろうな。

なんもしていないのに人より進んでるという。


今までそっちで苦労してたから感謝しかない。

とても驕ることなんて出来ない。


「そうなんですね。いち早く習得できて良かったです」


「いやはや、さすがクレイト様が近くにいることを許された方です」


そのあとクレイトさんが帰ってくる前にまた襲撃があると困るということで、攻撃魔法も教えてもらうことにした。


結果マジックミサイル、ファイアボール、ライトニングを覚えることが出来た。



「教えておいてなんですが、まさかライトニングをあっさり覚えるとは思いませんでしたぞ。少なくとも私が生きた時代であればライトニングが使えたら一人前の魔法使いと認識されておりました」


そうなのか。確かゲームでもそんな感じだったよな。

雑魚魔法使いじゃ使えない魔法だったと思う。


「ユーリア様といいリュウト殿といい末恐ろしいですな。二人共剣も使えるのにこれですから……魔法戦士なんて私の時代にはめったにおりませんでしたからな。いやはや非凡とは恐ろしい」


これが俺の努力の結果だと嬉しいだろうけど、そうじゃないからなぁ。くすぐったいだけだ。



魔法を覚え終えたところで昼ごはんの準備が出来たので食べた。

魔法訓練中にユーリアが作ってくれたようだ。

料理をユーリアにまかせてばかりで悪いな。

夕飯は俺が作るようにしよう。


食べてからは見回りだ。

昨日の今日だからそうそう問題はないだろうけど、そういった油断を突いてこないとも限らないしな。


食べ終わったら俺とユーリアと義体をつけたドゥーアさんとたぶんスペクター三人でエテルナ・ヌイに向かう。

持ち物は基本前と変わらないが、俺もポーションを持つことにした。

ジャービスさんたちが持ってきてくれた物資の中に肩がけの小さなカバンもあったのを見つけたので持てるようになったのだ。

カバンの中にトイレ用の葉っぱを敷き詰めてポーションを三つ入れておいた。

三つもあれば困ることはないだろう。ストックはたくさんあったし。


エテルナ・ヌイに向かっている途中、クレイトさんから念話が来た。


『やあ、昨夜はたいへんだったようだね。ところでこちらはこれから町を歩いて買い物をする予定なんだけど、いるものは考えたかい?』


あ、お疲れ様です。そうですね、今カバンにポーションを入れて持ち歩いてるんですけど、やっぱり専用のポーチ、ユーリアが持っているようなものがあると助かりますね。


『ふむふむなるほど。服のサイズはどうだった?』


あ、少し大きい程度で問題ないです。けどベルトとか欲しいかもです。

持ち物はそれぐらいですかね。

他は……やっぱり調味料の類が全般的に少ないのでよければ買い足してほしいです。

指定は難しそうなので何でもいいです。

それと若干のお酒を。

飲みたいというのもありますけど、料理で使いたいので。ワインがいいです。


『酒か。そうだね。それは急がないだろうから今回は少量だけ持って帰って次のジャービスさんに頼むことにするよ』


はい、それでいいです、ありがとうございます。


三人共黙って歩いている。おそらくクレイトさんから念話が来ていて頭の中で話をしているためだろう。


エテルナ・ヌイの門が見えてきた。ゴーレムたちの姿は見えない。


「ゴーレムたちは傷つきすぎたので門番の役目は無理ということで今は休んでもらっております。ゴーレムゆえ休んでも体が直るわけではないですが、無理をして壊れても困りますので。今はファントムが門番をしております。見えないと思いますが」


確かに見えない。ケリスさんがソードファントムだったので剣を持ってないケリスさんみたいなのが普通のファントムってことか。

ゴーストもスペクターも魔法主体だからファントムもそうなんだろうな。


エテルナ・ヌイの中ではスライムたちがポヨンポヨンと大量にはねていた。

あー予想された通りかなり増えたか。

戦いの場所になったところを見てみたが、もうオークたちの死体はほとんど見当たらなかった。

すでに多くがスライムたちに吸収されたようだ。

ぼーっと眺めていると一匹の大きなスライムが動き出した途端にどこからともなくマジックミサイルが飛んできて大きなスライムをばらばらにして小さなスライムに散らしていた。

ゴーストたちが言われた通りにスライムを散らしてくれているようだ。


「我らはもちろん、人間にも危害は加えられないでしょう、あの程度の大きさなら。ただ数が多いのでスライムイーターが現れるかもしれませんね。その際はあらかたスライムを片付けたあとにスライムイーターを倒します」


スライムにも天敵はいるのね。


「スライムイーターは危険なんですか?」


「他の生き物には興味を持たないのでそこまで危険ではありませんが、それなりに強いですからな。万一人間と出会ったら不幸なことになるやもしれません」


なるほど、おまかせすることにしよう。


「結界と封印のチェックかんりょー。どっちも問題なしだよ。お祈りも済ませたー」


「魔法結界の方は昨晩の戦闘で多少傷ついているようですが、私には手が出せませんのでこちらもクレイト様の帰還次第となります」


「え? それ大丈夫なんですか?」


「ええ、多少結界の能力が落ちている程度ですので」


そうなのか。けどドゥーアさんでもクレイトさんの結界とかは手出しできないのか。クレイトさんどんなけなんだろうか。


「ケリスは昨晩の戦闘で多少消耗したので休んでいます。ですから本日の戦闘訓練はなしということで」


「はい、分かりました」


一通りあたりを巡回して異常がないか見たあと、三人で小屋へ戻った。スペクターたちも多分ついてきている。



戻ったあと日が沈むまで多少時間があったので覚えたての攻撃魔法の練習をすることにした。

ユーリアはポーションの制作をするとのことで小屋の中へ戻った。

ドゥーアさんは魔力を消耗したので義体を小屋の中において休憩するらしい。


地面に落ちている多少大きめの石を狙ってマジックミサイルを打ってみる。

詠唱は短い。

五発の魔力で出来た矢が次々と石に当たった。


俺の魔力じゃ一発で相手を倒せるってことはないと思うけど、相手の意識をこちらに向けるために複数の目標にも打ってみる。

五発の矢がそれぞれ目標にした五つの石に当たった。

これは強い魔法だな。必中だ。狙われたら避けることもできないのだろう。



次はライトニングだ。

適当な目標がないのでなにもないところへ打ってみる。詠唱は長い。

かっこつけたポーズで右手人差し指の先から打ってみる。

イメージしたとおりの射線でライトニングが発せられた。

射線さえ通っていたらこれも当てやすそうだ。けど思ったより弾速が遅いかな。

しかしこの魔法、貫通能力があるらしいので状況次第では本当に強そうだ。



最後にファイアボールを使ってみる。

詠唱はライトニングより短く、マジックミサイルよりは長い。

ライトニングと同じく指先から打ってみる。

小さな火球が目標に飛んでいって爆発した。

爆発の半径は見たところニm半径ぐらいか。

あの大きさの火球のわりには大きいな。密集した相手ならかなり有効そうだ。


ゲームと違って魔法にレベルはないそうだ。

だからどの魔法がより上級かは分からない。

使ってみたところでの魔力消費からいえば、マジックミサイルが一番燃費がよく、最悪なのがライトニングかな。けど一番威力ありそうなのもライトニングか。ファイアボールはどっちも中間といった感じだった。


さて日も暮れかかってきたので切り上げよう。ユーリアにうまいものを作ってやらないと。

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